けやきの杜矯正歯科　井田 裕人 院長 | ドクターズインタビュー

矯正治療による歯並びの改善は、顔の印象や全身の健康に影響を及ぼす

― 近年の矯正装置は目立ちにくくなっているそうですね。

海外では、歯列矯正がステータスとなっている国が多いのをご存知ですか。そのような国の方々は、矯正装置が目立つことにまったく抵抗がありません。一方日本では、やはり「目立たないように」という方が圧倒的に多いです。そうした声に応えるように、ここ数年でワイヤー矯正に用いられるワイヤーもワイヤーを固定するボタンも白いタイプが一般的になり、非常に目立ちにくくなりました。またコロナ禍でマスクの着用が当たり前になり、口元を他人に見られる機会が減ったことで、さらに矯正への抵抗感も薄らいだのではないでしょうか。歯科矯正を行う方は確実に増え、もはや国内でも珍しいものではなくなっていると感じます。

― どのような方が矯正治療の対象になりますか？

見た目だけの問題でしたら「気にしない」「これも個性」と思えれば、個人の価値観も尊重されるべきであるため、必ずしも矯正する必要はないでしょう。しかし、歯並びのせいで口がきちんと閉まらない状態では口呼吸になってしまいますし、噛み合わせの乱れは顎関節症や頭痛の原因になることも。また糸切り歯が下の歯と適切な状態で接していないと、咀嚼するたび奥歯に過大な負担がかかり、歯の寿命にも影響することがわかっています。もちろん、呼吸の問題や頭痛、奥歯の負担は全て歯並びが原因というわけではありませんが、歯並びや噛み合わせに少しでも不安がある方は一度、相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。当院をはじめ、多くの医療機関が応じてくれるはずです。

― 歯並びが影響を及ぼす範囲は、想像以上に大きいのですね。

そうですね。歯列矯正は、呼吸や歯の健康、姿勢など、全身に好影響があるといえるでしょう。
また審美的な観点でも、先ほど「気にしなければ矯正は必要ない」と言いましたが、裏を返せば口元にコンプレックスがあれば行う価値があるということです。たとえば、上下顎前突（いわゆる口ゴボ）は矯正することで口が閉じるようになり口呼吸が改善されるばかりか、唇が薄くなるという効果もあります。また、口周りの筋肉の位置や形も変わるため、顔の印象もシャープになります。矯正で治るのは歯並びだけだと思われる方が多いかもしれませんが、実は顔全体の印象を大きく変える治療なのです。人前で自信を持って笑えない、そんなお悩みがある方にはぜひご検討いただきたいですね。

矯正後は徹底したアフターケアを実施。一生ものの美しい歯並びを

― 貴院における矯正治療の特徴について教えてください。

最もこだわっているのは「矯正後に後戻りさせない」ということです。私がまだ大学病院に勤務していたころ、2年ほどかけてじっくり矯正したにもかかわらず、たった2か月で歯並びが元に戻ってしまった患者様がいらっしゃいました。そのときに味わった無力感は今も忘れられません。矯正後の歯は柔らかい新生骨に囲まれているため、特に最初の1年間は元の位置に戻ろうとする力が働きます。そこで当院では、矯正治療後の安定性を重視しており、矯正治療中の段階で治療後の歯列の安定性を考慮した治療計画を立てています。せっかく時間と労力をかけて矯正したのに、元に戻ってしまっては意味がありませんからね。万が一の場合にも備え、当院では「後戻り保証制度」も設けております。

― 実際の治療の流れはどのようになりますか？

まずは無料相談のご予約をいただきます。その後、検査、診断、矯正治療という流れです。ちなみに当院では歯科用のCT、歯の傾きや上下の顎骨の位置関係を評価するレントゲンを備えており、30分ほどで検査を行うことができます。矯正装置に関しては、一般的な「ワイヤー矯正」とマウスピース型矯正装置「インビザライン」の2タイプがあり、症状によっていずれかを提案させていただきつつ、最終的には患者様の希望により治療方法を決定します。

― そのほか、ドクターとして心がけていることがありましたらお聞かせください。

私はもともと、患者様の人生に深く貢献したいという想いから矯正歯科医を志望しました。患者様に「矯正してよかった」と心から思っていただくことが、私にとってのゴールなのです。ですから患者様の考えを把握し、場合によっては、「矯正治療を行っても大きな満足度は得られない可能性があります」と、矯正治療以外の選択肢をご提案することもあります。経営者としては失格かもしれませんが、患者様第一の姿勢はこれからも大切にしたいですね。