頼れるドクターが教える治療法vol.047
産科
手術や入院・点滴等の準備は、通常の帝王切開と基本的に同じなので、妊婦さまとご家族にとってのデメリットはありません。ご家族の方から血液などの術野は見えないようにカバーしていますし、不安にならないようにリラックスできる曲を流しています。ご家族には妊婦さまの手を握っていただき、普段と同じように話しかけていただければよい状態にしています。ただ、私たち医療者側は、不安を与えないように、電気メスを使用せずに匂いを出さないような手術をしたり、手の束縛もしないので妊婦さまが動いたりする中での手術を行うなど普段と異なる技術が求められます。また、手術中に妊婦さまから「痛い」という声があがると、ご家族との信頼関係が崩れてしまいますので、脊髄くも膜下麻酔以外に硬膜外麻酔(CSEA)を併用し、麻酔を綿密にコントロールする必要があります。
予定帝王切開の場合でも、周囲の組織との癒着など、実際に手術を行ってみてわかることが存在します。どんなに丁寧に手術を進めても、出血が多く輸血が必要になるケースや、母体や赤ちゃんの状態が悪く、緊急蘇生が必要になるケースが稀にありますし、さらに状態が悪ければ高次医療施設への搬送が必要になる場合もあります。その場合でも、ご家族が手術の一部始終を目にし、私たちが緊張感を持って迅速に動いていたことをご理解いただければ、術中に説明を簡略に行えるので、スピーディーかつスムーズに搬送できます。これも「家族立ち会い帝王切開」のメリットの一つです。
はい。ハードルがあるとすれば麻酔管理と、医師や助産師の理解・納得をいかに得るかという点でしょうか。最初は反対意見が多いかもしれません。特に他の手術も行う大きい病院ほど難しいと思います。しかし産科に特化した施設なら「家族立ち会い帝王切開」の仕組みを検討できると思います。当院では同様の仕組みを検討されている他施設さまに見学に来ていただき、情報を公開しています。手術の最初から最後までフルで立ち会える施設が増えて、経膣分娩で家族の立ち会い出産が多くなった流れのように、「なぜ帝王切開の立ち会いをしないのか」という雰囲気に変わっていくことを願っています。
そして、妊娠中のすべての方が不安を抱えず妊娠生活を送り、どのような出産方法でも満足いく結果に終わることを願っています。
かわぐちレディースクリニック
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複数の治療法を組み合わせて、肝斑へ効果的にアプローチ。症状改善のための生活指導も行っています。
衛生面にこだわった環境下で、大学病院で培った経験を活かして白内障手術を実施します。
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