医療法人社団PLVS VLTRA 徳倉歯科口腔外科・矯正歯科　徳倉 圭 理事長・院長 | ドクターズインタビュー

メリットの多い治療法「オールオン4」は、多くのケースで適用可能

― 「オールオン4」とはどのような治療法なのでしょうか。

インプラント治療の一種であり、片顎あたり4本のインプラントによって、すべての人工歯を支える治療法です。対象となるのは、重度の虫歯や歯周病で歯がボロボロになり噛めなくなってしまった患者さまや、歯が全くなくなってしまった患者さま、総入れ歯が合わない、痛みを感じるといった患者さま。オールオン4のいちばんの魅力は、こうした患者さまに1日で噛める歯を提供し、手術当日から食事を楽しんでいただける点、そして以前の笑顔を取り戻し、口元を気にすることなく会話を楽しんでいただける点にあります。

― 通常のインプラント治療との違いや、メリットについて聞かせてください。

通常のインプラント治療で全ての歯を置き換えるには上下合わせて最大28本のインプラントが必要で、複雑な手術、骨移植が求められるケースも少なくありません。また治療期間に関しても、半年から1年の通院を要することがほとんどでした。この点オールオン4は、インプラント本数が少ないので費用を抑えることができますし（片顎あたり200〜300万円で、通常のインプラント治療（8本程度使用した場合）の50〜60％程度）、手術当日に歯を入れて、美味しくごはんを食べられるようになります。費用面はもちろん通院にかかる時間や手間の面でも、オールオン4には大きなメリットがあるといっていいでしょう。

― オールオン4の具体的な内容について教えてください。

残っている歯を抜いて4本のインプラントを埋め込み、その上に歯肉（歯ぐき）付きの歯を装着するというのがオールオン4の基本的な流れです。インプラントを埋め込む位置や傾斜角度、埋入方法については、この治療法の開発者であるポルトガルのパウロ・マロ博士によって厳格に定められています。インプラントを埋め込む顎骨を削って綺麗に平らにする、4本のインプラントで全ての歯を支えられる強度を得るために、インプラントは傾斜挿入する、上顎のインプラントは鼻腔底の硬い骨に埋め込む、といったルールに則って手術・治療を進める必要があるのです。
また、上顎の骨が薄くなっていたり不足していたりして、そのままではオールオン4を適用できない患者さまも少なからずいらっしゃいますが、治療を諦める必要はありません。こうした場合には「ザイゴマ（頬骨）インプラント」や「テリゴイド（蝶形骨）インプラント」といって、頬骨や蝶形骨にインプラントを埋め込む治療法があるからです。当クリニックではザイゴマインプラントやテリゴイドインプラントを併用することで、すべての患者さまにオールオン4を受けていただける体制を構築しています。これらの特殊なインプラントが可能なクリニックは、日本全国でも極少数です。

以前の笑顔と自信を取り戻し、喜びのあまり涙を流される患者さまも

― 初診〜手術当日の基本的な流れについて教えてください。

まずは初診で、基本的な資料を取らせていただきます。その上で、クリニックの診療時間外に予約をとっていただき、手術方法やおおまかな費用等について1時間程度の説明をいたします。診療時間外にお越しいただくのは、次の患者さまのことを気にすることなくご質問・ご相談の上、納得して治療に臨んでいただくためです。オールオン4を希望される場合には、CT撮影等の精密検査を実施して追加の資料をとり、治療方針・治療計画を策定、後日オールオン4の手術を行います。手術はオールオン4専門外科医チーム（口腔外科医、歯科衛生士、手術助手等）で行い、概ね片顎2時間程度で完了。静脈内鎮静法という麻酔により眠ったような状態で行いますので、痛みを感じることはほぼありません。必要であれば、当院は全身麻酔も可能となっています。その後は患者さまが休憩されている間に、専属の歯科技工チームが仮歯を製作し夕方には完成、歯をセットして終了となります。自信のもてる笑顔を取り戻し、喜びのあまり涙を流される患者さまも少なくないですね。

― メンテナンスも必要なのでしょうか。

構造上、インプラントが一本でも失われてしまうとオールオン4は成り立たないので、追加の治療が必要になります。こうした事態を防ぐためにも、適切なメンテナンスが重要です。患者さまには季節に1回ご来院いただき、インプラントと上部構造との接続部分を含めた口内全体のクリーニングとともに、噛み合わせの調整を行います。トラブルにきちんと向き合う姿勢も必要になります。