医療法人輝栄会 福岡輝栄会病院  密川 守 脊椎外科部長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.049

整形外科

最新かつ最善を追求して、脊椎脊髄疾患を治療する「せぼね外来」
最新かつ最善を追求して、脊椎脊髄疾患を治療する「せぼね外来」
医療法人輝栄会 福岡輝栄会病院
  • 密川 守 脊椎外科部長
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JR・西鉄千早駅から徒歩約5分の福岡輝栄会病院は、脳神経・脊髄疾患治療部をはじめ、さまざまな専門医療を地域の人々に提供している福岡市東区の基幹病院だ。同病院では2021年4月に「せぼね外来」を開設。高齢化社会にともない増加傾向にある「脊椎圧迫骨折」のほか「脊柱管狭窄症」「腰椎椎間板ヘルニア」などの脊髄由来の疾患に対し、「ヘルニコア注入療法」「BKP手術」などの専門性の高い治療を行っている。日本脊椎脊髄病学会認定の脊椎脊髄外科指導医として同院の脊椎外科部長を務め、「せぼね外来」を担当する密川守先生に、「せぼね外来」の特徴や脊椎・脊髄疾患の最新治療について伺った。(取材日 2021年5月12日)

せぼね外来の特徴〜地域の基幹病院ならではの専門性の高い治療を〜

― 「せぼね外来」とはどのような外来でしょうか?

若い方に多い「腰椎椎間板ヘルニア」や中高年に多い「脊柱管狭窄症」、高齢者に多い「脊椎圧迫骨折」を中心に、首・腰・手足の痛みやしびれ、歩行困難といった、背骨に原因があって起こる疾患・症状に特化した外来です。福岡輝栄会病院ではこれまで脳神経外科と脊椎・脊髄外科にて脊椎疾患治療を行なってきましたが、より患者さんが受診しやすい専門外来をつくろうと2021年4月にせぼね外来を開設しました。

― せぼね外来では、どのような治療を行なっているのでしょう。

薬物治療やブロック注射(麻酔薬)による保存的治療はもちろんのこと、それでは効果が得られない場合や神経麻痺症状が強い場合は手術も行います。福岡市東区ではまだ導入事例が少ない、腰椎椎間板ヘルニアの最新手術「ヘルニコア注入療法」や、脊椎圧迫骨折への「経皮的バルーン椎体形成術(BKP手術)」に対応しているのが特徴ですね。これらの手術はどちらも保険診療となっています。

― 腰椎椎間板ヘルニアの最新治療「ヘルニコア注入療法」について教えてください。

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の椎間板から飛び出した髄核(=ヘルニア)が神経を圧迫することで足の痛みやしびれ、腰の痛みが起こる病気です。従来の治療は外科手術が基本で、1〜2週間の入院が必要でした。2018年に保険適用となったヘルニコア注入療法は、局所麻酔による1回の注射で高い治療効果が期待できる画期的な手術療法です。ヘルニコアを注射することで有効成分のコンドリアーゼが髄核内の保水成分を分解し水分によるふくらみを和らげます。結果として神経への圧迫が改善し、痛みや痺れなどの症状が軽減すると考えられています。およそ1か月で本来の状態へと改善することが期待でき、ヘルニアを切ることなく神経への圧迫が軽減され、手術も30分程度で終了するため、当院のせぼね外来では日帰り手術を基本としています。

― 脊椎圧迫骨折の治療法「BKP手術」について教えてください。

脊椎圧迫骨折とは、背骨が押し潰されるように変形してしまう骨折です。骨粗しょう症が原因であることが多く、またちょっと動くだけで背骨が痛むので、高齢者が寝たきり状態となるきっかけになりやすい骨折です。
経皮的バルーン椎体形成術(BKP手術)は、骨折した部分に小さな穴を開け、骨内部にバルーンを入れて膨らませることで、潰れていた背骨の形を整復する手術です。さらに、骨セメントを注入して背骨を安定させるので、コルセットでの療法に比べ痛みが発生しにくいのが特徴です。手術も20分程度、入院も数日で済むため、ご高齢の方の要介護化を防ぐという意味でもおすすめしたい手術療法です。

つらい痛みや痺れに悩まされず、笑顔で人生を過ごすお手伝いをしたい

― 密川先生のこれまでのキャリアを教えてください。

私は久留米大学医学部卒業後、同大学病院の整形外科に入局。10年間の勤務を通じ、約2000例を超える脊椎疾患の手術療法に従事しました。またアメリカのエモリー大学にも留学。英語が堪能な妻に支えられ、椎間板の遺伝子治療に取り組む充実した2年間を過ごしました。
そのキャリアから現在では、日本脊椎脊髄病学会が認定する指導医として活動。2018年から2021年にかけてはBest Doctorsの一人にも選出いただきました。福岡輝栄病院は市中病院ですので、手術によっては大学病院と連携する必要がありますが、私に可能な範囲で最新かつ最善の治療に取り組みたいと考えています。

― 専門手術の技術指導にも取り組まれているそうですね。

福岡輝栄会病院のせぼね外来で取り組むヘルニコア注入療法やBKP手術は、腰椎椎間板ヘルニア治療に十分な経験を持つ医師や、専門のトレーニングを受けた日本脊椎脊髄病学会指導医などに手術が許されている手術療法です。私は学会認定の指導医としてこの両手術に取り組むだけでなく、積極的に講習や講演を行い普及にも努めています。私はこれまでヘルニコア注入療法を100例近く執刀しましたが、約95%の患者さんが満足する結果を得ています。こうした実例も紹介しつつ、導入される医師や病院が増えることを願っています。

― どのような方にせぼね外来を受診してほしいですか?

脊椎疾患による辛い痛みやしびれは、歩行や日常生活に困難を引き起こします。ですが、地域性なのか福岡には痛みやしびれを我慢してしまう方が多いように感じています。しかし医師としては「我慢しないで!」と声を大にしてお伝えしたいですね。特にご高齢の方は、悪化して寝たきり状態になると運動器や認知機能が急激に低下します。私の父も入院により一時的に認知機能が低下したことがありました。せぼね外来が入院や寝たきりを避けるための治療法を多く導入しているのは、そのようなケースを減らしたいと願っているからなのです。

ドクターからのメッセージ
  • 密川 守 脊椎外科部長

医師としての私のモットーは「最新かつ最善の治療」です。常に最新の治療を学びながらも患者さんへの適応が高い治療法は何かを考え、最新の治療が最善でなければ別の治療を提案しています。 福岡輝栄会病院はMRIの予約が取りやすいため、画像診断を通じて正しい診断や治療方針を素早く立てることができます。痛みやしびれを我慢せず、ぜひ一度受診にきてください。みなさんが笑顔で人生を過ごせるお手伝いができるよう頑張ります。

最新かつ最善を追求して、脊椎脊髄疾患を治療する「せぼね外来」
最新かつ最善を追求して、脊椎脊髄疾患を治療する「せぼね外来」

医療法人輝栄会 福岡輝栄会病院

場所
福岡県福岡市東区千早4丁目14−40 MAP
電話
092-681-3115
診察領域
内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、胃腸科、糖尿病科、リウマチ科、アレルギー科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、肛門科、リハビリテーション科、泌尿器科、眼科、内視鏡、放射線科、麻酔科、予防接種、健康診断、人間ドック
専門医
外科専門医、脳血管内治療専門医、脳神経外科専門医、循環器専門医、消化器病専門医、消化器外科専門医、大腸肛門病専門医、消化器内視鏡専門医、整形外科専門医、泌尿器科専門医、糖尿病専門医、リウマチ専門医、麻酔科専門医、核医学専門医、放射線科専門医
専門外来
てんかん・ひきつけ専門外来、物忘れ専門外来(認知症外来)、心臓ペースメーカー専門外来、循環器疾患専門外来、高血圧専門外来、糖尿病専門外来

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