街の頼れるドクターたちvol.044
開院前は東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)などで、5,000症例を超える内視鏡検査・治療に携わってきました。約10年間、胃がんや大腸がんの治療にあたるなかで痛感したのは、「内視鏡検査を定期的に受けて、がんをもっと早く発見できていれば、ほとんどの患者さまは手術の必要などなかったはずだ」ということです。胃・大腸がんで亡くなる方は年間10万人弱に上りますが、これらは早期に発見し、治療すれば完治の可能性が極めて高い、いわば治りやすいがんなのです。にもかかわらず、定期的な検査の習慣が根付いていないため、胃・大腸がんによる死者数はなかなか減らない。そのことに歯がゆさを感じながらも、大学病院の勤務医である限りは、この現実を変えられませんでした。ならば活動の拠点を市中に移して啓発活動をリードしていこうと、開院を決意したのです。
内視鏡検査は痛くて、ツラくて、面倒くさい、そんな印象をお持ちの方が多いからだと思います。だからこそ、苦痛のない楽な内視鏡検査を提供することが重要なのですね。理想的な検査を実現するために、鎮静剤を安全かつ適切に使用しながら、内視鏡をスムーズに挿入・操作し、さまざまな病変を発見していく。こうした技術の習熟は当然のことながら、当院では事前診察やアフターフォローにも力を入れています。事前診察では、患者さまが抱える不安をすべて聞き出し丁寧に説明する。アフターフォローでは、患者さまの不安をいたずらに煽ることのないよう細心の注意を払いながら正確な情報をお伝えします。いちばんの基本は「病気」ではなく「人間」を治すという視点です。患者さまの人柄やお気持ち、生活環境に思いを馳せて、最適な治療方法を組み立てていく。いわば“全人的”な治療が欠かせないのです。
当院で内視鏡検査を受けられた患者さまは、2017年の千数百件から2019年は3,000件超と確実に増えています。今後の目標は、曳舟から胃・大腸がんで亡くなる方をゼロにすることです。「今年もそろそろ内視鏡の時期だよね」という会話が普通に交わされるようになるまで、内視鏡検査のハードルを徹底的に下げていきたいと思っています。
ファミリークリニックひきふね
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一般整形外科に加えて、手のけがや病気を専門的に治療する「手外科」分野に力を入れています。
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