加藤医院 加藤 徳介 院長 | ドクターズインタビュー

メニュー

頼れるドクターが教える治療法vol.173

腎臓内科

新たな国民病『慢性腎臓病』は、
早期発見・早期介入がカギ
新たな国民病『慢性腎臓病』は、<br>早期発見・早期介入がカギ
加藤医院
  • 加藤 徳介 院長
33 views
小田急線豪徳寺駅・梅ヶ丘駅および世田谷線山下駅から徒歩5分の「加藤医院」は、80年以上にわたり地域の人々の健康を見守り続けている。現在も身近なかかりつけ医として、風邪や腹痛、呼吸器症状と幅広い内科疾患の診療を行っている同院だが、中でも加藤徳介院長が専門としているのは腎臓高血圧内科だ。「医師として全身を診たい」という想いから腎臓を専門とした加藤院長は、日本腎臓学会腎臓専門医・指導医の資格を取得し、急性・慢性を問わず日々腎臓の疾患に対応している。現在の国内罹患者数が2000万人と推計され、新たな国民病とも呼ばれる「慢性腎臓病(CKD)」について、加藤院長に伺った。(取材日 2025年9月27日)

国内の推計患者数は2000万人。自覚症状がないまま進行する恐れも

― 慢性腎臓病(CKD)とは、どのような疾患なのでしょうか?

腎臓に何らかの障害があり、それが少なくとも3か月以上続いている状態を指します。ちなみに腎臓は血液の塊のような臓器で、心臓から出る血流の20~25%ほどが流れています。体に溜まった不要な水分や塩分、老廃物などを尿として排出したり、逆に必要なものを再吸収したりという機能を担っており、まさに全身に影響を与える臓器です。その腎臓の慢性的な疾患であるCKDは、全国健康保険協会や日本腎臓病協会からも「新たな国民病」と位置づけられており、そのリスクへの注目が高まっています。

― なぜ「国民病」と呼ばれているのですか?

ひとつは、多くの人がかかる疾患だからです。日本では約2000万人、つまり成人の5人に1人がCKDに該当すると推計されています。腎臓の働きは加齢とともに少しずつ低下するため、高齢化が進むにつれてさらに患者数が増えると考えられています。
もうひとつの理由は、その危険性の高さです。CKDが腎不全まで進行すると、透析治療や腎移植が必要になる可能性があります。また軽度のCKDであっても、心筋梗塞や脳卒中といった心臓や血管に係る疾患のリスクが高まることがわかっているのです。

― CKDの原因や、初期の症状について教えてください。

原因については糖尿病と高血圧が最も多く、次いで糸球体腎炎という腎臓の疾患、さらには遺伝的な要因も関係しています。糖尿病、高血圧といえば、すぐ頭に浮かぶのがメタボリック症候群でしょう。つまり、食事や運動を交えた生活習慣の改善が重要になってくるというわけです。
CKDの重症度の指標としては、腎臓が老廃物を尿に排出する能力を示す「GFR(糸球体濾過量)」という数値があり、腎機能を正常な状態から末期腎不全までG1からG5の5段階で評価します。治療が必要になるのはG3からですが、この段階ではまだ自覚症状がないことがほとんどです。気づいたときには進行していたということが少なくありませんので、健康診断でGFRの数値や蛋白尿・血尿を指摘されたら、早めに医療機関を受診してください。

生活習慣の改善が最も重要。普段の生活で「体に良いこと」を心がけて

― 検査方法と診療の流れについて教えてください。

まずは血液検査と尿検査を行います。血液中のクレアチニンという老廃物の量を調べることで、GFRの推定値(eGFR)を測定できるのですが、この数値が低いということは「老廃物が血液内に溜まっている=腎臓の機能が落ちている」ということを意味します。尿検査では、腎機能の低下により尿中に漏れたアルブミン(尿蛋白)の有無などを調べます。また腎臓の形状や大きさを見るためのエコー検査も、ほとんどの患者さんに実施しています。
数値に問題があれば、食生活の見直しや適度な運動といった生活習慣の改善に努めていただきます。そして3か月後に再び血液検査と尿検査を行い、悪い状態が続いているようであればCKDと診断し、治療を継続することになるでしょう。

― どのような治療を行うのですか?

原疾患(糖尿病や高血圧など)がはっきりしていれば、その治療が最優先となりますが、初期のCKDのみであれば特別なことをしていただく必要はありません。生活習慣の改善が最も重要なのですが、減塩に努める、暴飲暴食を控えるといった「体に良いこと」を心がけていただくのが大切です。塩分を控えた昔ながらの和食を食べるのがお勧めです。野菜、魚、豆類などをバランスよく取り入れると良いでしょう。運動についても、最寄り駅のひとつ前で降りて歩くとか、なるべくエレベーターやエスカレーターを使わずに階段を上り下りするとか、普段の生活のなかで習慣化できることはたくさんあります。
進行したCKDではタンパク質制限を必要とすることがありますが、その場合十分なエネルギー摂取も必要となります。ご自身で栄養管理をするのが難しいという方は栄養士による指導を受けることもできますので、お気軽にご相談ください。

― そのほか、腎臓のために心がけるべきことはありますか?

脱水は腎臓に大きなダメージを与えますので、こまめな水分補給を心がけてほしいですね。特に夏の暑い時期は注意が必要です。また重度のCKDにはよくないものの、軽度であればむしろ積極的に摂ったほうがいいといわれているのが、フルーツや野菜に含まれるカリウムです。体内のナトリウムを体外へと排出する作用があるため、意識して食事に取り入れてはいかがでしょうか。
一方で、腎臓によくないのが鎮痛剤です。本当に痛いときはやむを得ませんが、常用は控えることをお勧めします。

ドクターからのメッセージ
  • 加藤 徳介 院長

他の進行性の疾患と同じく、CKDも治療開始が早ければ早いほど進行を遅らせることができます。健康診断でGFRの数値や尿の異常を指摘された方は、早めに医療機関を受診してください。検査の結果「問題なし」と診断されれば、モヤモヤした不安も解消されるでしょう。
また当院は腎臓の専門クリニックであるとともに、祖父の代から内科全般を幅広く診る「街のかかりつけ医」を本分としています。患者さんの話をよく聞くこと、過剰医療にならないことを心がけながら診療にあたっていますので、どうぞ安心してご来院ください。

新たな国民病『慢性腎臓病』は、早期発見・早期介入がカギ
新たな国民病『慢性腎臓病』は、早期発見・早期介入がカギ

加藤医院 地図を見る

住所
東京都世田谷区梅丘1-57-11
電話番号
03-3420-4863
最寄駅
豪徳寺駅(山下駅)、梅ヶ丘駅
アクセス
小田急小田原線 豪徳寺駅下車 徒歩5分
小田急小田原線 梅ヶ丘駅下車 徒歩5分
東急世田谷線 山下駅下車 徒歩5分
駐車場
あり(2台)
※満車の場合、小田急線高架下 小田急豪徳寺第一・第二駐車場をご利用ください。近隣の駐車場をご利用時は受付にお声かけください。
診察領域
内科、糖尿病科、腎臓内科、予防接種、健康診断
専門医
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医