いびきや眠気に加え、慢性的な酸欠を招く「睡眠時無呼吸症候群」
循環器内科の知見を活かし、睡眠時無呼吸症候群とその先の血管、心臓、脳のリスクまで幅広く対応します。
- 瀬谷いろどりハート内科クリニック 神奈川県横浜市瀬谷区
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- 五十嵐 厳 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.175
耳鼻咽喉科
目次
スギやヒノキなど、植物の花粉が原因で起こるアレルギー疾患で、医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。花粉が鼻や目の粘膜につくと、体はそれを異物と認識し、退治しようとします。その過程で「IgE抗体」という物質がつくられ、再び花粉が体内に入ってきたときに結合し、アレルギー誘発物質が放出されるのです。その反応によって、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血といった典型的な症状が引き起こされる、これが花粉症のメカニズムです。
花粉症になるかどうかは、アレルギー素因を持っているかどうか、そして「閾値(いきち)」の違い、すなわちどこまで花粉に耐えられるかという「受け皿の大きさ」の違いが影響します。
血液中にある特定のアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対するIgE抗体の量を、「クラス」という数値で表します。クラス2以上になると強いアレルギー反応を起こしやすいとされていますが、クラスが高ければ必ず症状が出るというわけではありません。人によって「閾値」が違うため、クラスが同じでも症状の出方や強さに差が生じるのです。
皮膚にアレルゲンをつけて反応をみる検査もありますが、血液検査が基本となっており、41項目を一度に調べることが可能です。花粉だけでなく食べ物や動物、カビなど幅広い物質からアレルゲンを確認でき、スギやヒノキ、ブタクサ、イネ科植物のほか、白樺など地域性のある植物の花粉や、土壌由来のカビに反応する方もいらっしゃいます。アレルゲンが明らかになれば、例えば花粉ならマスクを活用する、動物アレルギーなら接触や飼育を控えるなど、アレルギー反応を避ける対策を取ることができるでしょう。また後ほどご紹介する舌下免疫療法のように、体質そのものに働きかける「根本治療」を選ぶことも可能です。
大きく分けて「薬物療法」「レーザー治療」「注射治療」「舌下免疫療法」の4つがあり、患者様の生活状況と重症度を踏まえて組み合わせます。
薬物療法には、点眼薬・点鼻薬・内服薬がありますが、年齢や基礎疾患、生活環境などにより、適したものは異なります。妊娠中の方や小さなお子さん、高齢の方などは使える薬が限られますし、車を運転される方には眠気の出づらいものが良いでしょう。種類も多いので、実際に使ってみてご自身に合った薬を見つけていくプロセスが大切です。
レーザー治療(下鼻甲介粘膜焼灼術)は、鼻の粘膜にレーザーを照射して、花粉などへの反応を起こりにくくするものです。鼻づまりの改善に効果があり、薬をあまり使いたくない方や、妊娠中・受験中などで服用を控えたい方にも適しています。治療は局所麻酔をした上で行い、所要時間は10分ほどです。術後は数日ほど鼻の違和感や軽い痛みが出ることもありますが、自然に落ち着いていきます。効果はおよそ1~2年持続します。
注射治療では、アレルギー反応の原因となるIgE抗体の働きを抑える薬を投与します。これまでの薬物療法で十分な効果が得られない重症の方が対象であり、まずは内服薬や点鼻薬を一定期間続け、それでも改善が見られない場合に適応を判断します。投与の間隔は2〜4週間に1度で、通院の頻度や費用、注射の痛みなどが負担になる面もありますが、症状の改善を実感される方が多い治療法です。なお年齢などによる制限があるため、その点は事前にしっかり説明させていただきます。
アレルゲンを毎日少量ずつ体に取り入れて慣らしていく治療法であり、日本では現在スギ花粉とダニが保険適用です。アレルゲンを含む錠剤を舌下に投与し、体に「これは異物ではない」と学習させることで、アレルギー反応を起こりにくくしていきます。毎日の服用を3〜5年は続けていただくので根気が要りますが、体質に直接働きかけられるのが特徴です。お子さんの場合は特に、本人のやる気に加え保護者の見守りがとても大切になってきます。
ちなみに花粉の飛んでいない時期から治療を開始するのがポイントであり、夏や秋に服用を始めた患者様が、翌春のシーズンに「今年は楽でした」とおっしゃることも多いですね。
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循環器内科の知見を活かし、睡眠時無呼吸症候群とその先の血管、心臓、脳のリスクまで幅広く対応します。
ご希望に合わせた下剤の選択や最小限の鎮静など、不安な患者様にも寄り添った大腸内視鏡検査を提供します。
薬物療法、レーザー治療、注射治療、舌下免疫療法などから、「続けられる」花粉症治療を選びましょう。