出産の感動を家族で共有。「家族立ち会い帝王切開」とは
家族立ち会いのもとでの帝王切開。手術のネガティブなイメージを払拭し、幸せな出産をサポートします。
- 檜垣 博 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.179
産科
目次
一言でいえば、麻酔薬を使って出産時の痛みを和らげる分娩方法のことです。歯科治療の際、歯茎に麻酔をかけるのと同様に、下半身に麻酔をかけて陣痛の痛みを可能な限り和らげるというイメージです。母体の肉体的・精神的な疲労を大幅に軽減できるので、産後の早い回復が見込めます。また、出産中の血圧のコントロールが良くなる、新生児への酸素供給が不足しにくくなる、会陰の縫合や出血などの処置にも鎮痛効果があるなど、さまざまなメリットがあります。
また無痛分娩の際、上半身は完全に覚醒しています。出産時にもはっきりとした意識があり、痛みや体力の消耗が少ない分「出産の記憶がより鮮明に残る」ともいわれています。これこそ無痛分娩の、一番のメリットかもしれません。
「硬膜外麻酔」と「脊髄くも膜下麻酔」という二つの麻酔法を併用(CSEA:Combined Spinal-Epidural Anesthesia)しています。硬膜外麻酔は、脊椎の硬膜外腔という空間にカテーテルを入れて麻酔薬を注入する方法で、効き方はゆっくりですが、長時間にわたって持続する特徴があります。一方、脊髄くも膜下麻酔は、硬膜の内側に直接麻酔薬を注入する方法で、即効性が非常に高いですが作用時間が短いです。CSEAは、両者の長所を組み合わせることで即効性と持続性の両立が可能です。実際の施術では、無痛分娩用の特殊な針を使用して2種類の麻酔を1回の穿刺で同時に行います。
さらに当院では、「自己調節硬膜外鎮痛(PCEA:Patient Controlled Epidural Analgesia)」も導入しています。これは無痛分娩開始後に痛みを感じたときに、患者さまご自身が自分のタイミングで硬膜外腔への痛み止めを追加投与し、痛みを軽減できるというものです。投与できる薬の量は自動的に制限される仕組みになっていますので、ボタンを押しすぎても麻酔薬が過剰になる心配はありません。
なお、CSEAやPCEAによる無痛分娩のデメリットを挙げるとすれば、麻酔の管理が難しくなることですね。安全に行うためには、経験を積んだスタッフの存在、十分な準備、体制の整備が欠かせません。
24時間365日、患者さまが「やりたい」と思ったときに無痛分娩を実施できるようにしています。当院では、「無痛分娩はこの曜日だけ」「この時間帯だけ」といった制限を一切設けておりません。分娩申し込み時に無痛分娩をするかどうかを決める必要もなく、自然分娩に耐えられなかったら無痛分娩に切り替えるのも可能です。予約制ではないので「絶対にこの方法で産まなければならない」というプレッシャーがないということですね。いつでも無痛分娩を選べることが、「自然分娩にトライしても、つらかったら助けてもらえる」という安心感につながり、妊娠中の健やかな生活に繋がるのではないでしょうか。
無痛分娩のデメリットには、麻酔の影響で微弱陣痛になった場合に出産の進みが遅くなる可能性がある、最後のいきみが弱まることで吸引分娩や鉗子分娩の確率が高くなる、などが挙げられます。また緊急帝王切開になるケースも考慮し、迅速に対応できる体制を整えておくことも重要です。24時間365日対応の無痛分娩を実現するには、こうしたリスクを踏まえ、患者さまの安全を第一に考えて万全の備えをする必要があります。
何より大切なのは、人員と教育です。日中も夜間も十分なスタッフを配置し、医師はもちろん、助産師、看護師、看護助手まで、全員がトレーニングを積んでいなくてはいけません。当院では、非常勤の麻酔科医師が7名在籍しているほか、産科医師の中にも無痛分娩の麻酔を担当できる医師が8名います(2025年9月現在)。また常勤の助産師は、全員が無痛分娩の介助に関する講習を修了しています。各分野のインストラクター資格を持つスタッフが多く在籍し、年3回の母体救命講習会や、概ね月1回の新生児蘇生講習会など、各専門機関の認定を受けた講習会を開催しています。さらに当院で無痛分娩を行う産科医師には、提携している高次医療施設で定期的に麻酔科医師として働いてもらうことで、産科と麻酔科のハイブリッド医師になっていただき、高い技術を保てるようにしています。こうした体制を整えることによってはじめて、安心して出産に臨んでいただける環境が実現できるのです。
経腟分娩の場合
・分娩費用 初産婦 621,000円~
経産婦 601,000円~
・無痛分娩管理料 無痛学級受講者 日中 150,000円 夜間 200,000円
無痛学級未受講者 日中 200,000円 夜間 250,000円
その他のケースや諸費用については以下をご参照ください。
https://kawaguchiladys-clinic.net/medical-guide/childbirth-cost/
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たゆまぬ日々の研鑽と充実した人員体制により、安心して出産に臨める環境を追求しています。
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