頼れるドクターが教える治療法vol.036
歯科
精密根管治療の基本的なコンセプトは、「いかに無菌に近い状態を保つか」です。ゴムシートによって治療する歯だけが見える状態にして、口の中の細菌や唾液が歯に入るのを防ぐ「ラバーダム防湿」、歯を削る道具、器具類の完全な「滅菌」(消毒よりもさらに高度)などにより、根管への細菌の侵入を可能な限り防止するという点に、精密根管治療の本質があります。ちなみに、精密根管治療では「歯科用マイクロスコープ(顕微鏡)」を活用するのですが、これは微細な虫歯やひびを正確に診断し、複雑に入り組んだ根管を効率よく消毒するためには欠かせないツールではあるものの、基本的なコンセプトからすると“枝葉”という位置付けです。「歯科用マイクロスコープ」を使って、どんなに精確な治療を施そうとも、無菌に近い状態を保つことができなければ根管治療はうまくいかないからです。
歯には自然治癒能力がほとんどないので、一度神経を取ってしまった歯が元通りになることはありません。精密根管治療の目標は、虫歯によって正常な状態で使えなくなってしまった歯を抜歯することなく、きちんと機能する状態にして、できるだけ長く保つという点にあります。当クリニックには、他の病院で「抜歯が必要」という診断を受けた患者さまが数多く来院されますが、そのうち7割以上は精密根管治療で対応できています。歯はたくさんあるので1本ぐらい抜歯しても構わないという方がいらっしゃるかもしれませんが、歯を1本抜いてインプラントや入れ歯にするということは、指の関節を1つ失って、そこに義肢を付けるようなものです。自分の歯を残すということをもっと真剣に考え、希望を持って治療に臨んでいただきたいと思います。
再治療が必要になることのないよう、治療後2年〜4年間は定期検診でフォローアップを行います。レントゲン画像のほか、歯が割れていないか、腫れや膿は出ていないかなどをチェックし、問題が生じた場合には、外科的に歯茎を開いて根の先をカットする手術や自家歯牙移植など、別のオプションを検討します。また、予防のための取り組みにも力を入れています。
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