手術の負担も術後の痛みも軽減。鼠径ヘルニアの日帰り腹腔鏡手術
男性では3人に1人がかかるという身近な疾患「鼠径ヘルニア」。腹腔鏡手術による早期治療をお勧めします。
- 大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック 大阪府大阪市北区
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- 田村 卓也 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.156
消化器外科
目次
鼠径ヘルニアは、鼠径部といわれる両足の付け根あたりから、腸などがお腹の外(皮膚の下)へ飛び出す病気です。「脱腸」といえば、聞いたことがあるかもしれません。
腹部の内臓は筋肉によって支えられていますが、鼠径部では筋膜が支えています。筋膜は筋肉と違って鍛えることができないので、筋膜が緩んで腹圧に耐えられなくなると、穴のような隙間(ヘルニア門)ができて内臓が飛び出してしまうのです。
特徴的な症状は、鼠径部の膨らみですね。立っているときはポコッと膨らみますが、横になると消失します。飛び出す場所によって外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類に分類され、50〜60代の男性に多く見られます。
長期にわたって鼠径ヘルニアの状態が続いた場合、飛び出した臓器がヘルニア門にはまり込んで戻らない「嵌頓(かんとん)」という状態になる可能性があります。嵌頓は腸閉塞を引き起こし、さらには腸管が壊死してしまい命に関わることもある、危険な合併症です。
「大きくなってきたから心配で」と受診される患者さまもいますが、嵌頓のリスクは膨らみの大きさと関係ありません。たとえ膨らみが小さくても、同様のリスクがあることは知っておいてください。
子どもの鼠径ヘルニアは先天性ですが、成人の場合は鼠径部の筋膜が弱ることが主な原因です。加齢や生活習慣、仕事などに起因して起こりやすく、立ち仕事や重いものを運ぶ機会が多い仕事などで、日頃から腹圧のかかる動作が多い方は特に注意が必要でしょう。
当院でも、美容師や飲食店勤務の方、運送業や介護職の方の受診が多いですね。ほかには喘息や、喫煙習慣があって咳をすることが多い方も、鼠径ヘルニアのリスクが高いといわれています。
鼠径ヘルニアを完治させるには、内臓が飛び出す穴を塞ぐ治療が必須です。治療法は「腹腔鏡手術」と「前方切開法(鼠径部を5センチ程度切開する手術)」の大きく2つに分かれ、さらにそれぞれ2つの術式があります。どの手術にもメリット・デメリットがあるため、医師の方針やご本人の希望などを踏まえて治療法を選択すると良いでしょう。
当院では、「TAPP法」という腹腔鏡手術を実施しています。お腹の部分に3〜5ミリの小さな穴を3つ開け、内視鏡と手術器具を腹腔内に挿入して行う手術です。脱出した内臓をもとの位置に戻し、ヘルニア門を医療用メッシュで覆って塞ぎます。お腹の中を直接観察できる術式のため、症状がない反対側のヘルニアの確認・処置も可能です。
前方切開法と比べて低侵襲で感染症のリスクが低い点や、傷口が小さく回復が早い点は、腹腔鏡手術の大きなメリットといえます。入院を必要としない分、医療費を抑えられることも重要なポイントでしょう。
術後に食事制限を必要としない疾患に限定して、日帰り手術を行っています。鼠径ヘルニア以外では、虫垂炎(盲腸)と胆石症が対象です。
日帰り手術を実現するには、術後の痛みと吐き気を最小限に抑えることが欠かせません。当院では点滴や患部への局所麻酔、神経ブロック注射などを組み合わせて、術後の痛みに配慮しています。加えて年齢・性別・生活習慣などを考慮し、患者さまに合わせてきめ細かに麻酔と薬剤を調整することで、吐き気の抑制にも努めています。
そしてもちろん、医師の技術力も不可欠です。当院では腹腔鏡手術の指導者資格をもつ日本内視鏡外科学会技術認定医が執刀、麻酔についても経験豊富な医師が行い、心身ともに負担の少ない日帰り手術を実現しています。
初診では患部の状態を確認し、超音波検査で鼠径ヘルニアを評価。さらに術前検査を実施後、手術日を決定します。当日は全身麻酔により1時間から1時間半程度で手術を行い、術後はリカバリールームで休んでいただきます。
当院では初診の際に、手術前日の準備や注意点、術後の過ごし方などをまとめた「患者さま用診療計画表」という冊子をお渡ししています。検査内容と結果、手術内容なども記載し、患者さまがいつでも見返して確認することができる当院独自のアイテムです。
術後の経過観察は電話とLINEで行っており、手術当日と翌日、3日目に、患部の状態と体調、不安点などを確認します。LINEの場合は患部の画像を送っていただくことで、より詳しい状態の把握や説明が可能です。
時間に余裕がある方は診察に来ていただきますが、来院できない方も安心して過ごせるよう、術後の数日間は特に重点的にケアしています。
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男性では3人に1人がかかるという身近な疾患「鼠径ヘルニア」。腹腔鏡手術による早期治療をお勧めします。
患者様の不安にも丁寧に寄り添い、豊富な選択肢から肌質やご希望に合わせて治療計画を提案します。
呼吸器のつらい症状には、早めの受診が重要です。咳や喘息に特化した設備で、適切かつ迅速に診断します。