「わたしらしく生きるため」の
地域サポート
地域サポート
「楽しく生きること」を重視した、多彩なプログラムやデイケアを提供しています。
- 医療法人社団こころの会 タカハシクリニック 東京都大田区蒲田
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- 理事⻑ 高橋 龍太郎 先生
街の頼れるドクターたちvol.172 心療内科
目次
一番の特徴は、外来診療と並行してデイケアに長年にわたり力を入れてきた点ですね。当院は1990年の開院と同時に、東京23区で初めて精神科デイケアを導入しています。当時は統合失調症の治療にあたり薬物療法や心理療法で、ある程度は症状が回復・改善しても、患者さんはご自宅とクリニックを往復するだけで、社会と交流する機会がありませんでした。しかし地域にデイケアがあれば、患者さんが社会とのつながりを実感できる居場所が生まれ、地域のさまざまな役割をもった人々を巻き込みつつ、みんなでケアする仕組みが創れる。そうやって患者さんが社会に溶け込み、気持ちよく生きていけるようにしたいと考えたのです。
多くのデイケア施設では、工作や手芸といった同じ作業にコツコツと取り組むようなプログラムが中心ですが、私はそれがかえって自閉傾向を助長してしまうのではないかと感じていました。そこで当院では、英会話、ジャズダンス、ヨガなど、心身ともに「開かれていくようなプログラム」を数多く取り入れています。必ずしも、就労・復職を治療の目標にする必要はないと思うのです。患者さんひとりひとりが、それぞれのキャラクターを生かしながら病気と付き合い、楽しい人生を送ることができるよう、プログラムに広がりをもたせています。
開院前に、国際協力事業団(現JICA:国際協力機構)のプロジェクトに医療専門家として参加し、南米ペルーで約半年間、現地の精神科医療について調査・研究したことがあります。そこで出会ったのは、土着的で共同体的な治療のあり方です。例えば神経症水準の方は、幻覚成分を含んだサボテンを煎じて飲みながら、笛の音に合わせてみんなで踊り明かすメサという儀式を行うとなぜか症状が和らぎ、一晩で良くなるケースがありました。一方、統合失調症の方は、妄想めいたことを口にしながら村の広場で一日中過ごしているのですが、彼らをどこかに「閉じ込める」という発想ではなく、その様子を否定せずに、共同体が自然に受け入れていました。
こうしたあり様をみるうちに、治療の目標は「治すこと」というよりも、むしろ「共に生きること」「地域で支えること」なのではないかと思うようになりました。地域のゆるやかなネットワークの中で、患者さんをあたたかく見守っていくのも、一つの理想ではないでしょうか。
開院から35年、時代の流れとともに、外来を訪れる方々の自己診断も変化してきました。開院当初はボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)やAC(アダルトチルドレン)、その後は解離性障害や双極性障害、最近は発達障害を訴えて来院される患者さんが大多数を占めるなど、ある種の「トレンド」があります。その一方で、病識のない重度の統合失調症の患者さんはかなり減ってきています。こうした変化の背景には、インターネットの普及や精神科・心療内科が以前より受診しやすくなったことなど、さまざまな要因が考えられるでしょう。しかし、人間の本質自体がそんなに急に変わるわけはありません。例えば発達障害やパニック障害は現在でも沢山の方が外来にいらっしゃいますが、人間の進化がもつ弱点があるのだと受け止めれば理解しやすいし、治療もしやすくなります。患者さんの症状や言葉、病気の成り立ちを立体的に捉えたうえで、診断を行うように心掛けています。
「患者さんの精神の病も、アーティストの表現も、人間の“過剰さ”や“無意識”が極端なかたちで溢れ出たものという意味で、繫がっているのではないか?」―アートに興味を持つようになったのは、こうした問題意識からです。それぞれがもつ「過剰さ」を無理に抑え込むのではなく、ひとりひとりの患者さんがアーティストのように自由に自己表現できる社会を創ることを目指して行きたいと考えています。
この20年間、私は診療の傍ら「テレフォン人生相談」というラジオ番組のパーソナリティを務めてきました。ほかの病気と同様に、精神の病においても早期発見・早期治療はきわめて重要です。恋愛のことから生活の苦労話まで何でも伺いますので、よろず相談所のような気軽さでご来院いただけたら嬉しいですね。
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「楽しく生きること」を重視した、多彩なプログラムやデイケアを提供しています。
結膜炎から白内障や緑内障、硝子体の日帰り手術まで、何でもご相談いただける地域密着のクリニックです。
圧力波を患部に照射する「体外衝撃波治療」を提供。国内ではまだ珍しい、集束型の機器を導入しています。