前向きな治療に大切な
「納得感」は、患者様
との丁寧な対話から
慢性疾患の治療から健康相談まで。感染症対策を徹底した院内で丁寧にお話を伺い、患者様に寄り添います。
- 美園おなかと内科のクリニック 北海道札幌市豊平区
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- 岡本 耕太郎 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.112
呼吸器内科
目次
咳の症状が出る原因はいろいろありますので、まずは喘息以外の疾患(肺がん、肺炎、気胸など)を鑑別するために胸のレントゲン撮影を行います。レントゲンに問題がなければ、次に2種類の呼吸機能検査に進みます。ひとつは、呼気の一酸化窒素の値の測定です。この値が高ければ、喘息の可能性が高いと言えます。もうひとつは呼吸機能検査で、肺活量や吐く力などを測定します。喘息に罹ると気道の狭窄を来すため、吐く力が低下することがあるのです。喘息のフェノタイプは多様なので、血液検査で好酸球数やアレルギーの有無などを調べることも重要です。
胸のレントゲンでは、肺がん、肺炎、気胸などの深刻な疾患が隠れているかどうかが分かります。実際、当院でこれまで診察した患者様の中には、肺がんや転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍が見つかった方がおられました。
「喘息」と一言で言っても、そのフェノタイプは多様です。喘息の原因になる気道の炎症は、好酸球などの免疫細胞によるものが大半ですが、アレルギーが原因の場合や好中球によるものもあります。また、子どもの頃から喘息がある小児発症型、大人になってから発症する成人発症型など、様々な特徴があり、それぞれ治療薬も異なります。ですから、各種検査で喘息のフェノタイプを把握しておくことはとても大切です。
日本アレルギー学会によるガイドラインに沿って進めます。喘息の治療は4つの治療ステップに分かれており、どこから始めるかは、患者様の重症度に基づいて決定します。ただし、気道が炎症を起こしているのは共通なので、どの治療ステップでも炎症を抑える吸入ステロイドの使用をベースに治療を行います。実臨床では気管支拡張薬を加えた合剤を使用することが多く、重症例では生物学的製剤(注射薬)を組み合わせるケースもあります。
治療を続けても改善が見られない場合は、喘息の悪化因子を探します。例えば、呼吸器感染症や睡眠時無呼吸症候群、副鼻腔炎などは悪化因子といわれているので、それらの治療が必要です。また、肥満や喫煙も悪化因子になり得るので、ダイエットや禁煙も重要ですね。その他、ペットを飼われている場合は、寝室を分けてもらうなどの生活指導を行うこともあります。血液検査によりアレルギーが判明しているケースでは、アレルギー免疫療法を組み合わせる場合もありますね。
ガイドラインにも記載のある通り、日々の症状をコントロールすることと、将来的な呼吸機能の低下を防ぐことです。治療せずに放置してしまうと、呼吸機能は徐々に低下していきます。そして季節の変わり目やウィルス感染、花粉などで喘息発作を来しやすくなり、呼吸機能の低下をさらに加速させてしまいます。
喘息を悪化させる一番の要因は、吸入薬の吸い忘れです。吸入薬のデバイスには様々な種類がありますが、朝夕の吸入が必要なデバイスは忙しい患者様にとって吸い忘れの原因になりかねません。そのため、なるべく1日1回で効果のある吸入デバイスを選んで処方すべきだと考えています。また、当院では「正しく吸入しているかできているかどうか」を適宜チェックすることで、十分な効果が得られるようにサポートしています。
日々の症状を点数で判定する「喘息コントロールテスト(ACT)」で25点満点中23点以上をキープし、日々の症状をコントロールしつつ、喘息発作を起こさせないこと。また、将来的な呼吸機能を低下させないことです。
咳の症状がなくなっても、気道の炎症はくすぶっているため、まずは1年間を目標に吸入治療を継続することが大切です。日本は四季があり年間を通して寒暖の差が大きく、時期によって異なる花粉が飛ぶため、季節の変わり目に喘息が悪化する可能性があるからです。
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