医療法人涼葵会 W CLINIC 心斎橋院　足立 真由美 理事長 | ドクターズインタビュー

市販薬では治療が難しいニキビ。皮膚科では適切な処方やケアの提供が可能

― ニキビができないようにするには、どのような対策をすればよいでしょうか。

ニキビをできにくくするには、まず「コメド（毛穴の詰まり）」をつくらないことが基本です。当院では、基礎化粧品から見直しをお勧めし、毛穴を詰まらせにくい「ノンコメドジェニック」のクレンジングや日焼け止め、メイク用品などをご案内しています。ニキビが気になる時期にはパウダーメイク程度にしていただくなど、ニキビを作らないメイクの仕方などもお伝えしています。
また、ビタミンCの入った基礎化粧品による皮膚のターンオーバー促進や、代謝を助けるビタミンB2・B6をしっかり摂ることなども大切です。身体の内外から美しい肌を目指していただけるよう、丁寧にお手伝いしています。

― 貴院では、どのようなニキビ治療が受けられますか。

アクネ菌を殺菌するために、「ベピオ」という外用薬を用いています。これは近年保険適用されたもので、耐性菌が生じにくく、継続的に塗布できる非常に優れたお薬です。ほかにも、皮脂の分泌を抑えつつ抗炎症・抗菌の効果もあり、敏感肌の方にも使える「アゼライン酸」などを処方しています。自費診療ですが、欧米では広く採用されており、妊娠中でも使用可能です。思春期ニキビからアダルトニキビまで、幅広い年代の方のお悩みに合わせて対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

― 市販薬でニキビを治すことはできないのでしょうか。

症状にピッタリ合う薬が見つかれば良くなる可能性もありますが、難しいことが多いですね。患者様のなかには、市販薬や化粧品を使ってニキビをコントロールしようとしたけれども、うまくいかず来院される方が少なくありません。ニキビが治らない、ひどくなるといった場合は、専門家に診てもらうことをお勧めします。

ニキビ跡の状態を丁寧に確認、多彩なデバイスで段階的かつ柔軟にアプローチ

― ニキビの跡が残ってしまう原因を教えてください。

ニキビ跡ができるのは、炎症を長引かせているからです。コメド内で炎症が起きると周辺の皮膚にもダメージが広がってしまい、色素沈着が起きたり、クレーター状のニキビ跡ができたりしてしまうのです。
炎症を長引かせる一番の原因は、自己判断による治療でしょう。自分で症状をコントロールできなくなるケースや、洗顔や保湿などの適切なケアをしなかったために炎症が長引いてしまうケースなどがあります。「ニキビを潰すのはNG」ということはよく知られているのですが、炎症を放置するのも、周囲の組織にダメージを与える原因になるのです。速やかに炎症を抑えれば跡にならないことも多いので、早い段階で適切なニキビ治療を始めましょう。

― ニキビ跡の治療は、どのように選べばよいでしょうか。

当院では、幅広いニキビ跡治療の選択肢をご用意しており、症状によって複数のデバイスを組み合わせながら、段階的に治療を進めていく方針をとっています。これは、患者様一人ひとりの肌の反応や治療経過を丁寧に確認しながら、その人に合った効果的な方法を選び直していくためです。
肌のデコボコというお悩みには、皮膚の癒着を切り離してへこみを改善する「サブシジョン」や、癒着した組織を炭酸ガスで剥離させ、薬剤で肌の再生を促す「トライフィルプロ」、針を使用せず、肌深層に空圧で薬剤を浸透させる「ミラジェット」などを組み合わせて治療します。それぞれアプローチが異なるため、ニキビ跡のタイプに応じた選択が重要です。
色素沈着が気になる方には、肌細胞の入れ替えを促す「ピコフラクショナル」を用いたり、赤みや黒ずみが残るニキビ跡には「ジェネシスV」や「IPL光治療（セレックV）」などを用いたりして、炎症後の色調を整えていきます。
当院ではこのように多彩なデバイスを揃えていますので、ご希望に合わせた幅広い提案が可能です。効果がみられない治療を漫然と続けるのではなく、結果を重視しながら柔軟に治療方針を切り替えていけるのが強みといえますね。

― 治療には、どのくらい時間がかかりますか。

真皮という肌の深いところが受けたダメージを少しずつ改善していくので、根気よく肌と向き合っていくプロセスが必要となります。とはいえ費用面のご負担も無視できませんので、当院では基本的に「1か月に1回の施術×3回」を1クールとして設定しています。1クールの治療を通して、肌の反応や改善の度合いをしっかり確認し、もし効果が弱いと感じられた場合には、次の段階の治療をご提案しています。