齋藤 陽院長 目黒外科 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.012

心臓血管外科

患者の幸せをめざす下肢静脈瘤の治療
患者の幸せをめざす下肢静脈瘤の治療
目黒外科
  • 齋藤 陽院長
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診療内容に「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の治療」を掲げるクリニックが増えてきた。しかし、名前を聞いたことはあるもののどのような病気かは知らない、また名前すら聞いたことのない人が多いのではないだろうか。下肢静脈瘤とはどのような病気で、どのような症状が現れるのか、またどのような治療を行うことで改善をめざせるのだろう。「命に関わる病気ではないものの、人知れず長く悩んでいる患者さんが多いのが実情です」と話すのは「目黒外科」(目黒駅前)の齋藤陽(あきら)院長。勤務医時代から27年にわたってこの病気の治療を行っているベテラン医師に詳細を聞いた。(取材日2018年9月18日)

静脈の逆流を防ぐ弁の機能が低下して発症。40歳以上の女性患者が7割

―下肢静脈瘤とはどのような病気なのでしょうか。

人間の血管には、心臓から全身に血液を送る動脈と、体の各部分から血液を心臓に戻す静脈の2種類があります。心臓は体の上の方にありますから、脚を起点にすれば静脈は重力に逆らって血液を押し上げているわけです。ここで重要な役割を果たしているのが静脈内にある弁。弁がストッパーとなって血液の逆流を防いでいるのですが、この弁が何らかの理由で機能を損なうことで逆流が生じ、脚に血液が溜まってしまう病気が下肢静脈瘤です。命に関わる病気ではありませんが、血管がぼこっと浮き出る、脚がだるい、就寝中につるといった症状が現れます。

―どうして静脈内の弁の機能が損なわれてしまうのでしょう。

理由はさまざまです。下肢静脈瘤は女性の方がなりやすく、妊娠・出産で弁の機能が損なわれやすくなります。妊娠時には赤ちゃんに栄養を届けるため血液の量がおよそ1.5倍に増え、血管拡張作用のある女性ホルモンの分泌量もおよそ100倍に増えるため、脚の静脈は拡張しやすくなります。さらに大きくなった子宮により静脈が圧迫されると、さらに拡がり弁が噛み合わなくなります。拡張していた静脈の状態は出産後には元に戻りますが、妊娠・出産を経験する度に戻りにくくなるため、出産人数に比例して下肢静脈瘤を発症しやすくなります。遺伝も影響しますが、女性の方が遺伝しやすいと考えられています。

―生活習慣も関わってくるのでしょうか。

私たちは普段、脚を動かすことで血液を押し上げています。マヨネーズを押すと中身が飛び出ますよね。あれと同じように脚を動かすと脚の筋肉が収縮して静脈が圧迫され、血液が上がっていくのです。これを脚の筋肉のポンプ作用と呼んでいます。立ちっぱなしや座りっぱなしの状態が続く仕事をなさっていると筋肉のポンプ作用が働かないので、脚の静脈に血が溜まり下肢静脈瘤が起こりやすくなります。患者さんに美容師、看護師、料理人の方が多いのはこのためです。

院長は27年にわたり約7,000の症例を経験、指導医でもあるベテラン医師

―下肢静脈瘤の治療方法について教えてください。

治療方法は主に圧迫療法と手術、硬化療法の3つが挙げられ、患者さんの状態や希望により治療方針を検討します。圧迫療法とは、一般的なものより締め付けが強い弾性ストッキングを履き、静脈を圧迫することで血液を押し上げるものです。すぐに治療が始められる手軽さがある一方、継続しないといけない負担感はあります。硬化療法とは、蜘蛛の巣状、網の目状の細い静脈瘤に適応する治療で、硬化剤と呼ばれる薬を静脈に注入します。硬化剤によって固まりふさがった静脈瘤は徐々に細くなり、最終的には体の組織に吸収されます。手術と硬化療法は共に健康保険が適用されます。

―手術では具体的にどんなことを行うのでしょうか。

カテーテル治療と異常な静脈を取り除くストリッピング手術の2通りがありますが、医療の発達により現在の主流は前者です。カテーテル治療は細い管(カテーテル)を静脈の中に入れてその先端から発生する熱エネルギーにより血管を焼き閉じるものです。血管が閉じることで血液の逆流は止まり、溜まっていた血液は他の正常な静脈を通って心臓に戻ります。当院ではこのカテーテル治療において機能の異なるレーザー治療と高周波治療の2つを使い分けています。傷口も小さく、術後は痛み止めの薬を飲まなくて済むケースがほとんどです。

―手術は日帰りで受けられると聞きました。

カテーテル治療だけなら手術時間は15分ほどで終わります。「手術」と聞くと不安を覚える人もいるかもしれませんが、医療の発達で痛みはかなり軽減できるようになりましたし、また当院では局所麻酔のほかに静脈麻酔も行っていますから、ウトウト眠っている間に手術が終わり、手術後は休憩室のソファで30分ほど休んでいただいたのち帰宅できます。私は研修医のころから27年にわたって下肢静脈瘤の手術を行ってきており、症例数は約7,000件に及びます。また下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会から指導医に指定されており、医師への指導も行っています。こういった私の実績の面でも患者さんの不安感を和らげたいです。

ドクターからのメッセージ
  • 齋藤 陽院長

命に関わらない下肢静脈瘤は医師から軽視されがちな病気ですが、私はこの病気の治療に大きなやりがいを感じています。長年のつらい症状が改善し、見た目も良くなったことで「脚がとても楽になった」「スカートを履けるようになった」と喜ばれる患者さんをたくさん見てきたからです。中には治療後にミニスカートを履いて当院を訪れ「先生どうかしら」と、恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうに話してくれた女性もいました。私は「下肢静脈瘤の治療は患者さんを幸せにする治療」だと信じ、患者さんに「ここに来て良かった」と思われるクリニックをめざしています。完全予約制をとって初診時には30分ほどじっくりと患者さんの話を聞き、時にユーモアを混ぜながらわかりやすく説明します。下肢静脈瘤が気になる方、お悩みの方はご相談いただけると嬉しいです。

患者の幸せをめざす下肢静脈瘤の治療
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住所
東京都品川区上大崎2-15-18 目黒東豊ビル6階
電話番号
03-5420-8080
最寄駅
目黒駅、五反田駅、白金台駅
アクセス
JR山手線、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線 目黒駅より徒歩30秒
診察領域
外科、心臓血管外科
専門医
外科専門医、心臓血管外科専門医
専門外来
下肢静脈瘤専門外来