御徒町おひさま内科 榎奥 健一郎 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.197

内科

全身の健康状態を映し出す脂肪肝。指摘を受けたら早めに受診を
全身の健康状態を映し出す脂肪肝。指摘を受けたら早めに受診を
御徒町おひさま内科
  • 榎奥 健一郎 院長
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「健康診断でASTやALTの数値が異常だと指摘を受けたが、自覚症状がないので様子を見ている」という方もいるだろう。しかし肝臓は「沈黙の臓器」とよばれ、肝硬変にまで至っても気づかない患者も多いという。さらに近年、脂肪肝は肝臓だけの病気ではなく、糖尿病や動脈硬化、さらにはさまざまながんとも関係していることが分かってきている。新御徒町駅徒歩3分「御徒町おひさま内科」の榎奥健一郎院長は、東京大学医学部附属病院の消化器内科で20年以上基礎研究や教育、診療を行い、治療が長期にわたることが多い肝臓疾患の患者一人ひとりとじっくり関わってきた。榎奥院長に、脂肪肝の概要及びその検査と治療などについて伺った。(取材日 2026年6月4日)

肝機能数値の異常は体からのサイン。まずは現状を確認し、生活の改善を

― 健康診断で肝機能異常を指摘された場合、どのような病気が疑われますか?

ASTやALTといった肝機能の数値が上昇していると健康診断で指摘された場合、まず考えられるのが脂肪肝です。脂肪肝とは、肝臓の細胞の中に中性脂肪が蓄積した状態を指します。肥満の方に多い病気ですが、脂肪のたまりやすさには個人差があるので、BMI値が正常でも肝機能の検査数値が異常を示す方もいらっしゃいます。またアルコールの摂取も、脂肪肝の原因として重要です。

― 脂肪肝にはどのような症状がありますか?

厄介なことに、脂肪肝には自覚症状がほぼありません。肝臓は炎症などが進んでも症状が出にくいという特徴があり、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。肝硬変に至っても気づかない患者様も多く、健康診断は病気を発見する重要なきっかけになります。ですから「症状がないので大丈夫」と考えず、数値の異常は体からのサインとして受け止めていただきたいですね。

― 脂肪肝になると、どのようなリスクがあるのですか?

肝硬変や肝がんを想像されるかもしれませんが、実はそれだけではありません。脂肪肝でASTやALTが高くなっている方は、糖尿病や脂質異常症、高血圧、動脈硬化にもなりがちです。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な心血管疾患につながる可能性があります。また、肝臓以外のがんのリスクが高まることも分かってきています。私も長年脂肪肝の患者様を診てきましたが、脂肪肝をきっかけに糖尿病や動脈硬化、がんが見つかるケースは少なくありません。肝臓だけでなく、全身の健康状態を映し出す病気と考えた方がよいでしょう。

― 健康診断で異常を指摘された場合、どのように対応すればよいのでしょうか?

自覚症状がなくても、医療機関を受診することをお勧めします。ひとくちに脂肪肝と言っても程度の差がありますし、採血や超音波検査によって状態を把握することで、経過観察でよいのか治療が必要なのか判断できるでしょう。
「このまま肝硬変になってしまうのか」と心配される方は多いですし、もちろん注意は必要ですが、今日明日で急激に悪化する病気ではありません。大切なのは、冷静に自分の状態を把握し、必要な治療や生活改善に取り組むことです。早い段階で気づけば改善も期待できますので、まずは現状を確認していただきたいですね。

一人ひとりとじっくり関われる点に魅力を感じ、20年以上肝臓診療に尽力

― 脂肪肝の治療を専門にされたのはなぜですか?

私は東京大学医学部附属病院の消化器内科で20年以上肝臓診療に携わり、現在も外来を担当しています。肝臓の病気は治療が長期にわたることが多く、一人ひとりの患者様とじっくり関われる点が自分に向いていると思いました。私が医師になった頃、脂肪肝の治療は「痩せればよい」と考えられることも多かったのですが、その後さまざまな病気との関連も明らかになり、研究としても診療としても非常に重要な分野です。引き続き、やりがいをもって取り組んでいけると思います。

― 脂肪肝が疑われる場合、どのような検査を行いますか?

まず採血を行い、AST、ALT、γ-GTPのほか、血糖値やHbA1c、コレステロールなども確認します。そのうえで腹部超音波検査を行い、肝臓への脂肪の沈着や変形、肝がんの有無などを調べます。肝臓は炎症が続くと徐々に硬くなっていきますが、当院では超音波検査で硬さを測定し、数値として把握することが可能です。採血データだけでは分からない線維化の進行具合を確認できるため、今後の治療方針を考えるうえでも重要な情報になります。

― 脂肪肝の治療方法について教えてください。

大きく2つあり、肝臓の炎症を抑えることと、内臓脂肪を減らして脂肪肝そのものを改善することです。脂肪肝の患者様は、軽度の糖尿病を併発していることも少なくありません。そのような場合、マンジャロ(チルゼパチド)をはじめとした体重減少が期待できる糖尿病治療薬を活用する場合もあります。体重減少や採血データの改善がみられることで、治療に前向きに取り組めるようになる方もいらっしゃいますね。
私は、病気を治すために人生の楽しみまで失って欲しくないと考えています。お酒や食事を楽しみにしている方は大勢いらっしゃいますので、それぞれの生活や価値観を踏まえながら、無理なく治療を続けられることが大切です。「お酒をやめるのは難しい」など、率直な気持ちも含めてご相談いただきたいですね。

ドクターからのメッセージ
  • 榎奥 健一郎 院長

脂肪肝はさまざまな病気と関わっているため、治療の過程でさらに専門的な検査などが必要になることもあります。そのような場合には、現在私が担当している東京大学医学部附属病院の肝臓外来で診療を継続したり、病状に応じて適切な診療科へおつなぎしたりします。実際に、経過をみる中で狭心症やがんなどが早期に見つかり、適切な治療につながった方もいらっしゃいます。
肝臓の治療は、しばしば長い道のりになります。そのため私は患者様の不安や困りごとを丁寧に伺い、それぞれの生活を大切にしながら無理なく続けられる治療を心がけています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

全身の健康状態を映し出す脂肪肝。指摘を受けたら早めに受診を
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住所
東京都台東区台東四丁目16-11 サルースおかむらビル2階
電話番号
03-5807-0130
最寄駅
新御徒町駅、御徒町駅
アクセス
都営大江戸線、つくばエクスプレス 新御徒町駅 徒歩3分
JR御徒町駅 徒歩8分
診察領域
内科、消化器内科、予防接種、健康診断、在宅医療
専門医
肝臓専門医
専門外来
睡眠時無呼吸症候群専門外来・SAS外来・いびき外来、肝臓病外来、生活習慣病専門外来、骨粗鬆症専門外来