慎重な観察による早期診断と丁寧な吸入指導で喘息治療をサポート
かぜとして見過ごされがちで、診断の難しい喘息。慎重な診察で早期発見を目指します。
- 池田 昌人 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.161
呼吸器内科
目次
「COPD(chronic obstructive pulmonary disease)」とは、主に有害物質を長期的に吸入することによって肺に炎症が起こり、咳や痰、呼吸がしづらいなどの症状が出る病気です。日本語では「慢性閉塞性肺疾患」といわれます。
これまで慢性気管支炎(気管支の炎症が慢性化し、咳や痰が続く病気)や、肺気腫(肺の組織が破壊されて呼吸機能が大きく低下する病気)と呼ばれてきた病気の総称として使用される病名ですね。
痰の切れが悪い、軽い咳が出るなどの症状が挙げられます。ただし、人によっては無症状のこともあり、病気に気づかないことも珍しくありません。
本来は軽症の段階で治療を始めるのが理想ですが、COPDは「肺の生活習慣病」といわれるにもかかわらず、他の生活習慣病と比べて認知度が低く、大半が未治療という現状です。日本COPD疫学研究によると推定患者数は530万人に上りながら、実際に治療を受けている人は38万人程度(2023年厚生労働省発表)に留まっています。
COPDは進行性の病気なので、治療をしなければ悪化します。肺に関連する合併症や、他の生活習慣病も含めた全身の病気を起こしやすくなりますね。
また、肺機能が低下して息切れが起こるようになると、それを防ぐために身体を動かさなくなります。次第に筋力と体力が低下し、ますます動くことが困難になるでしょう。そして、この負のスパイラルから抜け出せなければ、要介護状態の手前である「フレイル」に陥ることは避けられません。そしていずれは、寝たきりになってしまうのです。その後はじっとしていても酸欠状態が続き、酸素療法が必要となります。
主な原因は喫煙です。たばこに含まれる有害物質は、空気の通り道である気管支に炎症を引き起こし、肺の奥にある酸素を取り込む器官「肺胞」を破壊します。たばこ以外の原因もゼロではありませんが、COPD患者の90%以上が喫煙者であり、死亡率は非喫煙者の約10倍です。こうした調査結果からも、たばこが最大の原因といってよいでしょう。
また、たばこに含まれる有害物質は、COPD以外の病気に対しても悪影響を及ぼすと考えられています。最近では「加熱式たばこや電子たばこに切り換えた」という人も少なくありませんが、有害物質はそれらにも含まれています。切り換えても健康への影響は無くならないことを知っておいていただきたいですね。
何よりも禁煙は必須ですし、場合によっては禁煙外来の利用をお勧めすることもあります。治療については、狭くなった気道を広げたり、炎症を抑えたりする対症療法が中心です。飲み薬や吸入ステロイド、貼り薬、注射薬などを、患者さんの状態に応じて組み合わせていきます。
また、日常生活における対策も重要です。例えば、病状を急激に悪化させないための感染対策や、フレイルを防ぐ栄養管理と適度な運動などがあげられます。COPD以外の病気を抱えている患者さんも多いため、併存症の治療や症状の管理を同時に行い、悪化を防ぐことが欠かせません。
COPDを重症化させないために重要なのは、負のスパイラルを断ち切ることです。当院では、早期に診断し治療の筋道を立てられるという、専門クリニックの強みを生かした診療を行っています。患者さんに合わせた治療と適切なアドバイスを提供することで、症状を緩和しつつ病気の進行を防ぎたいと考えています。
これから喫煙を始めようと思っている方は、考え直していただくこと。そしてすでに喫煙習慣がある方は、禁煙を始めることが進行予防になります。
軽症の患者さんの場合は病気を自覚していないケースも多いため、健康診断でのレントゲン検査や人間ドックでの肺機能検査をしっかり受けることが大切です。実際、肺機能検査で所見が見つかって受診される患者さんには、息切れに気づいていない方も大勢いらっしゃいます。年齢のせいだと思っていたり、息切れをする動作を無意識に避けていたりするため、ご本人も症状を見逃してしまっているのです。適切な治療を受けることで重症化のリスクを下げられますので、健康診断等で指摘されたら、早めに専門の医療機関を受診しましょう。
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「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」は早期発見が重要。適切な治療と禁煙で、重症化を防ぎましょう。
「楽しく生きること」を重視した、多彩なプログラムやデイケアを提供しています。
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