自覚症状の乏しい「心臓弁膜症」の
診断は、心エコー検査がカギ
動悸や息切れは心疾患の可能性も。「機器・技師・医師」の総合力で、心臓弁膜症の早期発見を目指します。
- おおた循環器内科エコークリニック 東京都千代田区神田駿河台
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- 太田 光彦 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.181
循環器内科
目次
ひと言でいうと、心臓の弁に障害が起きて、本来の機能を果たせなくなってしまう疾患です。心臓は右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋に分かれており、それぞれの間に血液の逆流を防止する弁が備わっています。これらの弁が開閉を繰り返すことで、血液が常に一方向に流れるよう保たれているのです。しかし何らかの原因によって弁の動きが不完全になり、血液が流れにくくなったり逆流したりすると、動悸や息切れ、胸の痛み、足のむくみ、倦怠感や疲れやすさ、場合によっては失神などの症状が現れます。これが、心臓弁膜症の基本的な特徴です。
加齢に伴い弁が硬くなって開閉が不十分になるケースのほか、リウマチ熱など疾患の後遺症により弁が開きにくくなるケース、弁をつないでいる「ひも(腱索)」が切れて弁が閉じなくなってしまうケース、先天的な構造異常によって発症するケースなど、原因はさまざまです。若年、中年でも発症する可能性のある疾患ですが、有病率は年齢とともに上昇します。2006年のやや古いデータに基づく推計となりますが、日本人の総人口において65〜74歳で約148万人(有病率8.5%)、75歳以上では推定245万人(同13.2%)の潜在患者がいるとされています (「Nkomo VT, et al. Lancet. 2006;368:1005-11.」及び「総務省統計局『人口推計(令和2年4月報)』」より) 。
心臓弁膜症は軽症・中等症・重症に分けられますが、前述のような症状が現れるのは中等症以上です。気がつくまで時間がかかる上に、「すぐに手術を受けた方がいい状態なのに、自覚症状がまったくない」という患者様もいらっしゃいます。
症状が気づかれにくい原因としては、「加齢に伴う体の変化」と混同されがちなことが挙げられます。あるいは、日常生活において息切れなどを抑えるため無意識に運動量を減らしてしまった結果、症状を自覚できず医療機関への受診が遅れるケースも少なくありません。またコロナ禍以降、接触を減らすために聴診を避ける傾向が高まったことが、心雑音を見逃す一因となっている可能性もありますね。
重症かつすでに症状がある場合は、外科手術もしくはカテーテル治療が基本です。安定的な実績を上げていて、すぐに手術ができる病院を紹介します。一方、重症でも症状のない方や軽症〜中等症の方は、薬物療法を併用しながら定期的な経過観察及び検査(軽症は2〜3年ごと、中等症は1〜2年ごと、重症は半年ごと)を行い、手術の必要性やタイミングを見逃さないようフォローアップを続けていきます。なお薬物療法の目標は、心不全や心臓弁膜症の症状を緩和することです。薬によって弁が元通りの状態に戻ることはありません。
心臓弁膜症の治療で重要になるのは、疾患を早く正確に見つけ、進行状況を継続的に追っていくことです。その要となるのが「聴診」と「心エコー検査」です。心エコー検査は、超音波を用いて心臓の動きをリアルタイムで観察し、心臓の4つの部屋と4つの弁の状態を評価します。
なお、被ばくなどの心配がなく繰り返し検査を行えることや、検査後すぐに結果説明ができるのが、心エコー検査の大きなメリットです。当院ではAI搭載のエコー機器とともに、心臓の最適な断面を描出するために心エコー専用ベッドを導入しました。プローブ(超音波を体表から照射するための機器)を適切な位置・角度で当てやすく、より正確な検査ができる環境を整えています。ただし、早期発見のためには「良い装置があれば十分」というわけではありません。
心エコー検査の精度は、担当する技師の技術によって大きく左右されます。心臓は体の奥で三次元的に動いており、正確な断面を正確な角度で捉えなければ、弁の開閉や逆流の程度は適切に評価できません。つまり、機器を胸に当てれば誰でも同じ結果が得られる検査ではなく、技師の経験・習熟・描出力がそのまま診断の質に反映されるのです。ちなみに当院では2025年12月現在、学会発表や症例経験を積み重ねてきた熟練の技師が2名常勤しており、私自身も日本超音波医学会超音波専門医です。高精度の検査を安定的に実施するためには、精度の高い機器に加え、技師と医師の力が不可欠です。
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動悸や息切れは心疾患の可能性も。「機器・技師・医師」の総合力で、心臓弁膜症の早期発見を目指します。
患者さんとスタッフが笑顔になれるよう常に考え、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを心がけます。
細胞診を含む専門的な甲状腺診療を提供。豊富な知見と技術で、女性のライフステージに寄り添います。