ブレインクリニック大阪 大川原 潤 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.028

精神科

メンタルの困り感を改善。脳の神経にアプローチするTMS治療
メンタルの困り感を改善。脳の神経にアプローチするTMS治療
ブレインクリニック大阪
  • 大川原 潤院長
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大阪キタエリアのランドマークである、梅田スカイビル。その7階にあるブレインクリニック大阪は、薬に頼らず発達障害を治療する「TMS(経頭蓋磁気刺激)治療」を提供している。TMS治療は、磁気で脳の神経繊維を刺激し、脳の活動を活性化・抑制して症状を改善する、副作用のない治療法だ。うつ病の治療法として知られるが、欧米では、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、アルツハイマー型認知症、脳梗塞の後遺症、慢性疼痛、耳鳴などの疾患にも応用が広がっている。2020年4月に開院した大阪院の大川原潤院長に、TMS治療に適した疾患や治療の流れについて伺った。(取材日 2020年5月21日)

医師の主観ではなく、客観的なデータで診断するQEEG検査、副作用のないTMS治療

― はじめに、TMS治療について教えてください。

TMS治療とは、脳の活動を活性化または抑制して脳の神経を整えることで、うつ病や発達障害などの症状を改善する治療法です。
記憶や判断、意欲や学習などを司る、大脳皮質の背外側前頭前野に頭の外側から磁気をあて、脳の神経に直接アプローチを行います。痛みや副作用を伴わないことから、5歳ごろから高齢者まで受けられます。欧米では、うつ病の一般的な治療法として広く普及しており、日本においても近年注目を集めています。

― どういった疾患に対して有効なのでしょうか?

TMS治療はうつ病の治療法として認知されていますが、当院では発達障害と、発達障害が原因で起こる疾患やうつ特性などに対して治療を行っています。具体的には、ADHD、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)の大きく2つが挙げられ、二次障害としての学習障害や感覚過敏、不安障害、パニック障害、うつ特性などにも有効です。
また治療前には、脳の状態を可視化し、人工知能で解析する「QEEG(定量的脳波)検査」を行っています。QEEG検査では、発達障害の特性の有無や二次障害の症状の診断が可能です。グレーゾーンの方やうつ病の薬が効いていない方をはじめ、ご自身で発達障害を疑っている方も、QEEG検査で治療の有効性が確認できれば、TMS治療による症状の改善が見込めます。
一方で発達障害に起因しない、薬物療法が有効なうつ病の場合は、専門のクリニックでの治療をおすすめしています。

― どのような症状に適した治療法なのでしょうか?

日常生活で、困り感がある方に適しています。例えば、「こだわりが強く、融通が利かない」「気になることがあると他のことが手につかない」「ネガティブなことをずっと考えてしまう」「忘れ物やミスが多い」「じっとしていられない」「特定の感覚に過敏」などの症状です。
治療によって症状が改善されると、ご本人だけでなく、ご家族もその変化に気づきます。中には、帽子とマスクなしでは絶対に外出できなかった方が、無意識に着用せずに来院されたということもありました。TMS治療の効果には、私自身も驚かされることがありますね。

1回わずか20分の痛みのない治療。症状の改善とともに、減薬も可能

― TMS治療の流れについて教えてください。

まずは問診で、患者さんの困り感を確認します。その後、脳波を測定して治療の適用を判定。治療を受けるかどうかは、治療方法や通院回数、費用などの説明を聞いたうえで、ご家族と相談してから決めていただいても構いません。すぐに治療を開始したい場合は、カウンセリング当日の治療も可能です。
治療を行う際は、先に刺激位置の計測を行います。計測に用いるのは、当院が特許を取得する独自のレーザーターゲットシステム。刺激部位の正確な位置をミリ単位で特定します。
これらの準備が整ったら、患者さんの脳の状態に合わせて波長や周波数を調整後、「8の字コイル」と呼ばれる専用のコイルを頭にかざして電流を流します。刺激部位の大まかな位置は、個人差が小さいので、刺激部位を計測しない簡易法での治療も可能です。費用を抑えられるため、ご希望の方には簡易法で対応しています。

― 通院の回数や施術時間、施術中の痛みについて教えてください。

1回あたり約20分の治療です。通院の頻度は基本的に患者さんにお任せしていますが、定期的な来院をお願いしています。
治療回数は32回を1クールとして、1.5〜2クールがおすすめですね。最低治療回数は、8回です。ほとんどの方が0.5~1クール以上を選択されています。
施術による刺激は「ペン先でコツコツと打たれているような感覚」で、幼稚園児も問題なく治療を受けています。痛みはもちろん、眠気や吐き気など薬物療法にみられるような副作用もありません。ごくまれに治療直後にイライラするなどの症状がでる方がいますが、それも治療を続けると消失します。

― TMS治療によって、減薬は可能でしょうか?

減薬は可能で、実際にお薬を止められた方もいらっしゃいます。ただし、こちらから減薬を勧めることはなく、ご本人に決めていただいています。お薬を飲まなくても良くなったという実感を持てたり、止めても大丈夫そうだと自信がついたりした段階で、主治医に相談していただくと良いですね。
減薬できるのであればそれが理想ではありますが、TMS治療はお薬を飲みながらでも受けることができます。

ドクターからのメッセージ
  • 大川原 潤院長

TMS治療で整えた脳の状態は持続します。「こだわらなくて良い」という経験を一度でもすれば、治療を止めたあともそれができるようになるのです。例えるなら、自転車に乗る感覚と似ています。一度乗れるようになると、体が自然に動きますよね。乗り方を忘れることもありません。TMS治療の役割は、この経験をするためのサポートだと思っていただければわかりやすいと思います。 当院にはQEEGという客観的な診断基準があるため、検査で障害の程度まで分かります。結果をみて気持ちが楽になるだけでも、十分に価値があるのではないでしょうか。心理士や精神保健福祉士も在籍しており、困り感の軽減を目的とした総合的なフォローを行っていますので、一人で悩みを抱えずに相談にお越しください。

メンタルの困り感を改善。脳の神経にアプローチするTMS治療
メンタルの困り感を改善。脳の神経にアプローチするTMS治療

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住所
大阪府大阪市北区大淀中1丁目1−88 梅田スカイビルタワーイースト7F 703号
電話番号
0120-464-707
最寄駅
大阪駅(梅田駅、北新地駅)
アクセス
四つ橋線 西梅田駅より、徒歩5分
阪神電車 大阪梅田駅より、徒歩8分
診察領域
精神科、心療内科
専門医
精神科専門医
専門外来
発達障害専門外来