街の頼れるドクターたちvol.031 血管外科
患者様の心の問題や悩みを治したいという思いから、精神科医を目指すべく千葉大学医学部に入りました。ところが学んでいくうちに、同じく心のケアにもつながる形成外科に興味を持ちました。20年ほど前はメジャーな科ではなかったこともあり、開拓の余地や将来性を感じたのです。形成外科医としてスタートしてから6年ほど経ったころにフランスへ留学して美容整形も学びました。
昔は下肢静脈瘤専門のクリニックはほとんどなく、下肢静脈瘤に悩む患者様は、どの科で受診すればいいのかわかりませんでした。見た目の問題から、以前私が勤務していた美容整形クリニックに下肢静脈瘤の治療に訪れる患者様も多かったです。当時の下肢静脈瘤治療は、保険適用の手術では火傷や皮膚が硬くなるといった合併症があり、自費のレーザー治療のほうが圧倒的に優れていました。その高額だったレーザー治療が保険適用になったことと、美容目的の下肢静脈瘤の手術よりも病気を治すための手術をしたいという思いから、本格的な下肢静脈瘤治療の道を選びました。
千葉には下肢静脈瘤の専門クリニックが少なかったので、この地を選びました。また、出身である千葉大学の医師とのネットワークがあるというのも大きいです。
患者様のなかには、専門クリニックではない病院で、「大したことはない」と言われて何も治療を受けられず帰されたという話もあるぐらい、医師が下肢静脈瘤について十分な知識を持っていないのが現実。ですから、専門クリニックとして下肢静脈瘤に悩んでいる患者様を治療したいですね。
脚の血管がボコボコと瘤(こぶ)になって浮き出るのを想像されると思いますが、ほかにも色素沈着やかゆみ、むくみ、だるい、冷たく感じる、脚がつる、こむら返りが痛くて目が覚める、などの症状もあります。放置しても命にかかわる病気ではありませんが、自然治癒もしません。進行していくと脚に色素沈着や皮膚炎症、皮膚潰瘍にもなり、入院治療になる場合もあります。また、女性の場合は見た目も気になるでしょうから、QOL(生活の質)が低下するため、早めの治療が良いのです。
種類としては、太ももの内側の伏在静脈や膝の内側から内くるぶしに発生する「大伏在静脈瘤」、膝の後ろやふくらはぎに発生する「小伏在静脈瘤」、細い静脈が網目状に広がる「網目状静脈瘤」、細い静脈がクモの巣状に拡張し赤柴色や青白い色に見える「クモの巣状静脈瘤」の4つがあります。
当院での治療法は3つあります。「弾性ストッキング」は着用することで下肢に圧力をかけ、血液や水分が溜まるのを予防しますが、症状を和らげるものであり対症療法です。「硬化療法」は手術をするほどでもない症状の場合に使い、静脈瘤の血管内に硬化剤を注射して血管を塞ぐものです。「血管内カテーテル」は、細い管(カテーテル)をふくらはぎか膝の内側から血管内に入れて、高周波の熱で血管そのものを塞ぐものです。後の2つは、どちらも治療後は血管が小さくなっていき最後は体内に吸収されます。
手術の適応基準を満たしている場合にのみ手術をする、ということです。予防という名目ではしません。 下肢静脈瘤の治療を簡単にいうと、静脈弁が機能しなくなった血管を硬化させたり焼き切ったりするわけですが、これを患者様にお伝えすると驚かれる方もいらっしゃいます。ですから患者様には手術や治療に納得していただき、心配や不安がなくなるように、丁寧な説明を心がけています。
下肢静脈瘤は保険適応の簡単な治療で治るということを知ってほしいですね。下肢静脈瘤の治療には季節性があり、脚を出す暖かい季節になると見た目を気にして治療される患者様が多くなり、春から夏にかけて混雑します。ただ、血管が縮むのに1~3か月は必要となり、一定期間は弾性ストッキングを着用する必要があるため、むしろ脚を出さない冬場の治療をおすすめします。
ちば静脈瘤クリニック
土曜日午前の検査にも対応。女性も気兼ねなく胃カメラ検査・大腸カメラ検査を受けられるクリニックです。
鼠径ヘルニアや虫垂炎を中心に、腹腔鏡による日帰り手術を医師2名体制で提供しています。
大学病院と連携して乳がん患者様をサポートしています。乳腺等のトラブルもご相談ください。