医療法人西隆会 厚生仙台クリニック　下村 英雄 院長 | ドクターズインタビュー

全身のがんを一度に調べられることが「PETがん検診」の大きな特長

― 貴院の取り組みについてお聞かせください。

当院をご利用いただくケースは、大きく2つのパターンに分かれます。1つは、PET/CTを用いたがん検診や脳ドック、人間ドック、健康診断などを、個人の希望や会社の福利厚生として行っていただくケースです。PETがん検診は、検査の範囲に応じて選べる4種のコースを用意しています。
もう1つは、他の医療機関でがんと診断された方を、保険診療でより詳しく検査するケースです。この場合もPET/CTを利用した画像診断により、全身の病巣の位置や進行具合を詳しく調べます。

― PET/CTを用いた画像診断とは、どのような検査ですか？

まずPET検査の原理ですが、がん細胞が正常な細胞と比べて3～8倍のブドウ糖を取り込む性質を利用しています。検査時は、ブドウ糖に似たFDG（フルオロデオキシグルコース）を静脈注射します。がん細胞が発生している場合、ブドウ糖と同様にFDGを多く取り込みますので、FDGが集まっている組織を画像化できるPETと呼ばれる装置で検査することにより、がんが発見できるという仕組みです。
PET/CTとは、このがん病巣の発見を得意とするPETに、がん病巣の位置の特定を得意とするCTを組み合わせた検査です。一度の検査で、ほぼ全身のがんを調べられることが大きな特長となっています。

― 実際にPETがん検診コースを行う際の流れを教えてください。

検査の前夜から絶食をしていただき、来院時はまず、看護師による問診を行います。その後、目の検査や血圧測定を行い、超音波検査、MRI検査、PET/CT検査、お食事、医師による結果説明という流れです。ここまでの所要時間は、概ね4時間半になります。
検査を不安に思われている方ですと、絶食をお願いするまでもなく前日から食べ物が喉を通らないということもあります。当院では検査当日に大まかながんの有無がわかるため、結果を聞いてホッとされた途端に空腹を感じる方も多いようです。PETがん検診コースを受診された方には、季節の食材を使用したお弁当を提供しており、ご好評をいただいております。

常駐する医師が結果を当日に説明。報告書やアフターフォローは追加料金なし

― がん検診を専門に行うクリニックとして、大切にしていることはありますか？

受診された方の不安や心配を、少しでも早く取り除くことでしょうか。PET/CT検査による画像診断は、一般的に結果が出るのに2週間から1か月かかりますが、それまで不安を抱えて過ごすのはつらいものです。当院では画像診断に精通した医師が常駐していますので、検査当日に結果をご説明し、いち早く安心していただくことができます。また、画像診断以外の血液検査などの結果については、約3週間後に結果報告書をお渡しし、併せてアフターフォローを行います。こうした結果説明や報告書、検査後のサポートなどは追加料金になるケースがほとんどですが、当院ではポリシーとしていただいておりません。

― どのような方にPETがん検診コースをお勧めされますか？

がんは50代から急激に患者数が増えますので、その年代以上の方にはぜひとも受けていただきたいです。会社の健康診断を定期的に受けている方はPETがん検診コースに脳ドックを加えたコースを、自営業の方などは当院の検診メニューをほぼ網羅したコースをといった選び方をしていただければよいかと思います。
定期的な健康診断を受けていらっしゃらない方は特に、全身の状態を検査できるPETがん検診コースを年に一度は受けていただくことをお勧めします。オプションを組み合わせてオーダーメイドのメニューをご用意することもできますので、お気軽にご相談ください。

― 最後に、この記事をお読みの方々へメッセージをお願いします。

がんは早期発見・早期治療が何よりも重要です。当院が検査当日にがんの有無を確認するのは、万一の際に一刻も早く治療へ移行したいという目的もあります。ぜひとも「安心を買う」つもりで、定期的に受診してください。また、がん検診のスパンは年に一度で十分ですが、小さな変化を見逃さないためにも同じ病院で継続的に受けることを強くお勧めします。とくにPETがん検診による画像診断は、前回との比較が重要になります。ぜひ、かかりつけの病院を見つけてください。