頼れるドクターが教える治療法vol.018
性病科
PEP療法とは、HIVウイルスに感染したかもしれない性行為や医療事故のあと、72時間以内に抗ウイルス薬の服用を始めることでウイルスの増殖を抑える治療方法です。通常のHIV治療と目的は同じですが、感染して間もない時期に専用の薬を飲むことで体内のウイルス量を最小限に留め、あとは自己免疫によってウイルスをなくそうというもの。具体的には、1日2回、朝と晩に2種類の錠剤を飲むことを28日~30日間にわたって続けます。効果は100%ではないものの非常に高いと考えられていて、高確率で体内のHIVウイルスを排除できます。費用は税別で検査代が3万円、薬代が28万円です。
私が知る限り、都内で行っているのは国の機関である「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」と当院のみで、全国的に見ても非常に少ないと思われます。PEP療法自体は以前から、HIV患者を採血したときの注射針が医師に刺さってしまった場合などの医療事故の際に国内外で行われてきたもので、アメリカなどの海外の一部の国では一般にも普及しています。日本では医療関係者の認知度も低い上、健康保険が適用されない自費治療で費用が高額なため、導入が進んでいません。ちなみに当院の治療費はACCと同水準です。
当院がPEP療法を導入したのは2017年6月です。HIVウイルス自体は数あるウイルスの中でも感染力が低いものですが、感染する確率は0%ではありません。不安な人はその気持ちを抱えたまま過ごされていることが多いんですね。当院のコンセプトは「患者さんの不安を取り除くことのできるクリニック」です。確かに費用は高額ですが、クリニックのコンセプトに合致しつつ、患者さんにより多くの選択肢を与えるために導入に踏み切りました。医療関係者にもあまり知られていない治療方法ですが、当院では過去、この治療方法に詳しいアメリカ留学経験を持つ医師が在籍していたので、彼の協力を得て導入できました。
まずは医師の問診によって治療の適応を確認し、次に血液検査によってHIVウイルスとB型肝炎ウイルスに対する感染有無と腎機能を調べます。HIVに感染して時間が経っている人はこの治療の有効性がなくなってしまいますし、B型肝炎の患者さんはPEP療法によって病気が悪化してしまう可能性があるからです。また、可能性は低いものの、PEP療法の副作用として腎機能障害が起こり得るため、事前に腎機能を評価しておくことも必要です。問診と検査によって問題がなければ治療の内容について説明し、来院したその日から薬を服用できます。最終的に治療の効果を確認できるのは性行為からおよそ半年後です。
現在までに95人の方が治療を受けており、その多くが男性です。当院では患者さんのプライバシーに配慮するために来院の経緯を聞かないので詳細はわかりかねますが、自発的に話していただいたケースで言うと、男性の同性愛者同士で性行為を行ったり、海外旅行中に風俗店を利用したりした後に不安になって治療を希望される方がいらっしゃいました。また海外の一部の国では一般向けにも行われているので、外国人の患者さんや海外に住んでいてPEP療法を知っていた日本人の方が治療を希望されたこともあります。当院でPEP療法を受けた患者さんの中でHIVの感染がわかった人は今のところいません。
はい。いろんな診療科の中でも特にデリケートな領域ですから、プライバシー保護は重要です。当院は自由診療を採用しているので患者さんは健康保険証を提出する必要がありませんし、検査も匿名で受けられます。診察券は発行していますが、写真を撮るなどして患者番号とパスワードを記憶していただければ再来院時の提出は不要です。またこれらの情報があればインターネットで検査結果を知ることもできます。
女性の患者さんが受診しやすい工夫も行っています。新宿院では男女で待合室を分けていますし、新橋院は男女で入り口が異なるため異性の患者と顔を合わせる必要がないようにしています。男性の患者さんには男性のスタッフが、女性の患者さんには女性のスタッフが対応しています。
医療法人社団七海会 あおぞらクリニック新宿院
歯周基本治療から歯周組織再生療法まで。歯科医師と認定歯科衛生士による歯周病の治療とケアを提供します。
おなかとおしりの専門クリニック。メスを使わない内痔核の日帰り手術「ALTA療法」を実施しています。
難治性のうつ病にも効果が期待できる「r-TMS療法」。併用できる治療の選択肢も豊富に用意しています。