みなみ堀江クリニック 南 和宏 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.112

呼吸器内科

呼吸器のスペシャリストによる
フェノタイプに応じた喘息治療
呼吸器のスペシャリストによる<br>フェノタイプに応じた喘息治療
みなみ堀江クリニック
  • 南 和宏 院長
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大阪メトロ西長堀駅から徒歩5分の「みなみ堀江クリニック」は、基幹病院で呼吸器診療の研鑽を積んだ南和宏院長が、2023年5月に開院したクリニックだ。「喘息治療は継続が大切」と語る南院長は、患者の重症度やフェノタイプ(種類)とともに、ライフスタイルにも合わせて薬や治療方法を提案している。開院以来、初診で来院された3,900人の患者のうち、咳の症状で来院した患者は約1,300人。中には、肺がんなどの深刻な疾患が見つかったケースもある。呼吸器のスペシャリストとして多くの症例を見てきた南院長に、喘息診療で大切にしていること、呼吸器内科を受診する意義などについて伺った。(取材日 2023年9月20日)

様々なフェノタイプがある喘息。丁寧な診察により咳の原因を鑑別

― 喘息を疑う患者様が来院された際、どのような検査をするのですか?

咳の症状が出る原因はいろいろありますので、まずは喘息以外の疾患(肺がん、肺炎、気胸など)を鑑別するために胸のレントゲン撮影を行います。レントゲンに問題がなければ、次に2種類の呼吸機能検査に進みます。ひとつは、呼気の一酸化窒素の値の測定です。この値が高ければ、喘息の可能性が高いと言えます。もうひとつは呼吸機能検査で、肺活量や吐く力などを測定します。喘息に罹ると気道の狭窄を来すため、吐く力が低下することがあるのです。喘息のフェノタイプは多様なので、血液検査で好酸球数やアレルギーの有無などを調べることも重要です。

― それらの検査から分かることは何でしょうか?

胸のレントゲンでは、肺がん、肺炎、気胸などの深刻な疾患が隠れているかどうかが分かります。実際、当院でこれまで診察した患者様の中には、肺がんや転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍が見つかった方がおられました。
「喘息」と一言で言っても、そのフェノタイプは多様です。喘息の原因になる気道の炎症は、好酸球などの免疫細胞によるものが大半ですが、アレルギーが原因の場合や好中球によるものもあります。また、子どもの頃から喘息がある小児発症型、大人になってから発症する成人発症型など、様々な特徴があり、それぞれ治療薬も異なります。ですから、各種検査で喘息のフェノタイプを把握しておくことはとても大切です。

症状のコントロールと呼吸機能低下の防止が鍵。無理のない治療を提案したい

― 喘息の治療はどのように進めますか?

日本アレルギー学会によるガイドラインに沿って進めます。喘息の治療は4つの治療ステップに分かれており、どこから始めるかは、患者様の重症度に基づいて決定します。ただし、気道が炎症を起こしているのは共通なので、どの治療ステップでも炎症を抑える吸入ステロイドの使用をベースに治療を行います。実臨床では気管支拡張薬を加えた合剤を使用することが多く、重症例では生物学的製剤(注射薬)を組み合わせるケースもあります。
治療を続けても改善が見られない場合は、喘息の悪化因子を探します。例えば、呼吸器感染症や睡眠時無呼吸症候群、副鼻腔炎などは悪化因子といわれているので、それらの治療が必要です。また、肥満や喫煙も悪化因子になり得るので、ダイエットや禁煙も重要ですね。その他、ペットを飼われている場合は、寝室を分けてもらうなどの生活指導を行うこともあります。血液検査によりアレルギーが判明しているケースでは、アレルギー免疫療法を組み合わせる場合もありますね。

― 喘息治療を行う上で、重要なことは何でしょう?

ガイドラインにも記載のある通り、日々の症状をコントロールすることと、将来的な呼吸機能の低下を防ぐことです。治療せずに放置してしまうと、呼吸機能は徐々に低下していきます。そして季節の変わり目やウィルス感染、花粉などで喘息発作を来しやすくなり、呼吸機能の低下をさらに加速させてしまいます。
喘息を悪化させる一番の要因は、吸入薬の吸い忘れです。吸入薬のデバイスには様々な種類がありますが、朝夕の吸入が必要なデバイスは忙しい患者様にとって吸い忘れの原因になりかねません。そのため、なるべく1日1回で効果のある吸入デバイスを選んで処方すべきだと考えています。また、当院では「正しく吸入しているかできているかどうか」を適宜チェックすることで、十分な効果が得られるようにサポートしています。

― 先生の考える喘息治療の目標を教えてください。

日々の症状を点数で判定する「喘息コントロールテスト(ACT)」で25点満点中23点以上をキープし、日々の症状をコントロールしつつ、喘息発作を起こさせないこと。また、将来的な呼吸機能を低下させないことです。
咳の症状がなくなっても、気道の炎症はくすぶっているため、まずは1年間を目標に吸入治療を継続することが大切です。日本は四季があり年間を通して寒暖の差が大きく、時期によって異なる花粉が飛ぶため、季節の変わり目に喘息が悪化する可能性があるからです。

ドクターからのメッセージ
  • 南 和宏 院長

私は日本呼吸器学会呼吸器専門医として、急性期病院で数多くの呼吸器疾患の診療に携わって参りました。そのため、咳の原因を的確に診断することが可能です。
小児喘息に罹患し、治ったと診断された方でも、実は完治していないケースが多々あります。インフルエンザや新型コロナウィルスなどに感染すると、くすぶっていた気道の炎症が悪化し、喘息症状として顕在化することがあるので、咳や息切れなどの症状が出た場合は呼吸器内科を受診ください。
咳でお困りの方、小児喘息の既往歴がある方は、お気軽にご相談いただければ幸いです。

呼吸器のスペシャリストによるフェノタイプに応じた喘息治療
呼吸器のスペシャリストによるフェノタイプに応じた喘息治療

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住所
大阪府大阪市西区南堀江4-10-14
電話番号
06-6531-3730
診察領域
内科、呼吸器内科、アレルギー科、外科、皮膚科、美容皮膚科、予防接種、健康診断
専門医
外科専門医、呼吸器専門医、呼吸器外科専門医、皮膚科専門医、がん治療認定医
専門外来
ぜんそく専門外来、睡眠時無呼吸症候群専門外来