医療法人桜桃会 たくみ整形外科 上本町　中野 健一 院長 | ドクターズインタビュー

20年にわたる臨床経験が支える、的確な判断と術後のきめ細かなサポート

― 先生のご経歴を教えてください。

私を大切にしてくれた祖父母の死を経験し、漠然と「病気の人を支えられる仕事に就きたい」と思うようになりました。入学した奈良県立医科大学医学部は血管や神経をつなぐマイクロサージャリーに強く、その分野に惹かれて整形外科に進みました。卒業後は整形外科医として経験を重ねる一方、同大の高度救命救急センターで救急医療にも携わり、日本専門医機構認定救急科専門医も取得しています。ドクターヘリやドクターカーで対処することもあるような救急の最前線で、患者様をご家族のもとへ、社会復帰へと導くことに使命感を持ち携わっていました。
その後、培った経験を活かし新しい舞台で挑戦したいと考えていたところ、大学時代の先輩である「医療法人桜桃会 たくみ整形外科 和泉市本院（現在）」の大川卓海先生から声をかけていただき、上本町での分院開業に至ったのです。

― 診療の際に心がけていることはありますか？

「目の前の患者様が自分の家族だったらどうするか」という視点を大切にすることです。これは医師としての信念であり、診療の根幹にある考え方です。医療現場では、複数の治療法から選択を迫られる場面は少なくありません。そのような際は「この患者様が私の家族だったらどの治療を勧めるか、どんな説明をするか」と考えて対応しています。そのためか、よく「穏やかで話しやすい先生ですね」と言っていただけるのは嬉しいですね。
また、20年の臨床経験を患者様のために活かすことを意識しています。「この患者様には手術を勧めた方が良い」「このケースはまだ手術の必要はない」といった判断には自信があるので、術後のレントゲンから執刀医の意図を読み取り、的確なサポートを提供したいと思っています。

リハビリと骨粗鬆症治療を診療の柱に、地域の皆様の健康を支えたい

― おしゃれな印象の院内ですが、こだわりのポイントを教えてください。

痛みを抱えて来院される患者様が、少しでもくつろいで待ち時間を過ごせるよう「居心地の良い空間」を目指しました。広い窓からの採光で明るく清潔感があり、すっきりと圧迫感のないレイアウトになっています。色調はグレーを基調にシックな印象にまとめつつ、現代アートのポスターなども取り入れたので、視覚的にも楽しんでいただければ幸いです。

― 力を入れている治療分野はありますか？

リハビリテーションと骨粗鬆症の治療に注力しており、この二つを当院の柱として位置づけています。リハビリについては、手術後の回復支援はもちろん、手術を行わずに改善を目指すケースにも積極的に取り組んでおり、医師の診断の下で理学療法士が一人ひとりに合ったリハビリを提供しています。当院には若い患者様も多く、スポーツ障害や肩・首・腰の痛みなど、幅広い症状のリハビリに対応が可能です。漫然と続けるだけではない「治すリハビリテーション」をコンセプトに、解剖学的な知見なども踏まえた筋力強化や歩行訓練などで根本的な改善を図っています。

― 骨粗鬆症治療についてはいかがでしょう。

当院では50歳以上の女性を対象に、問診票の段階で骨粗鬆症検査の希望を確認し、検査のハードルを下げる工夫をしています。検査には腰椎と大腿骨の骨密度を数値化するDEXA（デキサ）法に加え、必要に応じて血液検査も行い、骨代謝の状態などを確認して治療方針を決定します。検査の結果を受けて、骨密度が低い方には注射や内服薬による治療を提案し、場合によってはリハビリも併用します。
骨粗鬆症を放置すると、軽い転倒でも背骨や太ももの付け根が骨折し、寝たきりの原因になりかねません。入院や手術に至った結果、肺炎などの合併症を起こし命に関わってくるケースもあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。骨密度は50歳を過ぎると自然に低下し、回復するのは難しく、食事や運動で現状を維持することが精一杯です。特に若い頃の生活習慣が将来の骨の強度に影響するため、食生活や運動不足、過度なダイエットには注意しましょう。

― 受診を考えている方へ、メッセージをお願いします。

「こんな症状で受診してもいいのかな」と迷われることがあるかもしれませんが、「早めに来てよかった」と安心してお帰りいただけると私たちも嬉しいものです。まずはどうぞ、お気軽に受診してください。
クリニックでの診療を始めて、大学病院よりも患者様との距離が近くなりました。患者様の回復を間近で見られることは大きなやりがいであり、感謝の言葉をいただけることも増えたように感じます。これからも地域の皆様の健康を支える存在として、丁寧な診療を心がけていきます。