医療法人社団 蒼仁会 岐南ほんだクリニック　本田 浩一 理事長 | ドクターズインタビュー

多職種のスタッフが心と身体をサポートし、精神科デイケアや訪問看護も提供

― クリニックの特長について教えてください。

当院は岐阜県内では珍しい、多機能型の心療内科・精神科クリニックです。通常の診療に加えて、社会参加のためのリハビリテーションや、職場復帰に向けたトレーニングを行えるデイケアセンターを併設し、在宅ケアを行う訪問看護も提供しています。
医師と看護師だけでなく、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士、公認心理師など多職種のスタッフが在籍している点も特長です。多様なアプローチで、一人ひとりに適したサポートを行える体制を整えています。

― どのような患者さんが来院されますか？

進学、就職や昇進、結婚や出産など、生活の大きな変化をきっかけにうつ状態になる適応障害や、動悸や過呼吸、強い不安感に襲われるパニック障害の方、また発達障害（大人のADHDなど）をご自身で疑って受診される方が多いですね。その他に、精神症状で入院していた方が退院の際に、医療機関からの紹介で来られるケースもよくあります。
患者さんの年齢層は、20～40代の若い方が中心です。岐阜県内でも遠方の地域からいらっしゃる方も多いですし、周辺の県にお住いの患者さんにもご来院いただいています。

― 診療時に心がけていることをお聞かせください。

ひとつは、地域との調和です。長期間入院していた方が地域生活に馴染んでいけるよう、医療的サポートを提供していきたいと考えています。
もうひとつは、全人的な医療。心の問題は身体にも影響を及ぼすため、精神科の疾患だけではなく、密接に関連する内科的な疾患の診断・治療も行います。例えば不眠症だと思っていたら、実は睡眠時無呼吸症候群だったというケースは少なくありません。また高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が合併していることも多いため、当院ではそうした疾患を見つけるための検査を実施し、重度でない場合には治療にも対応できるようにしています。

「生活支援」と「就労復職支援（リワーク）」で、スムーズな社会復帰を応援

― 精神科デイケアとは、どのような施設ですか？

精神科デイケアとは、基本的な治療と療養を終えた方のスムーズな社会復帰を専門的に支援する、通所医療施設です。当院併設の「デイケアセンター ミライ」では、安定した日常を送るための「生活支援プログラム」と、職場復帰を目指す「リワークプログラム」を実施。医師をはじめとした多職種のスタッフが連携し、専門的な支援を提供します。利用者の方々は主治医の診察と指示のもと、認知行動療法や作業療法、グループワーク、文化活動やスポーツ、ストレスに対処するための術を学ぶ講座などの目的に応じたプログラムに参加して、社会復帰に向けたリハビリテーションに取り組みます。

― どのような方が利用されるのでしょうか？

生活支援プログラムは、うつ病や適応障害などの治療を受けていて、ある程度の回復がみられる患者さんが対象です。生活リズムを整えるためのサポートを必要とする方や、相談できる場所を必要とする方、他者との交流を望んでいる方などが利用されています。
一方リワークプログラムは、精神症状により休職中であるが、回復が進み復職や就業を希望されるという患者さんが対象です。岐阜県内には多機能型クリニックが少ないため、他院に通院しながら、デイケアのみこちらに通所している方も多いですよ。

― 「リワークプログラム」について教えてください。

リワークプログラムは、復職準備と再発予防のプログラムです。病気への理解を深める、自分自身を振り返る、復職・就業に向けた課題を明確化する、プログラムを実践して課題を克服する――こうした段階的なトレーニングで病気に対処するスキルを身に付けながら、集中力や体力などの回復を図ります。
パソコンを使った事務作業や、組み立て・袋詰め等の軽作業など、プログラムの中心は従事していたお仕事に近い作業です。ストレスのかかる状況で、それまで学んだスキルを実践（＝ストレスや感情をコントロール）することで、安定した就業に必要な力を培います。

― 最後に、受診を検討中の方へメッセージをお願いします。

精神科や心療内科は、決して特別な場所ではありません。精神疾患も早期発見・早期治療が重要ですから、「こんなことで受診して良いのだろうか」と遠慮せずに、何でもご相談いただきたいですね。
多機能型クリニックでは、様々な接点を通して患者さんへの理解を深めることができます。それを反映した治療を受けられることは、患者さんにとって大きなメリットです。他院に通院されている方もデイケアのご利用が可能ですので、ぜひ見学にお越しください。