必要とされる医療を提供し、地域の健康を支える一助となる
地域のかかりつけ医として、0歳から終末期ケアまで幅広く対応。未病改善・予防医療にも注力しています。
- 森川 髙司 理事長 兼 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.104
内科
目次
女性の更年期は、閉経前後の10年間を指します。一般的には45歳から55歳頃で、その時期に起こる心身の様々な不調を更年期症状といいます。更年期障害は、日常生活に支障が出てしまうほど更年期症状が悪化した状態です。
代表的な症状として「のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)」が知られていますが、その他にも自律神経失調症に似た症状がみられます。身体的な症状から精神的な症状まで幅が広く、個人差が大きいことも特徴です。
一方、男性の更年期障害は男性ホルモンの分泌量が減少し始める40代以降で発症しやすく、精神的な症状をきっかけに気づかれるケースが多いですね。
更年期障害の原因は、性ホルモンの急激な減少です。
女性の場合は加齢に伴って卵巣機能が低下することで起こる、女性ホルモン(エストロゲン)の減少。ホルモンバランスが崩れて自律神経が乱れ、その急激な変化に身体が追いつかないために様々な不調が表れます。
男性の場合は加齢による男性ホルモン(テストステロン)の減少に加え、重度のストレスも更年期障害を引き起こす要因です。ストレスによっても男性ホルモンが極端に減少しますので、更年期障害を発症しやすくなります。
加齢による性ホルモンの変化は避けることができません。つまり、更年期障害は誰にでも起こる可能性があるのです。
女性は「動悸がする」「汗が止まらない」「手足や腰が冷える」「イライラする」「寝つきが悪い」などの症状でお困りの方が来院されています。症状の程度は人によって異なりますが、更年期障害だと自覚された上で「治療をしたい」と来られる方がほとんどですね。
男性の場合は「疲労感」や「気力の低下」など、うつ病に似た症状のご相談で受診されるケースが大半を占めています。当院の患者様は女性が中心ではありますが、男性も少なくありません。当院に限らず、更年期障害で受診する男性は年々増えているのではないでしょうか。
男性の更年期障害ではうつ病と似た症状が出ることが多く、誤った診断を基に精神科にかかっているケースもあるのですが、近年は「更年期障害かもしれない」と思って来院される方が多くなりました。インターネットの普及で情報収集が容易になり、セルフチェックなどもできるためでしょう。10年前とは大きく変わったと感じています。
血液検査と問診で、更年期障害かどうかを見極めます。血液検査は、性ホルモンの数値を確認する検査です。問診では専用のチェックシートをもとに質問に答えていただき、症状の程度を更年期指数またはAMSスコア(男性更年期障害質問票)で評価。初診から1週間後に血液検査の結果と合わせて診断します。
更年期指数やAMSスコアは、当院ホームページの「WEB問診」から事前にチェックしていただくことも可能です。
女性の場合、当院では「プラセンタ注射」と「漢方薬」での治療を提供しています。
プラセンタ注射は更年期症状があり、注射治療が必要と診断された59歳までの方であれば、保険適用で受けられる治療です。厚生労働省から認可を受けた医療用のプラセンタ(ヒト胎盤由来)には、ホルモンバランスや自律神経を整える働きがあり、エストロゲンの減少によって起こる更年期障害の各種症状の改善を促します。
はじめは週3回、症状が改善してきたら、体調に合わせて週1回または2週間に1回のペースで来院していただいています。当院の患者様は、比較的早い段階で症状の改善を実感される方が多いですね。また、症状に合わせて漢方薬を処方します。プラセンタ注射との組み合わせによる相乗効果が期待できます。
男性の治療は、男性ホルモンの注射です。2週間に1回のペースでスタートし、症状に応じて補充するホルモンの量を調整します。定期的な血液検査で副作用の有無をモニタリングし、安全に治療を進めていきます。
残念ながら、更年期障害を完全に予防する術はありません。症状には個人差があり、性ホルモンが低下していても自覚症状がない方もいるほどです。誰にでも起こり得るため、心身の変化に気づいた時点で受診するのが良いでしょう。早めの治療が症状の悪化を防ぐことに繋がります。
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