寺田 武史院長 医療法人社団健静会アクアメディカルクリニック | ドクターズインタビュー

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頼れるドクターが教える治療法vol.015

消化器内科

病気にならないための予防医療
病気にならないための予防医療
医療法人社団健静会アクアメディカルクリニック
  • 寺田 武史院長
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錦糸町駅から車で5分の場所にある「アクアメディカルクリニック」は予防医療に力を入れている。寺田武史(たけし)院長は現在の日本の医療や患者の意識について「対症療法に重きが置かれている」と疑問視し、「健康を維持するためにはそもそも病気にならないことが最も大切」と話す。自分の状態と病気になるリスクを早期に把握して「未病」の段階までに対策を打つことが必要だという。そのためにも一般のクリニックでは珍しいさまざまな検査を行っているのが同院の特徴だ。なぜ人は病気になるのか? 寺田院長が考えるその答えと各種検査の概要について聞いた。(取材日 2018年11月5日)

健康を維持するためには未病の概念を理解し、病気への移行を防ぐことが大切

―まず初めに、先生は日本の医療の現状をどう見ていますか。

対症療法に重きが置かれ過ぎている、と考えています。日本は保険制度が整っていて医療を安価に受けられるのが特徴ですが、健康保険が適用されるのは基本的に治療に対してです。予防医療に適用されるのは予防接種やインフルエンザなど一部の病気に対する薬の予防投与くらいで非常に少ないんですね。こうした制度も影響した結果、国民の予防への意識も高くはありません。医師としての実感ですが、大半の方は何らかの症状が出たり、症状がひどくなったりしないと医療機関を受診しません。「健康診断を受けておけば安心」と考える人もいるかもしれませんが、健康診断では異常がないことが大まかにわかるものの、その人が健康であることを証明できないと私は考えています。

―では、「異常はない」が「健康でもない」という状態があるのでしょうか。

日本人の多くは健康を2つの軸で考えていることでしょう。「健康」であるか「病気」にかかっているか。でも東洋医学ではこの間に「未病」という状態が加わります。未病とは、まだ病気にはなっていないけれども健康ではなく、何らかの因子が加わることで病気にかかってしまう状態です。健康診断ではこの未病を把握できないわけです。私たちが健康を保つために最も大切なことは、病気を予防すること。病気になってからでは身体的、精神的、経済的な負担が大きくなり、場合によっては治らずに死亡する場合もあるからです。そして、予防する上で重要なのが、自分が「健康」「未病」「病気」のどこにあるのかを把握し、できる限り未病までの段階で対策を打って病気に移行させないことなのです。

―先生はなぜ予防医療に興味を持たれたのでしょうか。

私は東邦大学医学部を卒業後、消化器外科医として主に消化器がんの手術を行ってきました。がんの患者さんの中には早期に見つかることで完治する人もいますが、残念なことに再発して病院に戻って来られ、お亡くなりになってしまう方もいます。患者さんを死なせずに済む方法はなかったのだろうか、という思いを端緒に、どうすれば病気を早期に見つけられるのか、防げるのか、なぜ人は病気になるのかと疑問が深まっていきました。さまざまな講習会に参加したり文献を読んだりするなかで、自然治癒力を高める東洋医学の考えに魅かれ、西洋医学と東洋医学を合わせた治療を行うようになりました。開業してからは予防のための様々な検査も行うようになりました。

検査で患者の状態と発病リスクを掴み、その人に合った改善策を提案する

―では、病気になる原因について先生はどうお考えなのでしょうか。

古代ギリシャの医師だったヒポクラテスは「All disease begins in the gut~全ての病気は腸から始まる」と話していたそうで、私も彼の考えに同意しています。腸には免疫細胞がたくさんあって、栄養状態が適切ではない「質的栄養失調」によって腸内環境が悪化すると、免疫細胞が減って病気にかかりやすくなります。その状態に、ミネラルバランスの悪化や人体に有害な金属の蓄積といった因子が加わると、病気の原因になる活性酸素と戦う抗酸化力が落ちていきます。これを「酸化」といいます。ここでさらに、余分な糖がたんぱく質や脂質と結びついて細胞が劣化する「糖化」が進むことで病気になると考えています。つまり、糖化や酸化が起こっておらず、ミネラルバランスが整っていて有害な金属もたまっていない、腸内環境も正常であれば、論理的には病気になる可能性を大幅に下げられるのです。

―それで、各因子の程度を測る検査を行っていると。

ええ。栄養解析や腸内環境を調べる有機酸検査・遅延型アレルギー検査、ミネラル&有害金属検査、酸化度検査、糖化度検査などを行っています。こうした検査によって患者さんの状態と病気になるリスクを総合的に把握して、食事や生活習慣のアドバイスを行います。当院では分子整合栄養医学(オーソモレキュラー医学)の考えを基に、栄養指導を行っています。栄養指導を行う上で重要なのは、「個体差」と、望ましい栄養摂取量を意味する「ドーズレスポンス」を見極めることです。見極めるために各種検査を行うことが必要なのですね。その上で、低糖質高たんぱくなものを優先的に食べていく方がいいのか、玄米や野菜をよりたくさん食べた方がいいのか、患者さんに合った方法で質的栄養失調を正していきます。

ドクターからのメッセージ
  • 寺田 武史院長

病気は突然やってくるわけではありません。そして、なってからでは間に合わないのです。これからは「病気になってから治す」のではなく、「病気になる前に介入する」時代に必ず突入していきます。ですから、「どうすれば病気は防げるか」を意識していただくことが重要です。当院には、西洋医学では異常だと診断されない不定愁訴で悩んでいる患者さんがたくさんいらっしゃいます。むしろそういった症状で悩んでいる患者さんの方が多いかもしれません。前述の栄養指導や東洋医学を基底にする治療に加え、その他さまざまな特殊検査・施術で症状の改善を得られる症例を多く経験しています。諦めず、一緒に治療していきましょう。

病気にならないための予防医療
病気にならないための予防医療

医療法人社団健静会アクアメディカルクリニック

場所
東京都江東区亀戸3丁目14−4 MAP
電話
03-3637-1851
診察領域
内科、消化器内科、外科、肛門科、漢方、内視鏡、予防接種、健康診断