頼れるドクターが教える治療法vol.076
美容皮膚科
肝斑とは、メラニンを生成する細胞であるメラノサイトが慢性炎症を起こしている状態のことをいいます。いわゆるシミの一種ですが、肝斑の多くは頬骨のあたりに地図状に広がり、それが左右対称に現れることが特徴です。若い方や高齢者にはあまり見られず、30~50代くらいまでの女性に多い色素沈着疾患です。
肝斑ができたことによって、何か別の病気が生じる“合併症”はありません。ただし、他の種類のシミが肝斑と同時に出現する、“併存疾患”はあり得ます。
肝斑と併存する疾患には、一般的に“シミ”と呼ばれる「老人性色素斑」や、頬や下まぶたの周辺に細かい円形のシミが広がる「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」などがあり、そのいずれか、またはすべてが肝斑と一緒に出現しているケースもあります。
それぞれに適切なアプローチが必要となるため、当院では病態を詳しく観察したうえで慎重に診断を行っています。
肝斑が生じる正確なメカニズムは未だに解明されていませんが、女性ホルモンの影響、紫外線、乾燥、甘いものの摂り過ぎ、ストレス、肌のこすりすぎなどに起因するといわれています。
中でも肌のこすりすぎは、ほとんどの患者さんに当てはまると考えられる、もっとも大きな原因といっても過言ではありません。皮膚への強い摩擦はメラノサイトを刺激します。例えば、洗顔の際にゴシゴシ洗う、洗顔シートやコットンで拭き取る、クリームを強く塗りつける、化粧水やファンデーションの強いパッティングなど。これらは日頃のメイクやスキンケアで無意識にやってしまう方も多いのではないでしょうか。
自分の洗顔方法やメイクの仕方を他人と比べる機会はあまりないため、こすりすぎているかどうかが分かりづらいかもしれませんが、洗顔であればよく泡立て肌に乗せる程度が適切です。
また、甘いものの摂り過ぎは血糖値を上昇させます。体内で糖とたんぱく質が結びつくと老化促進物質であるAGEが生成されますが、血糖値が高い状態ではAGEができやすくなります。それが肝斑を悪化させる要因になり得るため、甘いものを食べるときには少し意識できると良いですね。
当院では、3つの治療を組み合わせて提供しています。
まずは波長の長い、微弱のレーザーでメラニンを破壊する「レーザートーニング」。次に、ターンオーバーを早める薬剤を塗り込み、メラニンの排出を促す「コラーゲンピーリング」。そして、ビタミンAとビタミンCを専用の機械で肌の奥深くまで浸透させてシミを薄くする「イオン導入」です。シミをできにくくすると同時に、すでにあるシミの改善も行っていきます。
インターネット上では、「レーザーは肝斑を悪化させる」という情報が散見されますが、それは老人性色素斑の治療に用いる、波長が短くパワーの強いレーザーを用いた場合のことです。レーザートーニングでは、メラノサイトを刺激せずにメラニンを破壊することが可能なため、適切に治療を行えば肝斑が悪化することはありません。
施術は2〜4週間おきに10回程度繰り返しますが、その間は内服薬と外用薬を継続していただきます。
内服薬は、抗酸化作用のある「ビタミンC」と「ビタミンE」、メラニンの生成や炎症を抑えて肌への色素沈着を防ぐ「トラネキサム酸」、ターンオーバーを促す「ビオチン」の4種類。外用薬は、メラニンの生成を抑える「ハイドロキノン」と、ターンオーバーを活性化させる「トレチノイン」の2種類があります。
このように、肝斑にはあらゆる方面からの継続的なアプローチが必要です。それだけ手強いシミではありますが、治療を継続すれば徐々に薄くなっていきます。短期間での劇的な変化がなくても肌の状態は確実に良くなっていくため、手応えを感じながら治療に臨んでいただけるでしょう。
先ほど説明した肝斑の原因を取り除いていくことが予防法といえます。肌をこすりすぎない、紫外線対策をする、甘いものを食べすぎない、など、神経質になる必要はありませんので、できることをしっかり取り入れて予防することをおすすめします。
肝斑ができる前にこういった情報を入手するのは難しいかもしれませんが、生活習慣病と同じで、病気を患う前に知識を得て予防していくことが大切です。
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