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- 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 東京都中央区銀座
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- 坂内 誠(将佑貴)院長
頼れるドクターが教える治療法vol.123
心臓血管外科
目次
文字通り「足の血管(静脈)が膨れて瘤(こぶ)になる疾患」を指しますが、一口に下肢静脈瘤といっても、様々なタイプがあります。太ももの内側にある大伏在静脈、もしくは、ふくらはぎの後ろ側にある小伏在静脈に備わっている逆流防止弁(心臓に戻っていく血液の逆流を防ぐ弁)が壊れることによって起きる「伏在静脈瘤」のほか、体質やホルモンの影響、加齢等が原因となって生じる「クモの巣状静脈瘤」や「網目状静脈瘤」など膨れない静脈瘤もあって、それぞれ症状や治療法が異なるんですね。また、下肢静脈瘤を発症すると、足のだるさやむくみ、かゆみ、こむら返り(足がつりやすくなる)、皮膚の変色や潰瘍といった症状が現れますが、こうした症状の程度は、静脈瘤の大きさ、見た目とは必ずしも比例しません。加えて、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)など、下肢静脈瘤に似た症状が現れる病気もあり、超音波検査を行ってみなければわからないことが結構あるんです。足のことで違和感を覚えたら自己判断せず、血管外科の知見・経験を持った医師の判断を仰ぐことが大切です。
従来は足の付け根の部分と膝の部分を切開し、下肢静脈瘤の原因となっている伏在静脈を抜き取る「ストリッピング手術」が主流でした。ストリッピング手術は数日間の入院を要するものの、根治性の高い確実な治療法で、私も血管外科医として約10年にわたり数千例の治療に携わりました。2010年頃からは、血管内に細いレーザーファイバーを通して、レーザーの熱によって静脈を内側から収縮させ、血液の流入を絶つ「レーザー手術」が普及。2011年にレーザー手術が保険適応となってからは、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の指導医として、全国に手術指導に出向いて普及に努めてきました。このほか、静脈内に医療用接着剤を注入して、血液の逆流を止める「グルー治療」、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤に対して硬化剤と呼ばれる薬剤を注入し、静脈を閉塞させる「硬化療法」。また、「医療用弾性ストッキング」を着用いただいて、足のむくみやだるさを改善し、静脈瘤の進行を予防するのも重要な治療法です。
「レーザー手術」に関しては、静脈麻酔によって患者さまが眠った状態で手術を行うクリニックもありますが、当クリニックでは「余計な薬剤はできる限り使用しない」という方針の下、静脈麻酔は使わず、患者さまが完全に起きたままの状態で、スピーディに手術を完了させることを大切にしています。
また「医療用弾性ストッキング」は、足の静脈の血液が心臓へと戻っていく流れ(静脈還流)が改善できるので、下肢静脈瘤の症状を和らげる治療法として非常に有効ですし、ストリッピング手術やレーザー手術、硬化療法を実施した後にも使用します。しかし医療用のものに限っても、硬さや長さ、厚みの異なる様々な商品が販売されており、ご高齢の患者さまや握力の弱い方が一人で履くことが難しい商品も少なくありません。当然のことながら、弾性ストッキングは毎日、継続的に履いていただかなくては治療効果が望めませんし、患者さまご自身の判断で使用すると症状を悪化させてしまう可能性もあります。当クリニックでは必ず試着していただき、お一人お一人に合った弾性ストッキングをお選びいただくとともに、履き方の指導も行っています。
レーザー手術の普及によってクリニックでの日帰り手術も可能になり、治療がかなり受けやすくなりました。その反面、日本静脈学会等が2020年に公式声明を出しているように、必要のない手術を行う“不適切治療”が問題となっています。「他のクリニックで『すぐに手術しなければならない』と言われたが、本当に必要かどうか診てほしい」という患者さまもよく来られますし、実際検査を行ってみると静脈瘤ではなかったというケースもありました。レーザー治療は体への負担が少ないので、重症化する前に早めの手術をお勧めすることもありますが、だからといって必要のない手術を行うのは言語道断です。下肢静脈瘤の診断に少しでも不安を感じた場合は、“セカンドオピニオン”を求めることが大切です。
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