頼れるドクターが教える治療法vol.078
歯科
根管治療は、虫歯が進行し、歯の根(根管)にある神経(歯髄)にまで細菌感染が及んでしまったときに行う治療です。歯髄が細菌に感染すると炎症が起きて、強い痛みや腫れを伴いますし、早期に治療を施さないと抜歯が必要になるケースもあります。そこで、“ファイル”という器具を使って、細菌に感染した歯髄やボロボロになった象牙質を取り除いたり、過去の治療の過程で詰めた充填材をきれいに取り除いたりしながら殺菌し、清潔な状態にした上で、被せ物で密閉します。これによって炎症による痛みや腫れを抑え、かつ、患者様の歯を抜かずに保存するというのが、根管治療の基本です。
根管は直径1ミリメートルにも満たない、非常に狭い空間です。しかも、その内部は暗く、蜘蛛の巣のように入り組んだ形態をしています。そのため、目視はもとよりルーペを使っても、細菌に感染した歯髄を完全に取り除くのは至難の業なのです。この点、マイクロスコープを使えば、根管の内部を20~30倍に拡大して見ることができます。また、マイクロスコープの先端には強力なLEDライトが搭載されていますので、暗い部分も手に取るように把握することができます。目視やルーペを使った治療とは比べものにならないほど正確な診断・治療が可能になるのですね。当院では保険診療・自由診療にかかわらず、全体の9割超の治療でマイクロスコープを活用しています。
「歯科用CT」は根管の長さや神経の通り道など、歯の根の形態を三次元的に確認するための機械。「ラバーダム」は、治療する歯だけを露出することのできるゴム製の防水シートで、唾液に含まれる細菌の混入を防ぎ、再発のリスクをできるだけ抑えるために活用しています。これらを活用した根管治療は、米国ペンシルバニア大学を中心に発展を遂げ、日本でも15年ほど前から少しずつ普及してきました。特にこの4、5年は、歯科医の専門的なニーズを反映した製品が数多く登場し、市場の拡大によってマイクロスコープの価格もかなり下がってきています。手先の器用さは不可欠ですが、再発リスクを徹底的に抑えながら、精度の高い治療を行う環境が整ってきているのは間違いありません。
写真や動画、アニメーションなど視覚的要素を積極的に活用しながら、患者様お一人お一人に対して、できるだけ丁寧に説明することです。クリニック内にカウンセリングルームを設置しているのは、その一例です。これまでの歯科クリニックには、医師や歯科衛生士と患者様がお互いの目を見て、じっくりと話をする機会がほとんどなかったのではないでしょうか。自分の経験を振り返ってみても、とりあえず診察台に通されて「どうしましたか?」「この歯が痛むんです」「口を開けてください、レントゲン撮りましょう」といった具合に、半ば機械的に治療が進められるケースが多かったように思います。この点、当院は、カウンセリングルームで患者様の症状やお悩み事について詳しくお話を伺うだけでなく、マイクロスコープを使った根管治療の施術動画や術前・術後の比較画像を見ていただくなど、安心・納得して治療に臨んでもらうための工夫をしています。
そうですね。「右上の一番奥の歯が痛む」とお悩みでご来院された患者様がいらっしゃったのですが、実際に診察してみたところ、痛みの原因となっているのは右上の5番、すなわち2本手前の歯だったんです。こうした勘違いは、画像や映像を確認しながら、自分の口の中の状態を正確に把握していただくことで防ぐことができるはずです。マイクロスコープや歯科用CT、ラバーダムといった器具はもとより、デジタルの力を最大限に駆使して治療に当たっていきたいと思っています。
おかげさまで大部分の患者様からは「これほど詳しく、分かりやすい説明をしてもらったことはありません」というご感想をいただいています。大切なのは、丁寧で分かりやすい説明を行うことが、患者様との信頼関係の強化だけでなく、治療後の定期検診の受診率向上にも寄与するという点です。患者様ご自身の口の中の状態をしっかりとご理解いただくことで、「定期検診には欠かさず行かなくては」という強い動機付けが生まれるわけですね。
江戸川橋菊地歯科医院
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老化した椎間板に直接アプローチし、椎間板ヘルニアを始めとする脊椎疾患の改善を目指します。
進行すると透析治療が必要になる慢性腎臓病。患者さんが前向きに腎臓疾患治療に取り組めるよう支援します。