いしがみ整形外科クリニック 石神 等 院長 | ドクターズインタビュー

メニュー

頼れるドクターが教える治療法vol.045

整形外科

手術に頼らない変形性膝関節症の新たな治療法〜PRP再生医療〜
手術に頼らない変形性膝関節症の新たな治療法〜PRP再生医療〜
いしがみ整形外科クリニック
  • 石神 等 院長
31,154 views
中高年に患者が多い「変形性膝関節症」は、膝軟骨がすり減ることによって起こる病気で、放っておくと徐々に膝の変形や痛みが悪化し、寝たきり状態へとつながる恐れが高い。整形外科医としてこの疾患に長年取り組んできたのが「いしがみ整形外科クリニック」の石神等院長だ。1000例以上の人工関節手術を執刀した経験から、外科手術に頼らない新しい治療法に注目。2019年より血小板を凝縮した製剤を幹部に注入する再生医療「PRP療法」に取り組み、150例以上の豊富な施術実績を挙げている。そんな院長に、変形性膝関節症の原因や症状、再生医療による治療について詳しい話を伺った。(取材日 2021年1月25日)

ひざに違和感を覚えたら、早めに整形外科専門医に相談を

― 変形性膝関節症とはどのような病気ですか?

主に加齢が原因でひざの関節の中にある軟骨がすり減り、痛みや変形を生じる病気です。正座などのひざを曲げる動作が多い女性に発症しやすいのですが、食の欧米化による肥満が原因でひざに負担がかかり発症する男性も増加しています。また性別や年齢に関わらず、スポーツや余暇をアクティブに過ごす方も発症しやすいようです。
最初はひざへの違和感や歩き始めの痛みが気になる程度なのですが、進行してくるとひざに水が溜まり、日常生活の動作に支障をきたすように。重症化するとひざが変形して曲げ伸ばしができなくなり、安静にしていてもひざが痛いという状態になります。今や高齢者の介護要因のナンバーワンが関節や筋肉などの運動機能の低下です。要介護状態を避けるためにも、症状を感じ始めたら早めに整形外科専門医へ相談ください。

― 治療法にはどのようなものがあるのでしょう?

従来からの治療法としては、まず減量と運動療法を通じた日常動作の改善があります。変形性膝関節症に悩む方の多くが、ひざに負担をかける体の使い方をしています。当院では理学療法士とともにその習慣を改善。あわせて電気療法などの物理療法で、痛みや突っ張り感のケアをしていきます。また鎮痛薬の内服または外用、ヒアルロン酸やステロイド剤などの関節内注射といった薬物療法も基本的な治療法です。ただしこれらの治療法は痛みの改善はできても、根本治療には至りにくいのが現状です。

― 根本治療には手術が有効だと聞きました。

変形性膝関節症が悪化し、重度の変形や骨がずれてしまう状態になると外科手術が有効です。いくつかの手術法がありますが、根本治療には皮膚や骨を切る外科手術が必要となります。特に人工膝関節全置換術などの人工関節を入れる手術は、適切に手術をすれば最も有効な治療といえるでしょう。私は膝関節を診る整形外科専門医として、これまで1000例以上の人工膝関節置換術を執刀してきました。手術を希望される方には、川越三井病院をはじめ提携病院での手術をご案内しています。

血小板の自己再生能力を活用するPRP療法は、体に優しい治療法

― 先生のクリニックで取り組まれている、再生医療について教えてください。

再生医療とは、ノーベル賞を受賞したiPS細胞研究で注目を集めるようになった比較的新しい医療です。患者さま自身の組織を用いるため、薬物治療や外科手術に比べて副作用や合併症の恐れが少ないメリットがあります。
当院が取り組んでいるのは「PRP療法」という再生医療です。PRPとは血小板のことで、患者さまの血液から抽出したPRPを2~3週間かけて製剤へと凝縮して膝関節に注射します。当院ではPRP療法の中でも血小板の凝縮度が高い「PRP-FD療法」を導入。成分の純度が高いため注射による炎症が残りにくく、また製剤を6か月間保存できるため、患者さまの都合に合わせて治療をすることができます。

― 手術の代わりに再生医療を利用できますか?

可能です。従来は外科手術しか改善を見込めなかったグレード4と呼ばれる変形段階の方でも、当院のPRP-FD療法を受けることで、約半数の方が「痛みが取れてきた」と実感しています。
再生医療とはヒトが本来持つ自己再生能力を活用した治療法です。関節の軟骨や靭帯は血液が流れていないため、血小板による自己再生能力が低い組織でした。そこに血小板を凝縮した製剤を注射することで、意図的に自己再生能力を生み出すのがPRP療法なのです。またPRPには軟骨再生能力だけでなく、膝関節変形への予防効果があることも近年わかってきています。
当院では150例以上のPRP-FD療法を実施していますが、患者さまへの有効率は8〜9割前後と高く、最低でも40%の痛みが軽減。再生医療は、いろいろな事情で外科手術は避けたいとお考えの患者さまに選ばれるケースが増えています。

― 再生医療と手術のメリット・デメリットを教えてください。

再生医療は新しい治療法のため健康保険が利用できない自由診療となりますが、当院では利用しやすい価格に設定。人工膝関節置換術の手術と比較しても3割負担の場合とほぼ同じ費用感で利用できます。
効果の持続については、人工膝関節置換術で治療すると20年程度の効果維持が期待できます。一方で「PRP-FD療法」は効果維持期間が最大で2年ほどですが、1回の施術で「回復した」「痛みを感じなくなった」という声を多数いただいています。痛みが再発して再注射を行うケースもありますが、当院では施術後に理学療法士や看護師が中心となった再生医療担当スタッフがリハビリによる再発防止に尽力します。

ドクターからのメッセージ
  • 石神 等 院長

ひざの痛みというのは、皆さまが思っているよりも「改善できる」悩みです。今は薬も良いものができていますし、手術はもちろん再生医療という選択肢もありますので、お近くの膝関節治療を得意とする整形外科専門医にご相談ください。当院ではスタッフ全員で患者さまの悩みにコミットし、楽しく前向きに治療に向き合えるようサポートしています。ひざの痛みにより諦めた家族との触れ合いや趣味の活動が、再びできるようになった自分を想像してみてください。「生きる楽しさ・喜び」を私たちと一緒に取り戻しましょう。

手術に頼らない変形性膝関節症の新たな治療法〜PRP再生医療〜
手術に頼らない変形性膝関節症の新たな治療法〜PRP再生医療〜

いしがみ整形外科クリニック 地図を見る

住所
埼玉県川越市豊田町3-11-2
電話番号
049-265-5639
最寄駅
川越駅、川越市駅、南大塚駅
アクセス
最寄りバス停
広栄町(クリニックまで460m)、豐田町2丁目(クリニックまで420m)
駐車場
あり(敷地内に23台、ニトリ様に15台)
診察領域
整形外科、リハビリテーション科
専門医
整形外科専門医
専門外来
骨粗鬆症専門外来