きずときずあとのクリニック 豊洲院 村松 英之 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.071

形成外科

リストカットによる傷跡を隠す生活にピリオドを打つ「戻し植皮」
リストカットによる傷跡を隠す生活にピリオドを打つ「戻し植皮」
きずときずあとのクリニック 豊洲院
  • 村松 英之 院長
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豊洲駅から徒歩5分の「きずときずあとのクリニック豊洲院」は、形成外科と美容外科を診療する。創傷治療と瘢痕治療をメインに取り組む同院には、怪我や火傷の傷跡治療を求めて多くの患者が訪れている。特に毎年2月から3月にかけて、リストカットの傷跡治療を希望する方の受診が増えるという。同院の院長である村松英之先生によると、「戻し植皮により自傷行為の傷跡が目立たなくなったことで、積極的に人付き合いができるようになり、ご縁があって結婚に至った患者さまもいらっしゃいます」とのことだ。従来の「レーザー治療」「切除術」「削皮術」とは異なるアプローチで傷跡を治療する「戻し植皮術」を中心に、村松先生に詳しく伺った。(取材日 2022年3月23日)

リストカットなど自傷行為の傷跡が「生きづらさ」の原因になることもある

― 自傷行為の傷跡治療で来院するのは、どのような方が多いですか?

半袖のユニフォームを着る職場に就職するなど、ライフスタイルの転換点を迎えて腕を出す機会が増える方ですね。
実は自傷行為の発生率に男女差はそれほどないのですが、傷跡を気にして来院されるのは女性、特に20代前半から30代半ばの年代の方が圧倒的に多いです。傷跡がある方は、社会の偏見や周囲からの視線を意識せざるを得ないため、生きづらさを感じながら生活しています。真面目な性格の方も多く、「傷跡を目にした相手を嫌な思いにさせないか」「傷跡があることで心が弱い人と思われたくない」などの不安から、仕事や恋愛を含めた人間関係にも消極的になりがちな傾向があるようです。

― 自傷行為の傷跡の治療方法について教えてください。

2種類あります。1つ目は傷跡そのものを目立たなくする、もしくは隠しやすくする方法です。2つ目は、傷跡を敢えて別の傷跡にすることで、それがリストカットの傷跡であるとは判らないようにする方法です。
最終的な目的は日常生活をしやすくすることですが、どちらを選択するかは患者さまが治療後どうなりたいかによって変わります。たとえば、仕事をする時に隠せれば問題ないとお考えの方には前者をご提案します。交際相手や子どもに傷跡があることを知られたくない方の場合、前者の方法を選択しても隠すだけでは意味がないため後者をご提案します。

自身の皮膚を植皮して見た目を改善する「戻し植皮」

― 具体的にはどのような治療の選択肢がありますか?

当院では、「フラクショナルレーザー治療」「切除術」「削皮術(さくひじゅつ)」「戻し植皮」の4種類をご提案しています。特に深くて太い傷跡に対しては、フラクショナルレーザー治療以外の手術による治療をおすすめしています。
切除術は、リストカットの傷跡自体を切除する手術で、位置や範囲に応じて直線やジグザクに縫合することで、手術の傷跡もなるべく目立たないようにします。削皮術は、問題のある部分の皮膚を削り取って再生されるのを待つ手術で、切除術では対応が難しい広範囲に及ぶ傷跡の治療に向いています。
いずれもメリットがある手術ですが、切除術は縫い跡ができる、削皮術は肥厚性瘢痕と呼ばれる赤みの強いふくらみができる可能性があり、治療による新しい傷が原因でお悩みが解消されないリスクもあります。そのようなデメリットが少ない手術が「戻し植皮」です。

― 戻し植皮について、詳しく教えてください。

戻し植皮は、リストカットの傷跡がある部分の皮膚を薄く剥がして真皮層を平らに整えた後に、元の方向から90度回転させた状態で植皮する手術です。皮膚がくっついた後は広範囲の火傷後のような見た目になり、リストカットをした傷跡はうっすら縦筋が残る程度なので、治療後の腕を見られてもリストカットの傷跡とは思われにくい状態となります。
手術時間は、傷跡が狭くて浅い場合であれば1時間半程度ですが、大きさや深さ次第では最長で3時間近くかかる場合もあります。術後は2〜3日以内に傷口をチェックしてギプスを再装着、そこから1週間後に抜糸、その後も傷口の治り具合を観察するため定期的に通院していただきます。手術した部分が落ち着くまで1年程かかりますので、その間は保湿と遮光を徹底していただくように、患者さまにはお願いしています。

― 戻し植皮を選択するのは、どのような方が多いのでしょうか?

カウンセリングで、患者さまのご要望や「なりたい姿」の意識合わせをしてから具体的な治療方法をご提案するのですが、傷跡を敢えて別の傷跡に変える手術を希望される患者さまの7~8割の方が戻し植皮を選択されていますね。他院で治療を受けたものの、想像していたものと異なる仕上がりになったことから当院に相談に来られる患者さまもいらっしゃいます。この治療は2018年末から開始しており、現時点(2022年4月)で100件以上の治療実績があります。

ドクターからのメッセージ
  • 村松 英之 院長

リストカットの傷跡にコンプレックスを感じているものの、どこで治療ができるかわからずお困りの方は非常に多いと感じています。当院のホームページでは戻し植皮の症例画像、公式YouTubeでは戻し植皮の解説動画を公開しています。治療についてより深く理解するための資料として、ぜひこちらもご参考になさってください。 https://www.youtube.com/c/きずときずあとのクリニック

リストカットによる傷跡を隠す生活にピリオドを打つ「戻し植皮」
リストカットによる傷跡を隠す生活にピリオドを打つ「戻し植皮」

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住所
東京都江東区豊洲5丁目6−29 パークホームズ豊洲ザ レジデンス 1F
電話番号
03-5166-0050
診察領域
形成外科、美容外科
専門医
形成外科専門医、熱傷専門医