頼れるドクターが教える治療法vol.097
在宅医療
診療科目としてはリハビリテーション科及び内科、整形外科を標榜していますが、一番の特徴は、北区・板橋区・豊島区への「訪問診療」を中心に行っている点です。具体的には、脳梗塞や脳出血の後遺症で体の動きが悪くなってしまった患者さまや、嚥下(飲み込み)に障害のある患者さま、余生をご自宅で穏やかに過ごされたい末期がんの患者さまを中心に訪問診療を実施し、ご自宅でも可能な検査や治療、アドバイス等を行っています。嚥下障害のケースを例に取ると、「これが食べたい」といった患者さまのご要望を最大限に汲み取りながら、誤嚥性肺炎の原因となりにくい安全な食べ物をお勧めしたり、とろみ剤の活用など食べ方に関するアドバイスを行ったりしています。
患者さま一人ひとりの生活に寄り添いながら、検査や治療、リハビリテーションを進められることです。この10年間で『リハビリ』の認知度はかなり浸透してきましたが、リハビリテーション科の医師が訪問診療に携わっているケースはまだまだ少ないのが現状です。この点、私が身体障害者福祉法第15条指定医(以下、15条指定医)の資格を保有していることも、当クリニックの大きな強みとなっています。
身体障害者手帳の申請に必要な「身体障害者診断書・意見書」を作成することのできる医師の資格です。これまで15条指定医の診断を受けるためには、身体に障害を抱えているにも関わらず、わざわざ病院に足を運ばなければならないケースがほとんどでした。また障害区分に応じて指定科目が分かれており、複数の15条指定医の診断を受けねばならない患者さまも少なくありません。この点、15条指定医の中でも肢体不自由及び音声・言語機能障害、そしゃく機能障害の3つの資格を保有している私が訪問診療を行うことで、嚥下障害の患者さまの多くは病院に出向くことなく、身体障害者手帳を申請・取得することができます。患者さまご本人や、ご家族の負担を減らすことに繋がるのではないでしょうか。
リハビリテーションでは、頭の先から足の先まで、さらには身体のみならず心の問題に至るまで、あらゆる障害・病気を考慮に入れなくてはなりません。そこで、まずは患者さまご本人ならびにご家族のお話を、時間をかけて丁寧にお伺いした上で、他病院と連携している場合には医師やスタッフ、さらにはケアマネージャーさんともしっかり情報共有し、治療の方向性や頻度を決めていきます。とりわけ私の母校で、以前勤務していた帝京大学とは密接な連携をとっていますね。リハビリテーションの実践に当たっては、嚥下障害の改善が求められる場合には言語聴覚士、体の動きの改善が必要な場合には理学療法士、日常生活の様々な作業が困難な場合には作業療法士と連携して患者さまを支援し、お困り事やお悩み事を解決していきます。
自宅の環境を利用したリハビリテーションを訪問診療でも患者さまに指導可能です。また、筋肉の緊張をほぐすためのボツリヌス療法(ボツリヌストキシンと呼ばれるタンパク質を筋肉に注射する)や、長・短下肢装具の修理に向けた手続きなど、これまでは通院しなければ難しかった対応も行っています。ポイントは、患者さまに健康的な生活をできるだけ長く続けていただくために、日常生活が訓練の場になるような流れを作り込んでいくことです。ちなみに私自身も1か月に一度、もしくは3か月に一度くらいのペースで患者さまのご自宅を訪問して診察を行いますが、ターミナルケアの患者さまの場合などでは、1週間に一度くらいの頻度で訪問させていただくケースもあります。病院の医師を始めとする各分野の専門家の意見を伺いつつ、患者さまの状態やご希望に寄り添いながらリハビリテーションを進めることを心掛けています。
碓井クリニック
歯周基本治療から歯周組織再生療法まで。歯科医師と認定歯科衛生士による歯周病の治療とケアを提供します。
おなかとおしりの専門クリニック。メスを使わない内痔核の日帰り手術「ALTA療法」を実施しています。
難治性のうつ病にも効果が期待できる「r-TMS療法」。併用できる治療の選択肢も豊富に用意しています。