きずときずあとのクリニック 銀座院　野村 美佐子 院長 | ドクターズインタビュー

「形だけではなく、傷跡もきれいにしたい」というご要望に応えるために

― 貴院の特徴について教えてください。

当院は、「きずときずあとのクリニック 豊洲院」の分院として、自費診療に特化した医療を提供しています。特に力を入れているのが、美容外科術後のケアです。美容外科での施術後は、どうしても皮膚に赤みやでこぼこした盛り上がりが残ってしまうことがあります。しかもそうした傷跡は、鼻や唇、耳周り、フェイスラインなどの目立つところにできやすいため、気になってしまう患者様が多いようです。
近年では美容外科が一般的になり、施術を受ける方も増えてきました。厚生労働省の発表によれば、2020年から2023年までの3年間で、美容外科を標榜するクリニックの数は40％以上も増加しているそうです。そうした中で、「形だけではなく傷跡もきれいにしたい」というご要望を持つ患者様も増えてきました。長年形成外科での治療に携わり、さらに豊洲院で得た傷跡の治療に対する知見を活かして、美容外科術後のケアを行っています。

― どのような患者様が多いですか？

最近では美容外科治療を受ける層も多様化していますので、当院を受診される方もさまざまです。年齢も20代から70代と幅広く、2割ほどは男性の患者様となっています。来院される目的については、ほくろの除去、鼻翼縮小・人中短縮など鼻周り、口角形成など口周り、フェイスリフト、豊胸術、脂肪吸引などの美容外科術後の傷跡について相談される方が中心です。
ここでお伝えしておきたいのですが、目の周りの傷跡に関しては対応が難しくなります。眉下切開や下眼瞼など目から離れた場所の傷跡であれば、レーザーを安全に照射できる範囲内で承りますが、二重整形などの傷跡に関しては当院では治療できませんので、あらかじめご了承ください。
ちなみに、火傷や怪我など保険適用の治療は豊洲院をご案内していますが、「銀座院のほうが通いやすいから」という理由で銀座院に通っている患者様もいらっしゃいます。

― 美容外科術後は、どのタイミングでケアをしていただくとよいでしょうか？

美容外科での施術後、2か月は傷跡の治療を行えませんので、その間は保湿や遮光などのセルフケアを行ってください。そして2か月が過ぎたら、早めのご来院をお勧めします。古い傷跡でも治療は可能ですが、少しでも早くケアを始めた方がきれいに治しやすいものです。患者様のなかには、美容外科の施術を予約した時点で当院の予約も行い、術後2か月経ったらすぐに傷跡の治療に通われる方もいらっしゃいます。

患者様が納得するゴールに向かい、きめ細かいアドバイスと豊かな経験で伴走

― 具体的に、どのような治療を行うのでしょうか？

各種のレーザー機器や注射などを組み合わせて、傷跡の状態に合わせた治療を行っています。たとえば、まだ傷跡が赤く盛り上がっているときの治療としては「エクラープラスター」「ケナコルト」といった炎症を抑える薬剤の注射や、さらに注射した薬剤を広範囲かつ均等に皮膚の奥まで届けるために、「POTENZA」という機器で高周波を照射します。
また、すでに炎症が治まり色素だけが残っている傷跡に対しては赤みを取る「色素レーザー」を、完全に白くなった傷跡にはでこぼこを減少させる「フラクショナルレーザー」やヒアルロン酸注入を行います。これらの機器や薬剤は決して特殊なものではありませんが、傷跡の治療に活用する技術とノウハウは、長年このような分野に携わってきた経験が物を言うのではないでしょうか。

― 診察から治療までの流れを教えてください。

まず、WEBやLINEにてご予約をいただきます。LINE上で無料カウンセリングも行っていますので、事前に症状等をお知らせいただくと診察がスムーズです。
実際に診察を行ったら、その日に施術することも可能です。施術後1週間程度は赤みなどが残る場合もありますが、メイクで隠していただける範囲ですので、普段どおりの生活を送っていただけるでしょう。なおその間は、長時間の入浴、サウナ、飲酒、激しい運動など、過度に血流を促すようなことは避けてください。また施術後に問題があった場合は、LINEで患部の写真をお送りいただけば症状が拝見できますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

― 治療を行う上で心がけていることをお聞かせください。

患者様と「治療のゴールを共有する」ということですね。たとえば、私たち医師は傷跡の赤みを取り平らにすることを目指していても、患者様の方は傷跡がまったくわからなくなることを期待して来院されたかもしれません。そういった齟齬が生まれないように、症例などをご覧いただきながら「この傷跡は治療によってこの程度まで改善します」とお伝えし、ご納得いただけるよう心がけています。
また傷跡のケアは、1年、2年と根気よく続けていかなければ効果が表れません。その間の保湿、遮光などのスキンケアも、きめ細かにアドバイスしつつ伴走できるよう努めています。