前向きな治療に大切な
「納得感」は、患者様
との丁寧な対話から
慢性疾患の治療から健康相談まで。感染症対策を徹底した院内で丁寧にお話を伺い、患者様に寄り添います。
- 美園おなかと内科のクリニック 北海道札幌市豊平区
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- 岡本 耕太郎 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.085
眼科
目次
眼球内、正確には虹彩(眼内に入る光の量を調節する器官。日本人の場合には“茶目”に当たる)と水晶体(レンズの役割を担う器官)の間のスペースに「眼内コンタクトレンズ(Implantable Collamer Lens)」を移植して、近視や乱視を矯正する手術です。まずは点眼薬によって瞳孔を広げ、麻酔を行なった上で、角膜の縁を約3ミリ切開。虹彩と水晶体の間のスペースを広げるために、粘弾性物質と呼ばれるヒアルロン酸入りのゼリー状の薬剤を注入し、専用器具を使って「コラマーレンズ」を眼内に挿入、適切な位置で固定します。その後は粘弾性物質を吸い取り、瞳孔を収縮させて手術は完了です。所要時間は10分〜15分程度。技術的には手術法が確立されており安全性が高い手術と考えられます。
手術が終了して1時間後に眼圧とレンズの位置をチェックし、問題がなければ当日中にお帰りいただけます。翌日に感染兆候がないか確認し(翌々日も通院を要するケースもあり)、術後1週間、1か月、3か月と経過を観察。6か月後に異常がなければ、治療は一旦終了です。ちなみに当院では、患者様にできるだけリラックスして手術を受けてもらえるよう、点眼麻酔に加えて笑気麻酔も導入しています。笑気麻酔は鼻から特殊なガスを吸う麻酔で、手術中の緊張感を和らげる効果と痛みを抑える効果があります。
一番の違いは「可逆性」ですね。レーシック手術は、角膜をレーザーで削ってカーブの形状を変えることで近視や遠視、乱視を矯正する手術ですが、一度削った角膜は元に戻せません。一方、ICL手術では角膜を削りません。術後に眼圧が上がってしまう、ピントが合わないといった不具合が生じた場合でも、コラマーレンズを抜いてレンズのない状態に戻すことができますし、手術のやり直しも可能です。ですから、レーシック手術と比べて安心して受けていただけるのではないでしょうか。
手術を正確に行うことはもちろんのこと、ICL手術は「術前の準備」がとても大切です。コンタクトレンズ同様、数あるレンズの中から患者様の目の中に入れるレンズを決めなくてはなりません。当院では前眼部OCT(3次元光干渉断層計)をはじめとする機器を用いて、角膜形状や目のサイズの検査を正確に行うよう心がけております。そして検査結果に基づいて選ばれた最適なレンズを、患者様の目に丁寧に挿入します。
目標とするのは「患者様の気持ちに寄り添う診療」「幅広い疾患に対応できる懐の深い診療」です。私はこれまで大学病院や地域の中核病院の緑内障手術外来、網膜硝子体外来担当として、数多くの手術を行ってきました。白内障や緑内障、硝子体の症状が同時に進行するような、複合的な疾患の治療経験も豊富です。またクリニックでの診療と並行し、現在も兼任講師として日本大学医学部附属板橋病院で難症例の手術を行うとともに、他院でも手術をしております。これらの経験を通して培ってきた医療技術や新しい知識を、当院での治療に還元していきたいと思っています。
「Ophthalmic Surgery Film Award」という大会で金賞を2度受賞、「Young Ophthalmologist Film Festival」という大会では優勝の経験があります。非常にありがたいことですが、これに甘んずることなく、日々知識や手術を進化させていきたいです。日常生活の中でも「このアイデアは、あの手術に使えるかも」と四六時中考えていますし、夢の中でも手術していることがありますね。ちなみに、優勝時に提案した「わたあめ法を用いた水晶体脱臼手術」は、眼内に落下してしまった水晶体を特殊な方法で拾うというものですが、その基本的な原理は子どもと行ったお祭りで、わたあめの屋台を見たときに閃いたアイデアなのです。
研修医の頃に受けた指導で、いまも肝に銘じていることが二つあります。一つは基本動作を大切にすること。もう一つは、自分の親を手術するつもりで執刀するということです。どんなに手術が立て込んで忙しいときでも、基礎をおろそかにしたり、手を抜いたりすることは許されません。
また、どのような状況でも気持ちが揺らぐことのないよう、手術の最中は常に無心(ゼロ)、フラットでいることを心掛けています。
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