痛みを緩和し細胞を修復。身体の負担が少ない「体外衝撃波治療」
圧力波を患部に照射する「体外衝撃波治療」を提供。国内ではまだ珍しい、集束型の機器を導入しています。
- 天王寺 整形外科クリニック N 大阪府大阪市天王寺区
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- 野口 亮介 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.160
整形外科
目次
音速より速い高エネルギーの圧力波を、患部の自由神経終末(痛みを感じる受容器)などに照射して痛みを緩和する治療法であり、ヨーロッパではずいぶん前から普及しています。日本国内の整形外科では比較的新しいものですが、国内外の学会や論文でもその有効性が証明されており、近年導入が進められています。機器を皮膚に当て、衝撃波を照射することで痛みを緩和できる低侵襲な治療ですので、スポーツ選手にもよく利用されています。
炎症や痛みの軽減、血流の改善といった効果がみられます。また、成長因子や幹細胞、繊維芽細胞を刺激し、傷の修復を促進する効果も期待できますね。
対象疾患は、足底腱膜炎、テニス肘(外側上顆炎)、ゴルフ肘(内側上顆炎)、疲労骨折、膝蓋(しつがい)腱炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎、石灰沈着性腱板炎などです。また、ランニングやジャンプの繰り返しによって脛(すね)の内側に炎症が生じる「シンスプリント」の治療にも有効です。加えて、骨癒合を促す効果もあるため、骨折の偽関節、早期の離断性骨軟骨炎、早期の骨壊死、舟状骨骨折も対象になります。そのほか、関節を構成する筋肉や腱、皮膚などが硬くなることで関節の動きが悪くなる「拘縮(こうしゅく)」、難治性足底腱膜炎にも有効です。
炎症は薬で改善することも多いですが、組織の治りが悪く痛みが残っている場合は手術が必要になるケースもあります。一方、体外衝撃波治療は低侵襲でありつつ、そのような痛みに有効です。特に、自由神経終末を減らして痛みを除去しつつ組織や細胞を修復できる点に魅力を感じ、開業前から注目していました。
体外衝撃波治療に用いる機器は、衝撃波を特定の部位に集中して照射する「集束型」と、広範囲に照射する「拡散型」の2種類あり、当院では集束型を使用しています。前述の疾患は、骨と筋の境目に痛みがある場合が多く、治療をするには患部にピンポイントで衝撃波を照射する必要があるからです。難治性の疾患に有効でありながら、集束型を使用している医療機関が国内ではまだ少数なので、この機器を用いて充実した保存治療を提供したいと考えました。
診断後、圧痛点や超音波エコーで特定した照射部位に、衝撃波を照射します。まずは低レベルから照射をスタートし、徐々に出力を上げて、最終的に痛みを許容できる程度までレベルを高めます。痛みが強い場合は出力を下げるなどの調整をしつつ、合計で10~15分の照射を続けます。衝撃波は1秒間に約4回発せられ、1回の治療で1500~2000発を患部に当てます。麻酔の必要はなく傷跡も残りませんし、治療後はすぐに動くことができます。
痛みの元となっている自由神経終末を体外衝撃波治療で減らしても、時間が経つとその神経はまた再生してきます。一時的に痛みは軽減しますが、しばらくするとぶり返してしまうので、神経が再生しづらくなるまで複数回にわたる治療が必要なのです。
また、治療部位は1~2週間ほど休ませなければならないので、2週間に1度の治療を3~5回繰り返すのが理想的です。何度か治療を受けるうちに、「徐々に痛みがなくなってきたな」という実感が得られることでしょう。ただし、2~3回の治療で改善がみられない場合は、この治療法が有効でないケースだと考えられるため、ほかの治療を提案しています。
副作用はほとんどありませんが、治療中は輪ゴムで弾かれているような痛みを感じます。反対に、痛みを感じない場合は患部に的確な照射ができていない可能性があるので、痛いのは効いている証拠と言えるでしょう。治療後しばらく、じーんとした感覚が残る場合もあります。
内出血を心配される方もおられますが、高齢などで血管がもろくなっていなければ大丈夫でしょう。一時的に湿疹や感覚異常などの副作用が起こるとも言われていますが、これまで当院では患者様からそのような訴えはありません。また、治療後の炎症は組織修復がなされている証拠なので、ご心配はいりません。
疾患:難治性足底腱膜炎(1シリーズ:計5回)
費用:3割負担で16,500円
疾患:それ以外の疾患(自費診療)※保険外併用療養費として予約診察料
費用:一般:8,250円(税込)、学生:5,500円(税込)
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圧力波を患部に照射する「体外衝撃波治療」を提供。国内ではまだ珍しい、集束型の機器を導入しています。
四谷三丁目駅から徒歩2分。広々としたリハビリテーション施設で、身体を本来あるべき状態に近づけます。
高度な技術が必要な神経ブロック注射をクリニックで提供。迅速な検査・治療が可能な体制を整備しています。