いびきや眠気に加え、慢性的な酸欠を招く「睡眠時無呼吸症候群」
循環器内科の知見を活かし、睡眠時無呼吸症候群とその先の血管、心臓、脳のリスクまで幅広く対応します。
- 瀬谷いろどりハート内科クリニック 神奈川県横浜市瀬谷区
-
- 五十嵐 厳 院長
頼れるドクターが教える治療法vol.177
循環器内科
目次
1時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が5回以上繰り返される病態を、「睡眠時無呼吸症候群」と呼びます。睡眠時に呼吸が止まってしまう原因は主に2パターンあり、ほとんどは上気道と呼ばれる空気の通り道が塞がることによって無呼吸・低呼吸状態におちいる「閉塞性睡眠時無呼吸」というものです。睡眠時に筋肉が弛緩することで舌が落ち込んでしまったり、肥満により喉まわりに脂肪がついてむくんでしまったりすることで、喉の奥が狭くなり呼吸を妨げるものです。もうひとつは、脳から呼吸をするための指令がスムーズに出なくなってしまう「中枢性睡眠時無呼吸」です。心不全の患者さんに比較的多く認められ、主に心臓の疾患により引き起こされると考えられています。
ちなみに日本では、治療の対象となる患者さんの85%以上が未診断、その数は1000万人近くにのぼるとも言われているのです。
最もリスクが高いのは肥満ですが、体重が増加すると喉まわりに脂肪がついてしまうだけでなく、舌も大きくなるため、ますます空気の通り道が狭くなってしまいます。また仰向けに寝る習慣がある人も注意が必要で、真上を向いて寝ると舌に対して垂直に重力が働くため、上気道に舌が落ち込みやすくなってしまいます。その他に、お酒が好きな方ならよくご存知かと思いますが、たくさん飲んだ日の夜はいびきをかきやすくなりますよね。飲酒によって喉や舌がむくみ上気道の閉塞が起きることで、いびきをかきやすくなるからなのです。
一方、やせ型でも睡眠時無呼吸症候群と診断される方もいます。多くは顎が小さいために上気道を圧迫してしまうことが原因で、西洋人に比べて顎の小さい東洋人特有の症状といえます。
代表的なケースは「いびきがうるさい」「寝ているときに呼吸が止まっている」と家族から指摘されたというケースです。睡眠中にむせたり、息苦しくて何度も目が覚めてしまったりするなどの症状で、ご自分から来院される方も少なくありません。
また2000年代以降、睡眠時無呼吸症候群が社会問題として扱われはじめ、公共交通機関や運送会社がドライバーにスクリーニング検査を行うようになったこともあり、車の運転をお仕事にしている方の来院も増えましたね。
睡眠中に呼吸ができていないということは、その間、体が酸欠になっているということです。酸素が不足すると血液中の赤血球がどんどん増えて、二次性多血症という、いわゆる「ドロドロ血」の状態になります。その結果、血栓ができたり動脈硬化が進んだりして、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まってしまうのです。車の運転などを考えると、日中の強い眠気が睡眠時無呼吸症候群の代表的なリスクではありますが、血管や心臓、脳に大きな影響を及ぼすことも覚えておいていただきたいですね。
まずは簡易検査として、睡眠中の呼吸、脈拍、酸素濃度を計測する簡易モニターを、自宅で就寝する際に装着していただきます。そこで症状が見られた場合は、さらに精密検査を行い症状の重さを評価します。ちなみにこの精密検査も、当院ではご自宅で行っていただくことが可能です。
検査の結果、軽症から中等症となった場合は、適度な運動と減量といった生活習慣の改善から取り組んでいただきます。症状によっては、下顎を上顎より前方に出すよう固定させることで、上気道を広く保つマウスピースを提案することもあります。そして、中等症以上と診断された場合に用いるのが「CPAP(シーパップ)」です。機器本体からエアチューブと鼻マスクを介して一定の圧力の空気を送り込むことで、気道の閉塞を防いでスムーズな呼吸を確保する治療法であり、継続使用することで高血圧や不整脈の改善、心不全の増悪予防、脳・心血管疾患のリスク低下、日中の眠気改善、生活の質向上など、多くの治療効果が期待できます。
私は循環器内科を専門としていますので、閉塞性睡眠時無呼吸だけでなく、心不全が引き起こす中枢性睡眠時無呼吸の治療も可能です。さらには心筋梗塞や脳梗塞といった、睡眠時無呼吸症候群がもたらす「その先のリスク」までフォローできることが強みではないでしょうか。15年以上にわたって睡眠時無呼吸症候群の治療に力を注いできましたので、これからもその経験を通じ、血管や心臓、脳にまつわるさまざまな不安に寄り添っていきたいですね。
瀬谷いろどりハート内科クリニック 地図を見る
循環器内科の知見を活かし、睡眠時無呼吸症候群とその先の血管、心臓、脳のリスクまで幅広く対応します。
ご希望に合わせた下剤の選択や最小限の鎮静など、不安な患者様にも寄り添った大腸内視鏡検査を提供します。
薬物療法、レーザー治療、注射治療、舌下免疫療法などから、「続けられる」花粉症治療を選びましょう。