循環型地域医療連携・包括的治療・チーム医療で糖尿病に挑む
地域のクリニックと緊密に連携。チーム医療を実践し、合併症の重症化予防、健康寿命の延伸に貢献します。
- 医療法人輝栄会 福岡輝栄会病院 福岡県福岡市東区
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- 田尻 祐司 糖尿病センター長
頼れるドクターが教える治療法vol.089
腎臓内科
人工透析は、血液中の老廃物と余分な水分を除去する機能をもつ腎臓の代わりに、人工的に血液を浄化する治療法です。つまり人工透析が必要な状況とは、腎臓の機能がほとんど失われた状態を指します。
日本透析学会の調査結果によると、原因の疾患としてもっとも多いのは糖尿病の合併症である「糖尿病性腎症」で、全体の約4割。また糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症をはじめとする生活習慣病も、腎臓病に大きく関与します。
腎臓は機能が低下しても、ほとんど自覚症状は現れません。気づかないうちに進行していることが多く、健診などの尿検査や血液検査で発覚し、すぐに人工透析になる場合もあるほどです。
生活習慣の見直しや改善を行い、生活習慣病を予防することが不可欠といえます。
すでに生活習慣病を発症している場合は、治療をきちんと継続し、症状を適切にコントロールして合併症を防ぐことが欠かせません。生活習慣病によって腎臓の機能が低下することで、生活習慣病がさらに悪化するという悪循環を引き起こしてしまうからです。
また定期的に健康診断を受けることも大切ですね。腎臓の機能は一度低下してしまうと回復が難しいため、早期発見・早期治療が重要。万一、所見がある場合にはすぐに専門の医療機関を受診しましょう。
前述のとおり、腎臓の病気は自分で気づくことが難しいため、自覚症状を理由に腎臓内科を受診される方はそれほど多くありません。当院でも健診で所見があった方や、かかりつけの病院からの紹介で受診される方がほとんどです。
最近は、慢性腎臓病に関するテレビCMを見て、慌てて受診される患者さんが増えました。そのメッセージにもありますが、腎臓の状態は血液検査の結果から読み取ることができるため、「eGFR(推算糸球体ろ過量)」に注目してみてください。腎臓機能の状態を示すこの数値が59以下の場合は、受診が必要です。他には、尿検査で異常が見つかったときも、腎臓内科を受診しましょう。
人工透析になることを避けるためには、今よりも数値が低下しないよう、もしくは低下する速度を抑えるように適切な治療を受けることが必要です。
約20年前、研修医として最初に着任したのが腎臓内科でした。特定の疾患よりも全身を診る医師になりたいという考えから、当時は小児科なども視野に入れていましたが、師事した先生が本当に優秀な方で、その背中を追いかけたい一心で腎臓内科を選択したことが始まりです。
日本腎臓学会の専門医資格を取得したのは、腎臓内科で治療を行ううえでの自然な流れですね。日本透析医学会の専門医資格の取得も、腎臓内科では既定路線といえます。
腎臓内科では慢性腎臓病をはじめ、腎臓が正常に機能しなくなった際に起こる病気全般を扱います。腎臓は老廃物を排出する以外にも血圧や水分の調整、ミネラルの調節など様々な働きをもつ臓器で、身体全体のバランスを保つ役割を担っています。そのため高血圧やむくみ、ナトリウムやカリウムなどの電解質異常、骨ミネラル代謝異常、貧血のほか、生活習慣病など腎臓の悪化に関係する病気も腎臓内科の守備範囲です。
さらに透析患者さんが合併症を起こした際には、透析を継続しながら他科の先生と協力してその治療にも携わる必要があるため、多様な疾患を診る診療科といえますね。
腎臓内科での治療は、透析を予防することが目的です。一方で透析治療は、残念ながら人工透析になった方のQOL(生活の質)を高めることを目的とします。
自覚症状の乏しい腎臓病では治療の継続も課題であり、そのための動機付けが必要な場合が少なくありません。透析治療にも携わっていれば、適切な治療を行わなかった場合の末期症状や人工透析になってからのこと、さらに透析治療の継続が困難となる終末期についても、患者さんへ具体的にお伝えすることができます。治療を“自分ごと”として捉え、前向きに取り組んでいただけるように働きかけられることは、両方の治療に関わる良さだと感じています。
はたなかクリニック
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大阪府茨木市の耳鼻咽喉科。いびきやめまい、補聴器、甲状腺、嚥下に対し、専門性の高い医療を提供します。
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