「安心できる居場所」に
なれるよう、児童精神科を
デザイン
なれるよう、児童精神科を
デザイン
一人ひとりの違いをそのまま受け止め、まずお子さんの気持ちを丁寧に聞くことを大切にしています。
- といろのこころクリニック 東京都大田区多摩川
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- 大岡 美奈子 院長
街の頼れるドクターたちvol.209 精神科
目次
私は大学で美術を学び、デザインを専攻しました。その後、進路に迷っていたとき心理学に出会い、芸術療法を学ぼうと米国へ留学したのです。しかし治療に中心となって関わるには、やはり医師としての知識が必要だと感じ、日本に戻って医学部に学士編入しました。医療の世界で美術やデザインの視点を活かしたい、その思いが今につながっています。
院内のいろいろな場所で「自分はここにいても大丈夫」と感じていただけるよう、医療機関というより安心できる居場所になりたいと願って設計しました。情報の伝え方や空間の見え方ひとつで、印象は大きく変わるものです。一例として当院では、診察の順番や時間を掲示し、「自分が何時にどこで診察を受けるのか」が分かりやすく伝わるようにしています。デザインの視点を取り入れることで待ち時間に見通しが持てるようになり、診察前の不安も和らぐのではないかと考えたのです。
また当院のキャラクター「Toiro」にも、「一人ひとりの違いをそのまま受け止めたい」という私たちの理念が反映されています。そのカラフルな体は、「こころにはさまざまな色があってよい」という思いを形にしたものです。
まずは、お子さん本人の話を聞くことです。受診のきっかけが保護者の困りごとであっても、「ここでは自分の気持ちを話してよい」とお子さんにもしっかり伝え、時には親子で別々に話してもらうケースもあります。ゲームなどの一見関係のない話題であっても、その子にとっては重要なテーマかもしれません。あらゆる声を丁寧に受け止めるところから、支援は始まるのです。
受診のきっかけが「保護者の困り感」であることも多いですし、お子さん本人だけでなく保護者や家庭環境も含めた支援を考えていく必要があります。教育と福祉の線引きは難しく、連携は欠かせませんが、役割分担が十分整理されているとは言い切れないものです。個人の努力に頼るのではなく、持続可能な仕組みを整えていくことが求められています。
保護者の方を対象にしたワークショップを始めたいですね。クリニックをつくる段階から構想があり、院内には「アトリエ」と呼ぶ多目的室も設けました。外来の予約がすぐに埋まってしまう現状で、まだ準備に十分な時間を割けていないのですが、臨床美術師の資格を活かして体系化されたプログラムを提供し、保護者同士が自然につながる時間をつくれたらと考えています。孤立しがちな保護者が安心して同じ場を共有できたら、大きな力になるのではないでしょうか。
またその延長として、将来的には「通院集団精神療法」の導入も視野に入れています。複数人を対象にした小規模なグループで関わる手法であり、集団内での気づきや共有が支えになることもありますし、一対一の診療の中では見られない部分を補うことにもつながります。診察室の中だけにとどまらない医療の形を、少しずつ実践していきたいのです。
子どもたちが大人になったとき、精神科医療に過度に依存せず生活できる状態を目指しています。それは「困らない」ことではなく、困ったら必要なときに適切なところへ相談する力を育むことです。子どもの頃の体験や環境が、その後の精神的な健康に影響することは研究でも示されています。成人期に精神科を受診する背景には、幼少期の経験が関係しているケースも少なくありません。だからこそ児童期から精神科医療が関わることには、将来に向けた備えの意味もあると捉えています。
予約が取りにくい状況が続いていることを心苦しく感じています。また、一対一の診療だけでは把握しきれない部分もあります。だからこそアトリエを活用した取り組みや集団での関わりを少しずつ始めていき、相互に支え合える場を増やしていきたいのです。医療機関だけでなく、地域や教育、福祉とも連携しながら、お子さんとご家族を支える仕組みを充実させたいと考えています。
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一人ひとりの違いをそのまま受け止め、まずお子さんの気持ちを丁寧に聞くことを大切にしています。
一般的な体調不良から慢性腎臓病の専門診療まで。生活習慣の改善指導や栄養指導にも力を入れています。
スピーディな効果が見込める神経ブロック注射は、正確な診断と繊細な技術が鍵。手術を回避できるケースも。