医療法人大河内会 おおこうち内科クリニック 大河内 昌弘 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.084

内科

食事によって病気を予防。治療中心の医療から未病医療へ
食事によって病気を予防。治療中心の医療から未病医療へ
医療法人大河内会 おおこうち内科クリニック
  • 大河内 昌弘 院長
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「いま、健康の常識が大きく変わりつつあります。従来は健康に良いと考えられてきた食べ物が、体内で悪さをし、病気の一因となり得ることが近年明らかになってきたんです」。そう力強く語るのは、愛知県稲沢市の「おおこうち内科クリニック」院長、大河内昌弘先生だ。大河内先生は「未病医療」の基礎として、食生活の改善を提案。同クリニックには4人の管理栄養士が在籍し、患者の栄養相談に乗っている。インタビューでは、いまこそ食事に注目すべき理由、これまでの常識の誤りと我流の食事療法の危険性、同クリニックが展開している栄養指導とそのポイント等について伺った。(取材日 2022年9月24日)

がん、アルツハイマー病、糖尿病、リウマチ……。病気と食事の関係性とは

― 先生は日々の食事を見直すことの大切さを訴えられています。その理由について聞かせてください。

遺伝子組換え食品の登場や、抗生物質等の抗菌性飼料添加物など、かつての自然食品中心であった食生活が大きく変化する中で、さまざまな病気の発症に食事が大きく関与していることが明らかになってきたからです。がんはその一例です。がんは様々な要因が複雑に絡み合って発症しますが、一部のがんの発症には食べ物が大きく影響していることが最近の研究で報告されています。乳がんを例に取ると、かつては閉経前の女性が患者の多数を占めていましたが、最近は閉経後に発症する人が増えています。これはコレステロールの過剰摂取によって、女性ホルモンの合成に異常が生じているためだといわれているんです。乳がんのみならず胃がんや大腸がんに関しても同様の指摘が行われているのですが、日本の病院は早期発見・早期治療を訴えるばかりで、食事療法にはほとんど力を入れていない。私はここに、大きな危機感を抱いているんです。まずは健康に関する常識が変わりつつあることを認識しなければなりません。

― 具体的には、どのようなことでしょうか。

「野菜を食べれば健康になれる」ということで、野菜を大量に摂取されている方がいらっしゃいますよね。葉物野菜をたくさん食べるのは間違いではないのですが、トマトやきゅうり、なすなどのタネが含まれる野菜には要注意です。また、血糖値を上げないようにするために白米よりも玄米、白いパンではなく茶色いパンを食べるように心掛けているという方も少なくないと思いますが、これも注意が必要です。というのは野菜や豆類、穀物の胚芽にはレクチンという“植物毒”が含まれており、これが体内に入ると「リーキーガット(腸漏れ)症候群」という病気を引き起こし、小腸の粘膜のバリアを破壊する可能性があるからです。これにより有害物質が血液中に侵入することで、アルツハイマー病のほか、糖尿病などの生活習慣病、リウマチなどの炎症性疾患の一因となることがわかっているんですね。つまり、良かれと思って食べたものが、体内で実は悪さをしている――。こうしたケースが結構たくさんあるのです。いろいろな病院を回ってどんなに検査をしても“異常なし”と診断されるが、体のだるさや蕁麻疹、湿疹、下痢などがなかなか治らない。こうした症状は、食べ物が一因となっている可能性も考えるべきなのです。

我流の食事療法は危険。専門家、管理栄養士と連携し「未病医療」に取り組む

― 常識が変わってきているとなると、我流で食事療法を行うのはかなりリスクがありますね。

おっしゃる通りです。わかりやすい事例として、がんの食事療法を取り上げてみましょう。がんと戦うためには体力をつけなくてはいけないということで、炭水化物を一生懸命摂取しようという方がいらっしゃるかもしれませんが、これは完全に逆効果なんです。がんは糖質が大好きなので、炭水化物を摂れば摂るほど、がん細胞は増殖していきます。ですから最近は、がん細胞のエネルギーにならない、脂肪由来の物質「ケトン体」を中心とした食事を摂ることが推奨されているのです。先ほどの野菜の例と同様に、健康になるための食事が、実は絶対にやってはいけないことだったということがある。だからこそ、国内外の研究に精通した専門家の指導を受けながら、自分の症状や体質に合ったオーダーメイドの食事療法を実践することが欠かせないのです。これが「未病医療」の基本だと思います。

― クリニックではどのようにして栄養指導を進めているのでしょうか。

まずは普段の食事を確認するところからスタートです。一週間の食事の内容について聞き取りを行ったり、撮ってもらった写真を見たりしながら問題点を確認。管理栄養士の指導のもと食生活を改善していきます。今までの食生活を180度変えるのは不可能なので、できることから少しずつ始めるのが大切です。悪い食べ物を10種類口にしていたとしたら、そのうち1、2種類を徐々に減らしていくイメージですね。それだけでも体調がガラリと良くなる可能性があります。そして患者さまの意識が変わり、食事療法を自分事として前向きに取り組んでいただくようになれば、改善のスピードは加速します。その意味でも小さな積み重ねが重要です。

― 栄養指導のポイントについて教えてください。

いちばんの基本は、健康に悪いものを体内に取り込まないということです。レクチンの含まれる食材はできるだけ摂らないようにする。また食材を購入する際は、遺伝子組換え食品や、大量の食品添加物、保存料が含まれたものを避けるべきです。そのためには産地がわかっている野菜を選ぶとか、オーガニックの野菜を買うなどの工夫が必要です。美味しい食べ物にはウラがある。このことを念頭に置きながら、日々の食事に徹底的にこだわっていただきたいと思います。

ドクターからのメッセージ
  • 大河内 昌弘 院長

目の前の食事にこだわることで、病気のリスクを下げられる可能性、あるいは病気になったとしても症状を軽くできる可能性があります。食事療法を中心とした未病医療に関心をお持ちの方は、是非お気軽にご相談ください。

食事によって病気を予防。治療中心の医療から未病医療へ
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住所
愛知県稲沢市祖父江町桜方上切6−7
電話番号
0587-97-8300
診察領域
内科、消化器内科、内分泌代謝科、糖尿病科、予防接種
専門医
総合内科専門医、呼吸器専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、糖尿病専門医