玄和堂歯科診療所　寺師 史峰 院長 | ドクターズインタビュー

30種類の歯ブラシと10種類の歯磨き粉を組み合わせ、セルフケアを提案

― 治療後のメンテナンスとして、どのような指導をされているのですか？

たとえば外科的な治療を必要とするような歯周病の患者さんであれば、治療終了後も1か月に1度は定期的に来院していただき、経過を確認します。症状が軽ければ、3か月から半年後に見せていただければ十分という場合もあります。また、毎日のセルフケアも非常に重要です。具体的にはまず、適切な歯ブラシ、歯磨き粉、歯間ブラシ、デンタルフロスを選ぶことが挙げられます。当院では歯ブラシを約30種類、歯磨き粉を約10種類、デンタルフロスを2種類、洗口液も6種類取り揃えており、患者さんの症状に応じてお勧めしています。なお患者さんにとってベストな歯ブラシや歯磨き粉が当院になかったとしても、品名や品番を調べてお伝えしますので、インターネットなどで購入していただくことが可能です。歯磨き粉は、国内で承認されているフッ素配合量の上限値に近い1450ppmの製品を選ぶことが大切です。虫歯の患者さんの場合は、これらのアイテムに加え、歯磨き後にフッ化物洗口剤（フッ素化合物の入った洗口液）を用いて口をすすぐよう指導しています。

― なぜセルフケアの指導に注力されているのでしょう。

患者さんに1か月、3か月、半年後にまた来てくださいとお話しても、お忙しくていらっしゃれないことが多いものです。そうして数年後に「また悪くなってしまいました」と来院されるケースを、これまでにたくさん見てきました。ですから、なかなか来院できなくても自宅でできるケアは毎日続けていただきたいという思いで、歯ブラシや歯磨き粉を一人ひとりに合わせて指定しつつ、セルフケアを指導するようにしています。せっかくですから、良好な状態を少しでも長く保っていただきたいですね。

― 毎日の歯磨き以外で、心がけるべきことはありますか？

あまり知られていませんが、タバコは歯周病の大きなリスク要因です。喫煙習慣のある人はなるべく節煙に努めるとともに、できれば半年に1度は歯科医院で口内の状態を診てもらうことをお勧めします。当院では禁煙指導も行っていますので、「これを機にタバコをやめたい」という方も、ぜひご相談ください。また、お仕事などの都合により生活が不規則な人も、虫歯や歯周病になりやすいため注意が必要です。お心当たりがあれば、同じく半年ごとの検診をお勧めします。

各分野のエキスパートが集結し、小さな大学病院のような診療所を目ざす

― 寺師院長のほかにも、臨床経験豊富な医師やスタッフが揃っているそうですね。

開業するにあたり、私は当院を「各分野のエキスパートが集結した小さな大学病院」のような診療所にしたいと考えました。矯正歯科の医師はかつての上司で、矯正に関してはこの人の右に出る者はいないと思っています。口腔外科、インプラントの医師も、それぞれの分野で研鑽を積んできた医師であり、歯科衛生士についても申し分のない経験をもつ方々です。さらに、このような素晴らしい医師やスタッフがその手腕を存分に発揮できるよう、医療機器も厳選したモデルを取り揃えています。

― 麻酔科の医師を採用された理由もお聞かせください。

「歯科恐怖症」という症状があるように、抜歯などの歯科治療に対して強い恐怖や不安を感じる人は一定数いらっしゃいます。そこで、麻酔を専門とする医師にもご協力いただくことにしました。麻酔によるリスクを低減し、患者さんが安心して全身麻酔を選択できる環境を構築したかったのです。さらに、もしもの場合に備えて近隣の医療機関との連携体制も整えており、必要に応じて主治医への連絡や専門的な医療機関への紹介も行っています。

― 今後のビジョンについてお聞かせください。

現在は2名の歯科衛生士で対応しているため、ゆとりをもって診療できるよう患者さんの人数をあえて絞っています。今後はより多くの方を受け入れられるよう人員の拡充を考えており、すでに現スタッフに匹敵する人材の採用も決定しました。歯石除去やセルフケアの指導など、歯のメンテナンスは歯科衛生士が担っているといっても過言ではありません。治療中も治療後も、安心して任せていただける診療所になれたら幸いです。