かわぐちレディースクリニック 檜垣 博 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.179

産科

24時間365⽇無痛分娩に対応し、
幸せな出産を支える
24時間365⽇無痛分娩に対応し、<br>幸せな出産を支える
かわぐちレディースクリニック
  • 檜垣 博 院長
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麻酔を使って出産時の痛みを和らげる「無痛分娩」。母体の肉体的・精神的な疲労を大幅に軽減し、産後の回復や胎児への好影響、さらには出産時の記憶を鮮明に保てるなどメリットも数多い。欧米に比べるとまだまだ普及率が低いと言われているが、近年「幸せな出産」のための選択肢の一つとして、日本でも確実に広がりつつある。埼玉県川口市の「かわぐちレディースクリニック」では、24時間365日無痛分娩に対応できる体制を構築しており、同院の患者による無痛分娩の選択率は、開院当初の15%から75%まで増加しているとのこと。院長の檜垣博先生に、無痛分娩の特徴や具体的な方法、現在の体制を実現するための心構えなどについて伺った。(取材日 2025年9月12日)

肉体的・精神的な疲労を大幅に軽減。より鮮明に出産を記憶できる効果も

― 無痛分娩とは、どのような分娩方法なのでしょうか。

一言でいえば、麻酔薬を使って出産時の痛みを和らげる分娩方法のことです。歯科治療の際、歯茎に麻酔をかけるのと同様に、下半身に麻酔をかけて陣痛の痛みを可能な限り和らげるというイメージです。母体の肉体的・精神的な疲労を大幅に軽減できるので、産後の早い回復が見込めます。また、出産中の血圧のコントロールが良くなる、新生児への酸素供給が不足しにくくなる、会陰の縫合や出血などの処置にも鎮痛効果があるなど、さまざまなメリットがあります。
また無痛分娩の際、上半身は完全に覚醒しています。出産時にもはっきりとした意識があり、痛みや体力の消耗が少ない分「出産の記憶がより鮮明に残る」ともいわれています。これこそ無痛分娩の、一番のメリットかもしれません。

― 貴院で行っている無痛分娩の方法について具体的に教えてください。

「硬膜外麻酔」と「脊髄くも膜下麻酔」という二つの麻酔法を併用(CSEA:Combined Spinal-Epidural Anesthesia)しています。硬膜外麻酔は、脊椎の硬膜外腔という空間にカテーテルを入れて麻酔薬を注入する方法で、効き方はゆっくりですが、長時間にわたって持続する特徴があります。一方、脊髄くも膜下麻酔は、硬膜の内側に直接麻酔薬を注入する方法で、即効性が非常に高いですが作用時間が短いです。CSEAは、両者の長所を組み合わせることで即効性と持続性の両立が可能です。実際の施術では、無痛分娩用の特殊な針を使用して2種類の麻酔を1回の穿刺で同時に行います。

さらに当院では、「自己調節硬膜外鎮痛(PCEA:Patient Controlled Epidural Analgesia)」も導入しています。これは無痛分娩開始後に痛みを感じたときに、患者さまご自身が自分のタイミングで硬膜外腔への痛み止めを追加投与し、痛みを軽減できるというものです。投与できる薬の量は自動的に制限される仕組みになっていますので、ボタンを押しすぎても麻酔薬が過剰になる心配はありません。
なお、CSEAやPCEAによる無痛分娩のデメリットを挙げるとすれば、麻酔の管理が難しくなることですね。安全に行うためには、経験を積んだスタッフの存在、十分な準備、体制の整備が欠かせません。

充実した人員配置と教育体制により、安心して出産に臨める環境を追求

― 貴院では、どのタイミングからでも無痛分娩を希望できるそうですね。

24時間365日、患者さまが「やりたい」と思ったときに無痛分娩を実施できるようにしています。当院では、「無痛分娩はこの曜日だけ」「この時間帯だけ」といった制限を一切設けておりません。分娩申し込み時に無痛分娩をするかどうかを決める必要もなく、自然分娩に耐えられなかったら無痛分娩に切り替えるのも可能です。予約制ではないので「絶対にこの方法で産まなければならない」というプレッシャーがないということですね。いつでも無痛分娩を選べることが、「自然分娩にトライしても、つらかったら助けてもらえる」という安心感につながり、妊娠中の健やかな生活に繋がるのではないでしょうか。

― 常に無痛分娩に対応するためには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。

無痛分娩のデメリットには、麻酔の影響で微弱陣痛になった場合に出産の進みが遅くなる可能性がある、最後のいきみが弱まることで吸引分娩や鉗子分娩の確率が高くなる、などが挙げられます。また緊急帝王切開になるケースも考慮し、迅速に対応できる体制を整えておくことも重要です。24時間365日対応の無痛分娩を実現するには、こうしたリスクを踏まえ、患者さまの安全を第一に考えて万全の備えをする必要があります。

何より大切なのは、人員と教育です。日中も夜間も十分なスタッフを配置し、医師はもちろん、助産師、看護師、看護助手まで、全員がトレーニングを積んでいなくてはいけません。当院では、非常勤の麻酔科医師が7名在籍しているほか、産科医師の中にも無痛分娩の麻酔を担当できる医師が8名います(2025年9月現在)。また常勤の助産師は、全員が無痛分娩の介助に関する講習を修了しています。各分野のインストラクター資格を持つスタッフが多く在籍し、年3回の母体救命講習会や、概ね月1回の新生児蘇生講習会など、各専門機関の認定を受けた講習会を開催しています。さらに当院で無痛分娩を行う産科医師には、提携している高次医療施設で定期的に麻酔科医師として働いてもらうことで、産科と麻酔科のハイブリッド医師になっていただき、高い技術を保てるようにしています。こうした体制を整えることによってはじめて、安心して出産に臨んでいただける環境が実現できるのです。

出産費用について(目安)

経腟分娩の場合
・分娩費用 初産婦 621,000円~
      経産婦 601,000円~
・無痛分娩管理料 無痛学級受講者 日中 150,000円 夜間 200,000円
        無痛学級未受講者 日中 200,000円 夜間 250,000円

その他のケースや諸費用については以下をご参照ください。
https://kawaguchiladys-clinic.net/medical-guide/childbirth-cost/

ドクターからのメッセージ
  • 檜垣 博 院長

私たち医療法人社団紡世会が提供したいのは、「無痛分娩そのもの」ではなく「妊娠中の不安を和らげること」です。そして一人でも多くの方に「幸せな出産」を経験していただきたいと考えています。
幸せな出産は良い子育てを紡ぎ、次の世代を育む力になります。さらに幸せな家庭が集まって地域の絆を紡ぎ、地域がより良くなることで、将来的には良い未来が紡がれていくと信じています。ぜひ皆さまには、ご自身にとっての幸せな出産を大切にしていただきたいです。

24時間365⽇無痛分娩に対応し、幸せな出産を支える
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住所
埼玉県川口市南前川2丁目4−20
電話番号
048-265-5290
最寄駅
蕨駅、東浦和駅、鳩ヶ谷駅
アクセス
◎お車でお越しの方
東京外環自動車道を、外回りは「川口中央IC」、内回りは「川口西IC」で降りて15分。(約1.5km)
産業道路(川口上尾線)からは「蕨駅入口交差点」をより国道111号線に入りすぐ。(約500m)
イオンモール川口前川を目安に来院されるとスムーズです。
◎電車でお越しの方
JR京浜東北線:蕨駅・西川口
JR武蔵野線:東浦和駅
埼玉高速鉄道:鳩ケ谷駅・新井宿駅
各駅からは国際興業バスをご利用いただくと便利です。
バスの時刻表は 国際興業バス ホームページ にてご確認ください。
蕨駅・西川口駅・鳩ケ谷駅・新井宿駅はイオンモール川口前川行き 徒歩0分
東浦和駅はイオンモール川口前川東 徒歩4分
駐車場
あり
43台完備
※時間貸し駐車場になっていますが、院内で割引券をお渡ししています。
診察領域
性病科、産科、婦人科、産婦人科、予防接種
専門医
産婦人科専門医、周産期(新生児)専門医、超音波専門医
専門外来
不妊治療外来、女性の更年期障害専門外来