医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック 今野 裕之 名誉院長 | ドクターズインタビュー

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カギは生活習慣。理想的な心身状態を目指すオーダーメイドの治療

街の頼れるドクターたちvol.043 心療内科

医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック
  • 今野 裕之 名誉院長
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東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅から徒歩1分に位置する「ブレインケアクリニック」。周辺で働くビジネスパーソンを中心に、発達障害の治療に訪れる若者から、認知症で通院する高齢者まで、じつに幅広くメンタルの疾患を診療する精神科・心療内科クリニックだ。同クリニックの今野裕之名誉院長は精神科医として働く傍ら、抗加齢医学や栄養療法、米国発のアルツハイマー病治療プログラム「リコード法」を学び、独自の認知症予防プログラムを開発。日本初の「リコード法」認定医であり、生活習慣を軸とした認知症予防のパイオニアである。最近の精神疾患の傾向やクリニックの特徴、各種プログラムの内容について伺った。(取材日 2020年6月29日)

医師・看護師・栄養士が連携してサポート。より根本的な治療を目指す

― 最近の精神疾患の傾向について聞かせてください。

以前に比べ比較的軽症の患者さまが増えている印象です。統合失調症や重度のうつ病の患者さまが減り、軽度の躁鬱病や神経症、いわゆるグレーゾーンの患者さまが圧倒的に多くなりました。「寝つきが悪い」「仕事のストレスで気分が晴れない」というように、メンタルにちょっとした不調を感じると、すぐに来院される患者さまが増えているのですね。その背景としては、2000年頃からスタートした、うつ病を“心の風邪”と呼ぶキャンペーンが影響していると思います。精神疾患に対する理解が浸透した結果、精神科や心療内科の敷居が下がったのでしょう。

― クリニックの方針として大切にされていることは何でしょうか。

生活習慣の改善に力点を置きながら、患者さまお一人おひとりに合った“オーダーメイド”の診療を実践し、精神疾患の治療はもとより、各年齢における理想的な健康状態、すなわち「オプティマル・ヘルス」の実現を目指すことです。これまではあまり顧みられることがなかったのですが、食事や睡眠、運動、ストレスへの対処など、生活習慣が精神疾患に大きく関係することがわかってきました。当クリニックでは、患者さまがバランスのとれた食事や規則正しく質のいい睡眠、適度な運動、ストレスマネジメントなどを実践できるよう、専門知識を持った医師や看護師、管理栄養士が中心となって、きめ細かなサポートを行っています。それから、得意分野の異なる複数の医師が診察を行なっている点も当クリニックの特徴です。

― 複数のドクターが在籍するメリットについて聞かせてください。

精神科は心の疾患を相手にするだけに、医師と患者の“相性”がきわめて重要です。相性が良くないと、患者さまの気持ちや考え方を十分理解できず治療がなかなか進まなくなることがあります。また、医師が得意でない疾患の場合、疾患の特徴を見逃してしまう可能性もあります。医師一人ではどうしてもカバーしきれない問題が出てきます。患者さまに合った治療を提供するためにも、複数の医師がそれぞれの得意分野を生かし、協力しながら治療を進める仕組みが欠かせないのです。

認知症をこの世の中からなくしたい。45歳からの「リコード法」のすすめ

― うつ病など精神疾患が原因で休職している方の職場復帰を支援するプログラムを実施されていると伺いました。

「リワーク」のことですね。うつ病は再発率が高いため、休職と復職を繰り返される患者さまが少なくありません。こうした患者さまのスムーズな職場復帰と就労継続を支援するために、「一般社団法人リエンゲージメント」(離職者向け)および「新宿御苑前メンタルクリニック」(求職者向け)と提携し、3〜6か月間にわたって、就労に必要な知識の学習や、復職後を見据えた作業、ストレスに対処する訓練などに取り組むプログラムを実施しています。

― 著書『最新栄養医学でわかった!ボケない人の最強の食事術』では、ご専門の「リコード法」を紹介していらっしゃいますね。

「リコード法」は、米国の医師が発表したアルツハイマー病の治療プログラムで、2014年に発表された論文ではプログラムに参加したアルツハイマー病や軽度認知障害の患者の9割に回復が認められたというデータもある、驚くべき治療法です。心身の状態や栄養の過不足を調べる血液検査やアルツハイマー病の発症リスクになる遺伝子検査など、さまざまな検査の結果をもとに“オーダーメイド”の治療を進めるのですが、その最大の特徴は生活習慣を重視する点にあります。中でも食事が重要です。ビタミンB群である葉酸、ビタミンB6、B12を積極的に摂取するとともに、精製された糖質をはじめとする認知症のリスクを高める食べ物を避けることで、脳の老化を遅らせる。つまり、認知症のリスク要因である加齢や生活習慣の乱れなど、より根本的な背景に着目して治療していくのが「リコード法」の要点です。ぜひ45歳以上の方には人間ドックと同じような感覚で検査を受けていただきたい。世の中から認知症という疾患をなくすこと、これが私の夢です。

― 最後に、受診を検討されている方へのメッセージをお願いします。

精神疾患も軽症のうちに治療を開始した方が早期回復を期待できるのは間違いありません。「おかしいな」「いつもとは何か違うな」と感じたら、いつでも、お気軽にご相談にいらしていただければと思います。

カギは生活習慣。理想的な心身状態を目指すオーダーメイドの治療

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住所
東京都新宿区新宿2丁目1−2 白鳥ビル 2階
電話番号
03-6273-2214
診察領域
内科、精神科、心療内科、予防接種
専門医
精神科専門医
専門外来
物忘れ専門外来(認知症外来)