街の頼れるドクターたちvol.050
もともとの専門は腎臓内科で、救急医療に取り組む病院の勤務医として約25年間、急性疾患のほか、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の治療にあたってきました。漢方を本格的にスタートさせたのは十数年前です。実を言いますと、私の家は祖父の代からの漢方医の家系なんですね。時は明治時代に遡りますが、祖父の兄(伯祖父)がマラリアにかかり、一命は取り留めたものの下痢が止まらず、飲食もできずに途方に暮れていたところを、漢方医が見事に治してくれた。これに感銘を受けた伯祖父は自ら漢方医の道に進んだのですが、東洋医学の知見を広めるためには人手が必要だというので祖父を引き込んだのです。こうした事情も手伝って、我が家には東洋医学や漢方の本がたくさんありましたし、勤務医の頃からいろいろな先生のもとに通いながら漢方の勉強を重ねてきました。
患者さまお一人おひとりのニーズに合った“オーダーメイド”の治療です。西洋医学は臓器ごとに診療科が分かれ、病気の原因を細胞レベルで捉えるなど、“ミクロ”な方向で発展を遂げてきました。一方、東洋医学は自覚症状や脈、舌の状態、お腹を触った感触等から全身のバランスの乱れを判断する、“マクロ”な視点で治療を進めます。バランスの乱れ方は、患者さまの病状や生活環境によって異なりますし、風邪の引き始めや治りかけなど病気のステージによっても違います。また、発熱一つとっても患者さまが寒がっているのか、暑がっているのかによって対応を変えますし、脈も、脈拍数のみならず脈の強さや流れ方を重視するなど、西洋医学とは異なる所見を取ります。その意味でも、患者さまお一人おひとりのお話をじっくりと伺い、全身を丁寧に診察することが大切なのですね。
甘くて飲みやすい処方もありますが、あながち間違いではありません。例えば、偏頭痛の患者さまに処方する「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」という、とても苦い漢方薬があります。これを、嘔吐を伴う激しい頭痛発作に悩まされている患者さまに飲んでもらうと「美味しい」という方がいらっしゃるんですね。一説によると、症状にフィットする薬は美味しく感じられるのだそうです。もっとも症状が緩和されていくにつれて、どんどん苦くなっていきますので、まずいという点は変わらないのですが…。
オペラシティクリニック
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